国連専門家、障害者の司法へのアクセスに関する指針を発表
障害者の権利に関する国連特別報告者、国連・障害者権利委員会および障害とアクセシビリティに関する国連事務総長特使が、8月28日、「障害のある人の司法へのアクセスに関する国際的原則および指針」(International Principles and Guidelines on Access to Justice for Persons with Disabilities、先行未編集版PDF)を発表しました。
★OHCHR: UN experts launch ground-breaking guidance on access to justice for people with disabilities
障害のある人の権利に関する条約(障害者権利条約)の、とくに第12条(法律の前における平等な承認)および第13条(司法へのアクセス)を実施していくうえで重要な文書に位置づけられます。国際障害連盟(IDA)と国際法律家委員会(ICJ)もこの指針を支持しています。人権侵害や犯罪(ジェンダーに基づく暴力を含む)の被害者による司法へのアクセスも、当然のことながら適用対象です。
全文(30ページ)の日本語訳はいずれ適当な方・団体によるものが公表されると思いますが、10の原則のみとりいそぎ訳出してみました。適宜ご活用ください(転載等の際には訳者名とこの記事へのリンクを掲載してください)。
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障害のある人の司法へのアクセスに関する国際的原則および指針
原則1
障害のあるすべての人は法的能力を有しており、したがって、何人も障害を理由に司法へのアクセスを否定されない。
原則2
障害のある人を差別することなく司法への平等なアクセスを確保するため、設備およびサービスはすべての人にとってアクセシブルでなければならない。
原則3
障害のある人(障害のある子どもを含む)は、適切な手続的配慮に対する権利を有する。
原則4
障害のある人は、他の者との平等を基礎として、時宜を得たかつアクセシブルなやり方で法的な告知および情報にアクセスする権利を有する。
原則5
障害のある人は、他の者との平等を基礎として、国際法で認められたすべての実体的および手続的保障を享受する資格を有しており、国は適正手続を保障するための必要な配慮を提供しなければならない。
原則6
障害のある人は、無償のまたは負担可能な費用による法的援助に対する権利を有する。
原則7
障害のある人は、他の者との平等を基礎として司法の運営に参加する権利を有する。
原則8
障害のある人は、人権侵害および犯罪について申立てを行ないかつ法的手続きを開始する権利、申立てについて調査される権利および効果的な救済措置を与えられる権利を有する。
原則9
効果的でしっかりした監視機構は、障害のある人の司法へのアクセスを支えるうえできわめて重要な役割を果たす。
原則10
司法制度で働くすべての者に対し、とくに司法へのアクセスの文脈における障害のある人の権利について扱った意識啓発および研修のプログラムが提供されなければならない。
(平野裕二仮訳)