国連・子どもの権利委員会の一般的討議「子どもの権利と代替的養護」勧告
3 勧告
I.はじめに
一般的討議日に行なわれた討議に基づき、子どもの権利委員会は、代替的養護との関連で子どもの権利を指示するための指針を締約国その他の関係者に提示することを目的として、以下の勧告への支持を表明する。これらの勧告は、第一義的な義務を負う主体である国に主として宛てられたものだが、代替的養護制度の諸側面に関与するその他の主体(国内人権機関、市民社会、親、養育者および委員会を含む)の役割についても考慮された。
II.国への勧告
A.すべての子どもが安全で豊かな成長に資する家庭で育つことを確保する
1.すべての家族に、安全で、豊かな成長に資する(nurturing)、愛情のある環境を子どもに提供するために必要な支援が与えられるべきである
● 国は、子どもの適切なケアに関して家族を強化し、家族がそのようなケアをできるようにし、かつこの点に関して家族を支援する、ユニバーサルな(すべての家族を対象とする)社会サービスを優先的に位置づけた包括的な政策およびプログラムを採択するべきである。
● 国は、離れ離れになるおそれのある家族を対象とする早期発見および子育てスキルの増進ならびに支援介入に焦点を当てた非差別的な社会サービスを優先的に位置づけるとともに、そのような家族が、コミュニティへの包摂および参加を促進する、必要な社会サービスおよび支援サービスに時機を失することなくアクセスできることを確保するべきである。
2.家庭を基盤とするケアに焦点を当てる目的で、子どものケアおよび子どもの保護のための制度を全面的に見直すべきである
● 国は、国家的・地域的・国際的な基準、枠組み、立法およびガイドラインならびにその実施を強化し、これらの基準等において、家族を強化することおよび家族からの子どもの分離を防止すること(分離が子どもの最善の利益に合致する場合を除く)に焦点が当てられるようにするべきである。
● 国は、子どもがその家族から分離させられることになる根本的原因に対処するべきである。国は、子どもを家族からの分離の危険にさらす、スティグマにつながる態度および有害な信条との闘いに取り組むよう求められる。貧困もしくは障害または養育者の性的指向、ジェンダー、民族、移住関連の地位、人種、宗教もしくは婚姻上の地位を理由として子どもが代替的養護に措置されることは、けっしてあるべきではない。
● 子どもの家庭復帰を保障するため、国は、子どもが代替的養護に措置されることにつながった困難を解決できるようにするための具体的援助を家族に提供し、かつ、ポジティブな子育てに関して家族を支援するべきである。
● 国は、家族に対する金銭的支援なども通じ、子ども(障害のある子どもを含む)が家族とともにかつコミュニティにおいて暮らし続けることを支える、家庭基盤型・コミュニティ基盤型のサービスおよびプログラムを設置するとともに、これらのサービスおよびプログラムに十分な資金を配分するべきである。子どもおよびおとなは、アクセスしやすい多様な経路を通じて情報を提供され、かつ利用可能なサービスに直接アクセスできることが求められる。
3.代替的養護の諸側面に関する経験のある子ども、若者、親、養育者その他の者に対し、その視点を共有し、かつ制度改革に意味のある形で安全に参加するための支援が提供されるべきである
● 国は、代替的養護の諸側面に関する経験のある子ども、若者、親、養育者その他の者が、養護に関連する決定および政策立案(脱施設化政策を含む)関係のプロセスにおいて、一貫したかつ意味のある形で意思決定者と関わりかつその意見を考慮させることができるようにするための、安全でアクセスしやすい手順を策定しかつ実施するべきである。
● 国は、代替的養護の諸側面に関する経験のある子どもおよび若者が自己の権利(自己の養護に関わるものを含む)を知り、かつその権利の充足を唱道することができるようにするため、これらの子どもを対象として子どもの権利に関する教育を推進するとともに、大人を対象とする子どもの権利教育に優先的に取り組むべきである。
● 国は、子どもが関連するすべての情報を理解し、かつ自己の意見を表明できることを確保するため、子どもに対し、年齢にふさわしくかつ障害に配慮した支援を提供するべきである。
● 国は、子どもの保護に関わる意思決定への親および養育者の参加を促進しかつ支援するべきである。
