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国連・子どもの権利委員会の一般的意見27号(司法および効果的救済措置へのアクセス)に関する協議のためのガイダンス

国連・子どもの権利委員会、一般的意見27号(司法および効果的救済措置へのアクセス)に関する意見募集を開始(~8月23日)〉で取り上げた意見募集とは別に、国連・子どもの権利委員会は、一般的意見27号の作成に貢献するための協議(consultations)の結果を報告する機会も設けています(こちらのページ参照)。こちらの提出期限は2024年12月31日です。

 ユニセフ(国連児童基金)が協議に関するガイダンス(PDF)を作成しており、一般的意見27号のイメージをつかむうえでも参考になると思いますので、そこに掲げられている設問内容を訳出しておきます。想定される主要な参加者としては「さまざまな手段/しくみで働いている専門家、サービス提供機関、関連省庁の職員、市民社会組織、研究者その他の関係者」が挙げられており、とくに子どもとの協議のためのガイダンスにはなっていませんが、もちろん子どもとの協議でも参考にできるでしょう(追記〔2024年11月1日〕:〈国連・子どもの権利委員会の一般的意見27号(司法および効果的救済措置へのアクセス)に向けた協議のための子ども向け解説資料〉も参照)。


全般的設問

法的・政策的枠組み

  • 十分、効果的、迅速かつ適切な救済措置に対する子どもの権利が法律で規定されていますか? 一部の子どもがその規定から除外されたりしていますか?

  • 法律で、非司法的な救済のしくみが定められて(または認められて)いますか? これらのしくみは、子どもが直接アクセス可能なものになっていますか?

  • 自分自身で、親もしくは保護者を通じて、または自ら選任したもしくは任命された弁護士代理人を通じて法的措置をとる子どもの権利が法律で規定されていますか?

  • 自己に影響を与えるすべての手続(司法上または行政上の手続か、法律で定められた他の態様の救済措置かを問わない)で、子どもが希望する場合に、その子どもの年齢、成熟度および最善の利益に適合したやり方で意見を聴かれる子どもの権利が、法律で規定されていますか?

予算

  • 司法への子どものアクセスのために配分される人的資源と財源は十分ですか? 司法への子どものアクセスについて、国家予算で考慮されていますか?

  • 司法および法の支配へのアクセスに対する全般的な国家的投資に、子どもが全体として包摂されていますか?

モニタリングおよび監督

  • 司法および効果的な救済措置への子どものアクセスに関するデータが入手可能で、再分化されていますか? シェアしてください。

  • 国は、司法および救済措置に対する権利への子どものアクセスをどのようにモニタリングしていますか?

  • インフォーマルな司法制度が存在する場合、国はその効果的監督を行なっていますか?

サービスおよびプログラム

  • 救済措置を求める子どもに情報、助言および法的・専門的・準法的援助を提供するサービスおよびプログラム(社会-法的弁護センター、リーガルクリニック、地域のパラリーガルグループなど)について説明してください。

  • 国内の子どもの権利教育プログラム(学校におけるものを含む)について、またそこに救済措置への権利に関する情報が含まれているか否かについて、説明してください。

手段/しくみに特化した設問

以下に列挙した手段/しくみのそれぞれに関して、その下に掲げた設問について議論するか、関連するさまざまな種類の状況を比較してもよいでしょう。オンラインフォームでは、まとまった回答を1つだけ提出することができます。

  1. 政府行政機関/省庁内部の不服申立て機構

  2. 国内人権機関、オンブズパーソン、独立した子どもの権利機関または類似の期間

  3. 司法制度:行政上の問題

  4. 司法制度:民事上の問題

  5. 司法制度:刑事上の問題

  6. 調停・仲裁のような代替的紛争解決

  7. コミュニティを基盤とする慣習的、部族的、土着的、宗教的またはインフォーマルな司法制度

  8. 国連・子どもの権利委員会のウェブページに掲載された意見募集で取り上げられている他の関連の機構

事案のタイプ

  • どのようなタイプの事案がその手段/しくみで検討されますか?

規範的根拠-主要な法的規定および政策をシェアしてください

  • これらの手続を(1)開始し、かつこれらの手続に(2)参加する子どもの権利が、法律またはその他の規範によって確立されていますか?

  • 子どもによる手続の開始/手続への参加は子ども自身で可能ですか、それとも大人を通じてしかできませんか(またはどちらでも可能ですか)? 親の同意は必要ですか?

