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国連・社会権規約委員会、持続可能な開発についての一般的意見に関する子どもたちとの協議を4月に開催

 昨年12月の記事でお知らせしたように、国連・社会権規約委員会は現在、持続可能な開発と社会権規約(経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約)についての一般的意見の作成を進めています。

 その記事でも書いておいたように、今回の一般的意見の作成にあたっては、同委員会として初めて子どもたちとの協議が予定されています。

 子どもたちとの協議は、同委員会の一般的意見起草グループを中心として、Child Rights Connect(NGO)、フリードリヒ・エーベルト財団、ドイツ人権研究所およびノッティンガム大学の協力を得ながら進められます。Child Rights Connect のサイトで具体的な協議日程が発表されました。

 子どもたちの協議は4月5日~6日にかけて地域別に開催されます。アジア・太平洋地域の協議日程は4月5日午前6時半~8時半(中央ヨーロッパ時間)です。協議への子どもの参加は各国の団体による支援・調整が前提とされており、すでに申込みの締切は過ぎていますが、Child Rights Connect のサイトには次の資料も英語・スペイン語・フランス語・ドイツ語で掲載されており、社会権と子どもの権利について考える参考になります。

● 支援団体/ファシリテーター向けの情報シート
● 子どもたちとの準備会合を行なうためのパワーポイントスライド
● グローバル協議のためのチャイルドフレンドリー版コンセプトノート
● 社会権規約の非公式チャイルドフレンドリー版

 委員会は今回の一般的意見の主要なテーマを10項目挙げていますが(昨年12月の記事参照)、チャイルドフレンドリー版コンセプトノートPDF)によれば、今回の子どもたちとの協議ではとくに次の3つのテーマについて取り上げられる予定です。それぞれのテーマについて、考えるきっかけとしての設問が掲げられていますので、その要旨もあわせて紹介します。

1)平等と差別禁止
-(たとえば水・食べ物へのアクセス、飢えからの自由、健康、住宅、社会保障、仕事、教育などに関する)不平等な状況に対処するために、国には何ができると思いますか?
-あなたたちの活動(より平等な社会を求める活動、持続可能な開発を支援する独自のプロジェクトなど)を支援し、これらの行動に関連する法律・政策を策定する際に子どもたちに関わってもらうために、国には何ができると思いますか?
-規約上の権利を侵害された場合、あるいは政府機関などが持続可能な開発の原則を守らなかった場合に、解決策を得るために子どもたちが裁判所またはその他の独立機関にアクセスできるようにするため、国はどのような体制を整えるべきでしょうか?

2)気候変動および環境危害が経済的・社会的・文化的権利の実現に及ぼす影響
-環境に対する危害を止め、その危害があなたの権利に与える――かもしれない――被害を基に戻すために、国は何をしなければならないでしょうか?
-あなたとあなたのコミュニティが環境を守りながら成長・発展していけるようにするために、国は何をしなければならないでしょうか?
-国同士で助けあい/支えあい、すべての国が持続可能なやり方で成長していけるようにするために、国には何ができるでしょうか?

3)持続可能な開発と天然資源
-天然資源の公正な利用と配分を進めるために、国は何をすべきでしょうか?
-資源の公正な利用を企業が確保する(そして妨げない)ようにするために、国は何をすべきでしょうか?

 社会権規約委員会は今後、今年(2022年)後半または2023年初頭にこの問題についての一般的討議を開催し、出された意見を踏まえた素案(ゼロドラフト)を作成してさらに意見を求める予定です。今後の動きについては社会権規約委員会の特設ページも参照してください。


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平野裕二
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