B.養育者と離れ離れになった子ども、保護者のいない子どもまたはケアを受けていない子どものケアのニーズに対処する
1.養育者と離れ離れになった子ども、保護者のいない子どもまたはケアを受けていない子どもの権利を保護する
● 国は、養育者と離れ離れになった子ども、保護者のいない子どもまたはケアを受けていない子ども(難民、庇護希望者、移住者および資格外滞在者である子ども、人身取引被害者である子どもならびに路上の状況にある子どもを含む)の権利を保護するための非差別的な国家的政策を確立するとともに、とくに周縁化された集団の子どもに焦点化された注意を向けるべきである。
● 国は、養育者と離れ離れになった子ども、保護者のいない子どもまたはケアを受けていない子ども全員に対し、統合された社会サービスの中核的パッケージ(保健ケア、メンタルヘルス支援および心理社会的支援、栄養、教育、住居、金銭的支援ならびに法的援助を含む)を差別なく提供するとともに、これらの子どもが家庭基盤型・コミュニティ基盤型の多様な養護の選択肢(親族養護、里親養護、カファラおよび養子縁組を含む)にアクセスできることを確保するべきである。
● 国は、家族からの子どもの分離が一時的かつ可能なかぎり最短の期間に留められ、かつ分離がすでに行なわれた場合には家族再統合が目指されること(ただし、権限ある公的機関によってこれが子どもの最善の利益に合致しないと認められる場合はこの限りでない)を確保するための政策を確立するべきである。家族の分離が長期に及ぶ場合、代替的養護の手配を行なうにあたり、子どもの生活の手配および養育者に関して確実さを提供することにより、子どもが安心感、継続感、安定感および所属感を持てるようにすることが求められる。
● 国は、緊急事態および人道危機の際に第1次対応策として活用することのできる家庭基盤型の養護の選択肢と、家庭基盤型の養護が利用できない場合に活用することが考えられる一時シェルターの規制およびモニタリングのための包括的制度を発展させかつ支援するべきである。
● 国は、家族の追跡および安全な再統合のための国境を越えた情報・調整制度を設置しまたは強化し、国境を越えて行なわれる措置のモニタリングを向上させ、かつ、子どもおよび代替的養護に関連して国境を越えて行なわれる活動における国際的・地域的協力を確保するべきである。
● 国は、難民、庇護希望者および資格外滞在の移住者である子どもを非差別的なやり方で国内の子ども保護制度に包摂するための国家的戦略を策定するべきである。当該戦略においては、必須サービスにアクセスできるようにし、子どもの入管収容をすべて終わらせ、敵対的な国境管理政策をとらず、家族再統合を促進し、かつ弁護人の提供を確保することにより、難民、庇護希望者および移住者である子どもであって代替的養護を受けている子どもを包摂することが求められる。
2.国は、子どもと家族を対象とする、包括的かつ非差別的な国家的再統合戦略を有するべきである
● 国は、時宜を得たかつ定期的なアセスメント、家族の追跡、モニタリングおよびフォローアップのサービスなどを通じて子どもが家族と再会しかつ家族において再統合するための、包括的な、一貫したかつ整合性のある国家的戦略を確立しかつ補助するべきである。
C.代替的養護を受けている子ども・若者およびその家族ならびに養護を受けて成長した大人に対し、司法へのアクセスおよび説明責任を確保する
1.国は、代替的養護を背景として行なわれた子どもの権利侵害について責任を負うべきであり、かつ将来の侵害を防止するために行動するべきである
● 国は、障害、民族、ジェンダーまたは宗教に関連し、かつ先住民族コミュニティ等に影響を及ぼす差別、構造的暴力、周縁化および植民地化の体系的政策を前提として発展した養護制度により引き起こされた現在の、進行中の、近年のおよび歴史的な危害を調査しかつ認めるための機構(国家的調査、委員会または仲裁手続もしくは修復的司法手続を含む)を設置するべきである。
● そのような機構は、不正を認知し、真実を明らかにし、情報(身元に関するものを含む)へのアクセスを提供し、責任者に責任をとらせ、包括的救済策(サバイバーに対する金銭的および非金銭的回復措置を含む)を提供し、かつ将来の侵害防止のため制度を根本的に変革するために活動するべきである。
