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ユニセフ・WHOなどが「虐待・ネグレクト防止のためのユニバーサルな子育て支援」を各国に呼びかけ

 11月30日、ユニセフ(国連児童基金)、WHO(世界保健機関)および子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表の主催により、「虐待・ネグレクト防止のためのユニバーサルな子育て支援:各国政府への政策提言」Universal parenting support to prevent abuse and neglect: A policy call for national governments)と題するオンラインイベントが開催されました。国連日本政府代表部および国連ジャマイカ政府代表部との共催です。概要については日本ユニセフ協会も事前リリースを出しています。

 上記3者による政策提言(4ページ)も発表されました。

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 この提言は、虐待、ネグレクトおよび子ども時代の逆境体験(adversity in childhood)の防止における子育て支援の重要性を強調し、非暴力的なしつけのあり方に関する啓発などを含む最低限の子育て支援介入パッケージをすべての親に提供するよう、各国に呼びかけるものです。次の2点が勧告されています(最終ページ)。

● 5歳未満の子どもを育てるすべての親・養育者の関与を得て、自宅でまたは地域施設を基盤とする支援介入を通じ、最低5~7回の対面型セッションを実施すること。
● 子どもおよび養育者のニーズと能力の変化を踏まえ、重要な発達段階(たとえば児童期・思春期)を親子がうまくくぐり抜けるのに役立つ、フォローアップのための「ブースター」セッションを実施すること。ブースターセッションは、グループ単位でデジタルな手法により実施しても、対面支援とデジタル支援のハイブリット方式で実施してもよい。

 エビデンスに基づく具体的な子育て支援のあり方については今後さらに情報共有が図られていくことになるでしょうが、この点については、ユニセフ・WHOなどが6月末に発表した「親のためのグローバルサポート:機関間ビジョン」が重要な出発点になると思われます。同ビジョンの概要についてはすでに紹介済みですので、こちらの記事をご参照ください。

 日本でも、「機関間ビジョン」で強調されているように親のエンパワーメントの視点を重視つつ、子育て支援のあり方をさらに見直しながら充実させていく必要があると思われます。なお、〈韓国政府が「肯定養育」(ポジティブ・ペアレンティング)の推進を宣言〉などの記事も参照。

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平野裕二
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