  • 申立ての資格:(1)手続の開始および(2)手続への参加に関して、年齢制限は設けられていますか? 何歳ですか?

代理

  • 子どもが自らこの機関または手続への申立てを行なえない場合、誰が子どもに代わって申立てを行なえますか?

  • 子どもが直接の意見聴取の対象となれない場合、子どもの意見または利益を誰が代弁できますか(たとえば親族、保護者、教員、子どもの保護担当官など)?

  • 子どもには弁護士選任権がありますか?

  • 子どもを代表する者または機関には、その子どもと相談し、子どもの意見を考慮する義務がありますか?

受容および信頼

  • 子どもがこの手段を利用することについて、文化的・社会的に受け入れられると考えられていますか?

  • この手段を利用すると子どもに悪影響(報復や排除など)が及ぶ可能性はありますか?

  • この手段は人々から一般的に信頼されていますか?

手続的保障措置および子どもに配慮した措置

  • 手続は子どもに合わせて修正されていますか?(そのような措置のいくつかの例は下記参照)

  • 関与する専門家は、子どもの権利に関する訓練を受け、または子どもの権利を専門としていますか? その訓練は十分なものですか?

  • 無償の法的援助および代理が、差別なく、すべての子どもにとって(自らの名義でも)利用可能・アクセス可能とされていますか?

情報および支援

  • この手段/しくみに関する情報は、子どもにやさしいもので、さまざまな国内言語に翻訳されており、国のすべての地域(遠隔地および閉鎖施設を含む)で利用可能とされていますか?

  • どのような支援(法的・専門的・準法的支援、支援担当者その他)が利用可能で、それはすべての子どもにとって利用可能ですか?

  • そのような支援の質はどのようなもので、子どもに合ったものとなっていますか?

  • 子どもに対し、手続の結果がどのように告知されますか?

救済措置および被害回復措置

  • 子どもが利用可能な救済措置はどのようなものですか?

  • 救済措置は、子どもに関して一般的に効果的なものとなっていますか?

  • 子どもが利用可能な被害回復措置はどのようなものですか?

アウトリーチおよび差別禁止

  • その手段/しくみおよび関連するサービスでは、一部の子どもが直面している脆弱性の特有の状況が考慮され、それを踏まえたアウトリーチの取り組みおよび対応が行なわれていますか?(たとえば、ヘルプライン、移動チーム/家庭訪問の活用、柔軟な時間設定、ジェンダーに配慮したスタッフ配置、言語/翻訳リソース、障害のある子どものためのアクセシビリティなど)

  • このしくみから除外されたり、このしくみで差別されたりしている子どもの集団が存在しますか?

  • この手段にアクセスする際のコストや、まだ言及されていないその他の障壁(たとえば地理的場所など)はどのようになっていますか?

「子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国連指針」と「子どもにやさしい司法に関する欧州評議会指針」にしたがった、子どもにやさしい措置の例。以下に列挙されている措置のなかには刑事手続に固有のものもあるとはいえ、これらの原則は、司法への子どものアクセス全般に関連すると考えられます。

  • 子どもの事案は優先的に処理され、期限および短縮スケジュールが適用される。

  • 審理前、審理中および審理後のいずれにおいても、子どもと加害者とされる者との直接的接触が防止される(たとえば、ライブビデオリンク、被告人から子どもが見えないようにするための遮蔽措置、子どもが証言する際の被告人の退廷措置(それでも証言を聴くことはできる)、民事手続において子どもの聴聞を自宅または学校その他の適切な場で行なうことの許可など)。

  • 手続のすべての段階で「最善の利益」認定を受ける子どもの権利について定めた手続が、十分に守られている。

  • 司法プロセス全体を通じ、子どもが、訓練を受けた支援担当者に付き添われている。

  • 子どもが必要に応じて社会的、心理的、医療的その他の支援を得られる。

  • 子どもが2回を超えて尋問されることはなく、刑事・民事裁判所でビデオ録画が証拠として認められる(ビデオ録画は、刑事手続においては標準的実務とされるべきだが、民事手続では選択的なものとして位置づけてもよい)。

  • 刑事裁判における子どもへの反対尋問について規制が設けられている。

  • 脆弱な状況に置かれている子ども(障害のある子どもやマイノリティ集団に属する子どもを含む)に対し、司法プロセスへの平等な参加を可能にするための必要な調整、翻訳者、通訳者、コミュニティケーション補助手段および支援が提供される。

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平野裕二
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