● 国は、養護を背景として行なわれた危害について国の責任を問う目的で、養護を受けている子どもまたはかつて養護を受けていた個人が救済機構に意味のある形で参加すること(子どもの権利条約に基づく定期的報告書審査または通報手続に関する条約の選択議定書に基づく手続への参加を含む)を支援するための国内法および政策を採択するべきである。
2.代替的養護制度と関わりを持ったことのある子どもに対し、子どもにやさしい司法制度が利用可能とされるべきである
● 国は、代替的養護を受けているすべての子どもが、年齢関連および障害関連の配慮を備えた、安全な、独立の、効果的なかつ子どもにやさしい苦情申立て手続にアクセスできることを確保するとともに、苦情申立ておよび申立てに対応するためにとられた行動に関するデータを体系的に公表するべきである。
● 国は、代替的養護を背景とする子どもの権利侵害を防止し、かつ、そのような侵害が疑われる事案について時機を失することなく通報を受け、調査しかつ対処するための、義務的かつ独立の監視制度を発展させるべきである。
● 国は、代替的養護を背景として行なわれた虐待、ネグレクトならびにその他の形態の搾取および不当な取扱いのサバイバーへの体系的支援(教育、住居、保健ケア、メンタルヘルスサービスおよび救済を求めるための支援へのアクセスを含む)を要求する政策を実施するべきである。
● 国は、民事、刑事および行政裁判において子どもが司法にアクセスすることを妨げる制度的障壁(時効期間の制限、行為能力・原告適格に関する制限的規則を含む)を取り除くとともに、独立した、無償の、アクセスしやすくかつ質の高い法的サービスおよび機構を提供するべきである。
D.人権基準に合致した適切かつ良質な代替的養護サービスを提供する
1.代替的養護を受けているすべての子どもに、例外なく、人権基準に合致した適切で質の高い養護が提供されるべきである
● 国は、代替的養護への子どもの措置に関するすべての決定が必要性に基づいて行なわれることを確保し、かつ、措置が必要な場合、措置に関する意思決定において、当該子ども個人にとってもっとも適切な選択肢が反映され、当該子どもの意見が考慮され、かつコミュニティにおける家庭基盤型養護が優先されることを確保するための、ゲートキーピング機構を設置しまたは強化するべきである。
● 国は、安全な、非差別的な、個別化されたかつ包括的なケア(メンタルヘルスケアを含む)の提供を含む、国際法に合致しかつ国際基準を満たした代替的養護サービスを提供するべきであり、そのための手段として、代替的養護に関する決定に参加する子どもの権利を擁護し、子どものアイデンティティならびに家族関係およびコミュニティ関係が維持されることを確保し、虐待、ネグレクトその他の形態の不当な取扱いを解消し、かつ、差別的取扱いを受けるおそれが高められた状況にあるすべての子どもに特段の注意を払うべきである。
● 国は、国際基準に基づいた効果的な独立の監視制度および義務的登録・認証制度を設置することにより、民間サービス提供者の規制を強化するべきである。
● 国は、孤児院ツーリズムおよび孤児院でのボランティア活動を解消し、施設措置および家族の分離の推進につながる誘因を防止し、かつ、代替的養護における子どもの権利侵害(孤児院人身取引を含む)を防止しかつその訴追を可能とする目的で十分な罪名および刑罰を確保するための法令を採択するべきである。
2.代替的養護では、子どもの家族、コミュニティ、アイデンティティならびに文化的関係およびネットワークが維持されるべきである
● 国は、きょうだいが代替的養護の環境にある場合、可能なときは常に、きょうだいが一緒にいられることを、それが安全でありかつきょうだいの意見および希望と一致しているかぎりにおいて、確保するよう求められる。少なくとも、きょうだいは、それが安全でありかつきょうだいの希望と一致している場合には、おたがいに定期的に連絡をとれるべきである。
● 国は、自己のアイデンティティを保全・回復しかつ自己の養護記録へのアクセスを確保する子どもの権利を保護する政策を策定・実施するべきである。政策では、自己の文化、言語、宗教および/または文化的歴史とのつながりを保持し、かつ自己の家族構成員、コミュニティおよび友人ネットワークならびに子ども自身が大切だと考えるその他の関係を維持することに関して、代替的養護の提供者が子どもを支援することの確保に焦点を当てることが求められる。
