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世界教師デー――「教師:危機の先頭に立ち、未来を再創造する」

 本日10月5日は、ユネスコ(国連教育科学文化機関)、ILO(国際労働機関)、ユニセフ(国連児童基金)、エデュケーション・インターナショナルが推進する「世界教師デー」(World Teachers' Day)です。今年のテーマは「教師:危機の先頭に立ち、未来を再創造する」(Teachers: Leading in crisis, reimagining the future)となっています。

★ユネスコスクール:「世界教師デー」(10/5)をお祝いしよう!
http://www.unesco-school.mext.go.jp/josp832c7-2911/#_2911

 ユネスコ本部のリリース概要説明(PDF)およびコンセプトノート(PDF)も参照。

 コンセプトノートでは、
〈COVID-19パンデミックと、過去に起きまたはこれから起きる可能性があるその他の緊急事態は、教職員の役割に関する、そして緊急事態の最悪の要素およびそれが教育・学習に及ぼす影響を教職員がどのように緩和できるかに関する、根本的な再評価を要求するものである〉
 として、教職員のリーダーシップを▼教室レベル(ミクロ)、▼学校レベル(メゾ)、▼コミュニティレベル(マクロ)の3段階に分けて整理しています。教育現場で子どもたちを支援する中心的な役割を果たすのは言うまでもなく教職員であり、教職員がこのようなリーダーシップを効果的に発揮できるようにしていくための支援が必要です。

 各国政府代表、国際機関、国際NGO・国際教職員団体など140以上のメンバーから構成される国際的ネットワーク「『教育2030』のための国際教職員タスクフォース」(TTF;詳しくは以前の投稿を参照)も、今年の世界教師デーにあわせてファクトシートを発表しました。

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 そこでは、適正な養成教育を受けた教員が世界的にはまだまだ不足しており、学級規模が過大な国々も少なからず存在することなどが指摘されるとともに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによって浮上した課題として次のようなものが挙げられています。

● 教職員が遠隔学習および情報通信技術(ICT)に関わるスキルの強化を求められていること。
● COVID-19による教育格差を緩和するため、教職員へのリーダーシップ研修が必要とされていること。
● 教職員はインクルーシブ教育促進のための支援を必要としていること。
● 学校は、児童生徒および教職員に安全な環境を提供し、かつ教育の継続を可能とするための体制を整えなければならないこと。

 見過ごしていましたが、TTFは2020年3月27日付で「COVID-19アウトブレイクへの対応:教職員に関する行動の呼びかけ」PDF)を発表し、COVID-19対応・回復において教職員が果たすきわめて重要な役割を認識するしたうえで、とくに次の対応をとるよう、各国政府をはじめとする関係パートナーに呼びかけていました。

1)雇用と賃金を保全すること
2)教職員と学習者の健康・安全・ウェルビーイングを優先すること
3)教育に関わるCOVID-19対策の策定にあたって教職員を包摂すること
4)十分な職能上の支援および研修を提供すること
5)教育関連の対応の中心に公平さ(equity)を位置づけること
6)援助対応に教職員を包摂すること

 今後の教育のあり方を考えるうえで、以上のような視点から教職員のエンパワーメントを図っていくことが必要です。なお、noteの関連投稿をまとめたマガジン〈新型コロナウイルス感染症と教育〉もご参照ください。

 また、2017年(自由のなかの教育、教師のエンパワーメント)および2018年(教育に対する権利とは、優れた教師に対する権利のことである)の世界教師デーについては、それぞれリンク先のFacebookポストを参照。

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