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体罰の禁止・解消をめぐる2021年の国際動向まとめ

 年末ということで、国際NGOの End Violence Against Children / Ending Corporal Punishment が子どもの体罰の解消に関わる今年の主な出来事を振り返っていますので(Ending corporal punishment: 2021 highlights)、要旨を紹介しておきます(以下、画像も同記事より)。私がFacebookやnoteで取り上げた動きについてはリンクを貼っています。

● 韓国コロンビアが、子どもの体罰を全面的に禁止する法律を制定。これにより、体罰全面禁止国は63か国となった。学校における体罰の禁止については、イスラマバード首都圏(パキスタン)やバージン諸島(米国)でも動きがある。

 この点に関しては、▼スリランカ最高裁が学校における体罰を違憲と判断したこと(2月21日)、▼日本が「子どもに対する暴力撲滅行動計画」をとりまとめたこと(8月19日)、▼韓国政府が「肯定養育」(ポジティブ・ペアレンティング)の推進を宣言したこと(11月19日)なども想起しておきたいところです。

● 体罰に関する調査研究においても大きな進展が見られた年だった『ランセット』(Lancet)誌が表紙で体罰を取り上げ、世界保健機関(WHO)が体罰と健康に関する初めてのファクトシートを刊行し、複数の新たな研究によって体罰の有害性が確認された。10月にはWHOとともに公衆衛生上の問題としての体罰に関するウェビナーを開催し、新たな調査研究サマリーを発表した。

● 2021年4月30日に初めての「子どもの体罰を終わらせる国際デー」(International Day to # EndCorporalPunishment)が開催され、日本、フランスおよびチュニジアの各国政府が主催したハイレベル国際ウェビナーのほか、多数のイベントが行なわれた。2022年にも実施予定である。

● 乳幼児期における体罰の解消に関するウェビナーを開催したほか、5つの刊行物を新たに発表した。

 これらの刊行物はページの下部に New publications in 2021 として掲載されています。そのうち『非暴力的な子ども時代の基盤づくり:子どもの体罰禁止を実行に移す』(Laying the foundations for non-violent childhoods: putting prohibition of corporal punishment of children into practice)についてはこちらの記事で少し詳しく紹介しました。ASEAN(東南アジア諸国聯合)加盟国の状況をまとめた報告書PDF)も2021年11月に刊行されていますが、これもそのうち内容を紹介したいと思います。

● 体罰の禁止・解消を求めるキャンペーンが世界各地で活発に展開された(スリランカ、カナダ、シエラレオネ、ジャマイカ、フランス、米国、コスタリカ、コロンビア、タイ、フィリピン、ブラジル、ウェールズ、南アフリカなど)。2022年には世界の状況に関する調査を実施する予定である。

 来年も、子どもに対する体罰を禁止・解消するための動きがさらに進むことを願います。これらの動向についてはマガジン〈子どもに対する暴力〉でも随時紹介していきます。


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平野裕二
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