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子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表、子どもに対する暴力とデジタル環境について世界の子どもたちと対話へ

 子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表が、国連人権理事会の第52会期(2月27日~3月31日)に提出した年次報告書(PDF)に関して世界中の子どもたちとの地域別対話を行ないます。今回のテーマは「子どもに対する暴力とデジタル環境」です。

 対話の日時は地域ごとに設定されており、アジア・太平洋地域については3月5日に予定されています。詳細はこちらのページをご覧ください。

 報告書(p.10、パラ51以下)では、デジタル環境におけるさまざまなリスクについて取り上げるとともに、▽予防が優先されなければならないこと、▽被害者・サバイバー中心アプローチを確保すること、▽子どもたちを解決策の一部に位置づけることなどの必要性が指摘され、企業・業界の自主的取り組みだけでは不十分であることが強調されています。

 報告書のチャイルドフレンドリー版も作成されています(地域対話に関するページ参照)。

 こちらでは、インターネットにはよい面と悪い面の両方があることを指摘したうえで、悪い面として、▽有害または年齢にふさわしくないコンテンツに子どもがさらされるリスク、▽他人とのやりとりにともなうリスク、▽子どもが自らを危険にさらすようなやり方で行動するリスク、▽個人情報の提供・取扱いについて十分に理解しないまま合意するリスクの4つを挙げ、とくにネットいじめ(cyberbullying)の問題について詳しく触れています。

最後に主要なメッセージとして示されているのは、次の3点です。

● 予防が優先されなければならない。
● テック企業は、オンラインで子どもたちを守るためにもっと多くのことをしなければならない。
● 子どもたちには役割があり、解決の一翼を担っている。

 特別代表は、3月に行なう一連の対話を、国連人権理事会におけるプレゼンテーションの検討、子どもに対する暴力とデジタル環境に関する子どもにやさしい資料の作成の参考にしたいとのことです。

 対話に参加する子ども、とくにモデレーターを務める子ども向けの資料も作成されており(前掲ページ参照)、日本での取り組みにも参考になりそうです。

 子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表がこれまでに行なってきた同様の取り組みについては、以下の投稿を参照。少なくとも同特別代表の活動に関してはこのようなやり方が定着してきたようで、「子どもの権利の主流化に関するガイダンスノート」の採択にともない、他の国連人権機構にも同様の取り組みが広がることが期待されます。

-〈子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表、国連人権理事会での報告に先立ち世界の子どもたちと対話〉(2022年3月13日)
-〈子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表、国連総会に提出した年次報告書のチャイルドフレンドリー版を発表〉(2022年9月27日)


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平野裕二
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