● 国は、子ども保護政策において、先住民族の子どもがその家族およびコミュニティから歴史的に引き離されてきたことの構造的不利益および世代間効果が反映され、かつ、現在養護を受けているまたはかつて養護を受けていた先住民族の子どもの経験が考慮されることを確保するべきである。いかなる措置においても、措置先については地元の慣習および慣行で定義された子どもの家族の構成員またはコミュニティを第1に優先することが求められる。
3.社会サービス労働力を強化する
● 国は、家族の分離を防止し、かつ人権基準に合致する形で代替的養護の質を監督する目的で、子どもおよび家族を直接支援しかつ部門の枠を超えて活動する、訓練を受け、資格を認められ、認証および委任を受けかつ支援を提供される社会サービス労働力の利用可能性を確保するための投資を相当に増やすべきである。
● 国は、社会サービス労働力を拡大し、労働条件を向上させ、職員転職率を最小限に留め、配置および子どもとケアワーカーとの関係を安定させるようにし、かつ、ワーカーのメンタルヘルスおよびウェルビーイングのための支援を強化するべきである。
● 国は、社会サービス労働力要員による子どもの権利侵害の通報義務ならびに報復禁止の法律および政策を確立しかつ実施するべきである。
4.ケアリーバーは包括的支援の利益を得られるべきである
● 国は、ケアリーバーとそのネットワークを対象として包括的、計画的、継続的かつ個別的な金銭的・情緒的・実際的支援を確保するための政策を策定しかつ実施するべきである。
● 国は、代替的養護からの移行期にある子どもに、自己の将来についての意思決定に意味のある形で参加する権利を保障する政策を策定しかつ実施するべきである。
E.家族基盤型・コミュニティ基盤型の養護に向けて代替的養護制度を変革する
1.代替的養護が必要なときは、子どもは質の高い家族基盤型・コミュニティ基盤型の養護にアクセスできるべきである
● 国は、家族基盤型養護の選択肢への依拠を拡大し、強化しかつ優先させる目的で代替的養護を全面的に見直すべきである。
● 国は、親族養護を認める政策を定めるとともに、親族養護を行なう者が能力強化支援および実際的・金銭的・情緒的支援に公平にアクセスできるようにするべきである。
● 国は、里親養護制度の拡大および専門化を図り、より多くの子ども(複雑な支援ニーズを有する子どもを含む)を対象として里親養護をいっそうアクセスしやすくかつ適切なものとし、かつ、里親養育者の任命の監督、措置の規制およびモニタリングならびに有益な里親養護実践に関する調査研究を強化するべきである。
2.脱施設化(障害のある子どもを対象とするものを含む)を確保するための戦略が世界的な優先課題とされるべきである
● 国は、防止のための政策およびサービスに十分な資金を提供するため、予算配分の振り向け直しおよび増額を図るべきである。
● 国は、期限が定められ、かつ十分な予算に裏づけられた、国家的な脱施設化戦略を策定しかつ実施するべきである。当該戦略においては、施設養護から家族基盤型・コミュニティ基盤型の養護へと資源を振り向け直すことが重視されるべきであり、そのための手段として、家庭およびコミュニティで子ども(障害のある子どもを含む)を適切に養育するために必要な社会的・金銭的支援への家族のアクセスを強化し、コミュニティを基盤とするユニバーサルな保健ケア、教育および焦点化された、包摂的でスティグマのともなわないサービスへのアクセスを確保し、かつ、施設から家族基盤型・コミュニティ基盤型の環境への子どもの移行を管理することが求められる。
● 国は、国内的・国際的な資金拠出機構、協力援助および民間資金が子どもの施設措置、虐待、搾取またはその他の子どもの権利侵害を支えるために利用されないことを確保するべきであり、かつ、そのような侵害を防止するために非営利部門および企業部門を規制するべきである。
● 国は、代替的養護を受けている子ども(障害のある子どもおよびケアリーバーを含む)に関する定期的なデータ収集のための確固たるモニタリング制度を厳格な倫理基準およびプライバシー基準にしたがいながら発展させるとともに、養護改革プロセスおよびモニタリング要員配置の参考とするため、当該データを定期的に公表しかつ活用するべきである。
