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身体的・精神的暴力を受けない子どもの権利――学校現場でも徹底を

 今月(11月)は児童虐待防止推進月間ということで、厚生労働省(厚労省)のサイトに特設ページが設けられています。

 体罰が法律で禁じられたことについても大きく取り上げられています。

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 注目したいのは、「子どもが持っている権利」として次の3点が挙げられていることです(3番目は子どもの権利ではありませんが……)。

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● 大人に対して、叩く、殴る、暴言を吐くといったことは人権侵害になりますが、これは子どもも同じです。
● 子どもも人権の主体であり、全ての子どもには、健やかに成長・発達し、自立する権利が保障されています。
● 保護者は、子どもを心身ともに健やかに育成することに、一義的責任を負います。

 公的機関の啓発活動で子どもの権利・人権がこのように強調されるようになったのは、前進と言ってよいと思います。学校でもこのように子どもの権利についてしっかりと伝えていくべきです。厚労省の特設ページでは文部科学省の「24時間子どもSOSダイヤル」も紹介されていますが、そこでは「いじめ問題やその他の子供のSOS全般に悩む子どもや保護者等」にしか言及されていません。教職員による体罰・暴言についてもきちんと触れるべきではないでしょうか。

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 日本で学校における体罰が禁じられてからすでに140年近くになりますが、神戸新聞が最近実施したアンケート調査によれば、学校での体罰について▼「必要」「程度や理由によっては必要」と考える人は全体の36%にのぼり、とくに40代(34%)・50代(44%)で容認する割合が高いこと、▼体罰経験者のほうが体罰を容認する傾向にあることなどの結果が明らかになっています。

 若い人ほど体罰は「必要ではない」とする傾向にあること(10代74%・20代79%)には希望が持てますが、いっそうの取り組みが必要とされているのは明らかです。教育現場でも、「体罰等によらない子育て」に関する取り組みと歩調をあわせた取り組みを進めることが求められます。

 なお、東京新聞サンデー版でも児童虐待防止推進月間に関する特集が組まれていたようですので、あわせて紹介しておきます。


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平野裕二
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