イングランド子どもコミッショナー、子ども向けの大規模アンケート「ザ・ビッグ・アンビション」を実施中
イングランド(英国)の子どもコミッショナーを務めるレイチェル・デ・スーザ(Dame Rachel de Souza)さんが、9月15日、大規模な子どもアンケート「ザ・ビッグ・アンビション」(大きな野心)を開始しました。意見の募集期間は12月15日までです。
-The Big Ambition
https://www.childrenscommissioner.gov.uk/the-big-ambition/
同コミッショナーはこれまでにも「ザ・ビッグ・アスク」(The Big Ask、2021年)などの大規模調査を実施してきましたが、今回の調査は、2024年12月~2025年1月までに行なわれる予定の総選挙に向けて、イングランドの子どもたちが、自分たちの生活をよりよいものにしていくために何が大切だと考えているかを集約することを目的とするものです。上記のページに掲載されているQ&Aでは、両者の違いについて、
「ザ・ビッグ・アスクは、子どもコミッショナーとしてのレイチェル・デ・スーザの任期が始まるにあたっての、希望、恐れ、夢、そして〔新型コロナ〕パンデミックからの脱出を背景とするロックダウンの物語に関するものでした」
「ザ・ビッグ・アンビションは、子どもたちが意見を表明するための機会です。子どもコミッショナーは、回答を活用して、政策立案者と政府が子どもたちの声を聴くようにします」
と説明されています。
対象となる年齢層も、「ザ・ビッグ・アスク」では4~17歳であったのに対し、今回は0~18歳と広げられました(18歳については就学している場合)。ただし、6歳未満の低年齢の子どもについては大人が代わって回答することが想定されており、回答用紙も▽6~11歳向け、▽12~18歳向け、▽0~18歳の子どもに代わって回答する大人向けに分かれています(他に、6~18歳向けのイージーリード版が用意されています)。
質問票は学校を通じても配布されており、小学校向け・中等学校向けの授業計画と授業用スライドも作成されています(なお授業用のスライドはとても重いです。たとえば中等学校向けのスライドは1.6GBあります)。
アンケートは、子どもの属性(学校名または居住地名を含む)を尋ねたあと、一連の文章にどの程度賛成・反対するかを「とてもそう思う」「そう思う」「どちらとも言えない」「そう思わない」「とてもそう思わない」の5段階で答える方式がとられています(他に「わからない/言いたくない」の選択肢があります)。最後に、子どもたちの生活をよりよいものにするために政府は何をするべきだと思うか、自由に記述できる欄も設けられています。
提示されている文章は次のとおりです(年齢層によって挙げられていないものもあります)。
● 気になることは変えられると感じている。/気になる問題を変えられるようにエンパワーされていると感じている。
● 国を動かしている人たちは、自分たちの意見に耳を傾けている。
● 公正に扱われている。
● ほかの子どもたちと同じ機会を持てている。
● 大人になったときのよい仕事について知っている。/養成訓練制度(apprenticeships)、大学の選択肢、キャリアパスについて知っている。
● お金の管理や生活に関わるスキルについて知っている。
● 必要なときは、よい保健ケアにアクセスできる。
● 健康的な食事をしている。
● 自分の見かけに満足している。
● 自分の気持ちについて話せる、支えてくれる人がいる。
● 家と呼べる場所がある。
● 愛されている、大切にされていると感じさせてくれる人と住んでいる。
● 支えてくれる、すばらしい先生がいる。
● 学校に行くのが楽しい。/学校またはカレッジに行くのが楽しい。
● 自分を養うために必要なものを、家族はすべて持っている。
● 家族が良質な時間をいっしょにすごすようにしている。
● オンラインで安全だと感じている。
● 住んでいる地域で、安全で守られていると感じている。
● 住んでいるところの近くで楽しい活動ができる。
「ザ・ビッグ・アスク」には約55万7,000人の子どもから回答がありましたが、今回はどのぐらい回答が集まり、その結果をコミッショナーがどうまとめるのか、楽しみです。なお、〈ウェールズ子どもコミッショナー、1万人以上が回答した調査の結果と今後3年間の活動方針を発表〉なども参照。