F.公衆衛生上の緊急事態の文脈において子どもを支援しかつ家族分離を防止する
● 国は、公衆衛生上の緊急事態に対する子ども中心および家族中心の対応策を実施するとともに、当該公衆衛生上の緊急事態が分離のおそれにさらされた子どもおよび家族ならびに親のケアを受けていない子どもに与える健康上・社会経済上の影響の緩和を目的とした支援およびサービスを増強するべきである。そのための手段には、保健ケア(心理社会的支援を含む)、栄養、保育、乳幼児期発達、社会的保護および安全、包摂的かつ公平な教育機会(遠隔学習を含む)へのアクセスを確保することが含まれる。
● 国は、子ども保護サービスが緊急の救命サービスであることおよび社会サービスワーカーがフロントラインワーカーであることを認識し、公衆衛生上の緊急事態の際にも子どものケアの継続性を確保するべきである。そのための対応には、社会サービスワーカーに対し、自分自身の安全とウェルビーイングを確保しながらサービスを提供するための必要な資源を提供することが含まれる。
● 国は、子どもを支援士かつ家族分離を防止する目的で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックを背景として発展してきた革新的実践から学び、かつそれを踏まえて取り組みを強化していくべきである。
III.関係者への勧告
A.国内人権機関
● 国内人権機関は、代替的養護を背景とする子どもの権利侵害の事案(歴史的危害を含む)を防止し、そのような事案について通報を受け、調査しかつ十分に対処するための監視機構を設置しかつ支援するとともに、そのような侵害に関する通報および救済の請求に関して、代替的養護経験のある子どもおよび大人を支援するべきである。
B.代替的養護制度の諸側面に関与する市民社会組織その他の主体
● 代替的養護制度の諸側面に関与する市民社会組織その他の主体は、国の機関とともに、家族を強化するためのネットワーク、パートナーシップ、統合サービスおよび広報などを通じ、部門を超えて調整および防止のための支援の提供を強化するべきである。
● 市民社会組織は、子どもの権利条約に基づく締約国報告書の定期的審査に参加するとともに、人権基準にのっとって養護の質を検証し、かつ養護を背景として行なわれた侵害について締約国の責任を問う目的で、その他の国内的、地域的および国際的機構(条約の選択議定書を含む)を活用するべきである。
● 市民社会は、代替的養護に関する権利擁護活動に人権擁護者である子ども(養護経験のある子どもを含む)が参加することを確保し、かつ、権利侵害の通報および救済の請求に関してこれらの子どもを支援するべきである。
C.親および養育者
● 親および養育者は、子どもの保護に関する意思決定に参加するとともに、親およびその子ども(障害のある子どもを含む)が制度をうまく活用し、専門家とやりとりし、かつ代替的養護への過度な依拠を低減させるコミュニティによる解決策を発展させていくのに役立つ、ピアサポートおよびピアネットワークを提供するべきである。
● 親および養育者は、子ども・若者が養護について意見を表明するのを支援し、かつその視点を考慮するべきである。
D.子どもの権利委員会
● 委員会は、監視機関としての役割を通じ、国際的な人権枠組みおよびコミットメントを実施するためにとるべき実際的措置(家族分離の防止を強化するための措置、統合的な子ども保護制度の構築、および、具体的な時間的枠組みと十分な予算をともなう脱施設化戦略を含む)についての明示的指針を締約国に対して示すべきである。
● 委員会は、障害者権利委員会その他の人権条約機関、国連機関、国内人権機関、国際機関、研究センター、市民社会組織、親ならびに養護経験のある子どもおよび大人と引き続き協働し、子どもの代替的養護の分野における知識(次の点に関する優れた実践に関連したものを含む)を受け取りかつ交換するべきである。
(a)とくに障害のある子どもおよび貧困状況にある子どもを対象とする、家族の強化および家庭養育支援
(b)移住の状況にある子どもの養護
(c)緊急事態(公衆衛生上の緊急事態を含む)における子どもの養護
(d)司法および説明責任確保のための機構
(e)人権基準に合致した良質な代替的養護
(f)脱施設化
(g)養護・保護制度改革
(h)財政に着目した制度の変革