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子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表、国連人権理事会での報告に先立ち世界の子どもたちと対話
子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表を務めるナジャート・マーラ・ムジード(Najat Maalla M'jid)さんが、国連人権理事会第49会期での年次報告の発表に先立ち、報告書の内容や自身の活動について世界の子どもたちと対話するオンラインイベントを開催しました(3月12日)。
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同特別代表はかねてから子ども参加の重要性を強調しており、子ども参加に焦点を当てた調査結果なども発表してきましたが、国連人権理事会への報告との関係でこのような対話を行なったのはこれが初めてです。共催には世界スカウト機構(World Organisation of the Scout Movement)、Child Rights Connect、テールデゾム(Terre des hommes)、# CovidUnder19 が名を連ねています。子どもたちとともに作成されたプレスリリース(3月11日付)によれば、世界中から1,000人以上の子どもたちが参加登録を行なったとのことです。
オンラインイベントは、最初にムジード特別代表が数分程度のプレゼンテーションを行ない、あとは子どもたちから出された質問に特別代表が答えるという形で、1時間半にわたって開催されました。私も視聴しましたが、ZoomのQ&Aボックスに次から次へと質問が寄せられ、子どもたちの関心の高さがうかがえました。モデレーターを務めたのも、クアラルンプール(マレーシア)の8歳の女の子を含む3人の子どもたちです。回答し切れなかった質問については、後日何らかの形で対応されるようです(5月13日追記:こちらのページに掲載された一連の動画で、特別代表が子どもたちから出された質問に答えています)。
今回のイベントに向けて、特別代表が国連人権理事会に提出した報告書(A/HRC/49/57、2021年12月21日付)のチャイルドフレンドリー版も作成されています。
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今回の報告書ではとくに子どもたちへの投資の必要性に焦点が当てられており、特別代表も、オンラインイベントで、
「子どもたちへの暴力をなくすことは可能ですし、そのために何ができるかもわかっています」
として、この点を強調していました。報告書の構成は次のとおりです。
I.はじめに
II.子どもに対する暴力を2030年までに終わらせるための行動の加速
「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の実施に関する〔国連〕加盟国の支援
III.移住者である子どもの自由剥奪に終止符を
IV.変革の主体としての子ども
V.子どもの保護および子どものウェルビーイングに対する投資の改善に向けて
A.緊急の必要性:子どもに対する暴力の増加と不可視化
B.パラダイム転換:縦割り(siloed)アプローチから強化・統合されたシステムへ
C.暴力防止の配当を生み出すための投資
D.投資の拡大:不可欠で、実行可能であり、費用対効果の高い対応
VI.展望
報告書のチャイルドフレンドリー版では、その内容が3つのメッセージに整理されています(p.2)。
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● 私たちは、もっと取り組まなければいけません。(We need to do more)
● 子どもたちは変革の主体です。(Children are agents of change)
● 子どもたちに投資しなければいけません。(We need to invest in children)
今後の展望として提示されているのは次の5点です(p.7)。
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1)政府は、暴力の防止にお金を投資するとともに、すべてのサービスを結びつけ、子どもたちを中心に置きながら防止に取り組むようにする必要があります。今日お金を投資すれば、将来のお金の節約につながるでしょう。みなさんのような子どもたちにお金を投資する必要があるのです。
2)子どもたちは、未来というだけではなく、現在です。子どもたちは解決の一翼を担う存在であり、積極的な変革の主体なのです。私たちは、暴力防止のため、子どもたちのエンパワーメントに投資しなければいけません。
3)子どもに対する暴力を終わらせることは待ったなしの課題であり、2030持続可能な開発目標の期限までもう8年しか残されていません。COVID-19以降、たくさんのことがあまりうまくいかなくなりましたが、私たちは社会の多くの側面を立て直す機会を手にしています。
4)子どもに対する暴力を終わらせるために、すべての人に果たすべき役割があります。政府、市民社会、国連、企業、コミュニティ、家族、生徒、子どもたち……あなたを含むすべての人です。
5)子どもに対する暴力を終わらせるために、あなたにも果たすべき役割があります。あなたは、変革の主体として、世界の目を正しい方向に向かせる手助けができます。私たちは、あなたとともに、子どもに対するあらゆる形態の暴力をすべての場所で終わらせるという約束を守ることができるはずです。
オンラインイベントでの特別代表の発言によれば、今後、年2回の報告(国連人権理事会および国連総会)のたびにこのような形で子どもたちとの対話を持つことを定例化したいとのことです。
特別代表のサイトには、子どもに対する暴力をなくすために世界各地の子どもたちが起こしている行動をまとめた「子ども参加マップ」(Child Participation Map)も掲載されています(残念ながら日本からのエントリーはまだありません)。国際的レベルにおける子ども参加の推進をリードする存在として、今後のさらなる取り組みに注目したいと思います。
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