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韓国国家人権委員会、精神医療施設における子どもの人権侵害について是正を勧告

 韓国国家人権委員会(人権委)は、2月9日、青少年向け精神医療施設および併設の代案学校(オルタナティブスクール)で過度な行動制限や学習権の侵害が行なわれているとして、当該施設を運営する機関の長、当該施設が設置されている市の教育監および保健福祉部長官に対し、是正のための措置をとるよう勧告しました。

★ 정신의료기관 입원 청소년에 대한 과도한 행동 제한은 인권침해 -청소년의 적절한 치료, 보호 및 교육받을 권리 보장을 위한 제도개선 권고-(精神医療機関に入院中の青少年に対する過度の行動制限は人権侵害-適切な治療、保護および教育を受ける青少年の権利を保障するための制度改善の勧告-)
https://www.humanrights.go.kr/site/program/board/basicboard/view?menuid=001004002001&pagesize=10&boardtypeid=24&boardid=7607668

. 当該施設の入院患者は全員青少年で、午前9時~午後3時ごろまで併設の代案学校で教育を受けることになっています。この施設で、入院中の青少年に対して過度の行動制限が課され、また病室と教室に監視用の閉回路テレビ(CCTV)を設置するなどの人権侵害が行なわれているという申立てが、2021年4月に人権委に寄せられました。人権委の障害者差別是正委員会が現地調査を実施したところ、ほかにも多数の人権侵害が行なわれていることが確認されたことから、同年8月に職権調査に切り替え、今回の勧告に至ったものです。

 事案の概要は冒頭のプレスリリースをGoogle翻訳などで日本語訳すれば把握できますので省略しますが、人権委は、当該施設で常態化していた対応が憲法および子どもの権利条約で保障されている諸権利の侵害であることを認定するとともに、
「青少年を対象とする精神医療機関でのこれほど深刻な人権侵害は、人権委の設立以降、非常に異例な事例である。青少年期の成長過程の精神疾患に対する治療的介入および学習権の保障など、統合的介入の重要性をあらためて確認することになった」
 と述べ、今回の事案の深刻さを強調しています。

 このような施設での人権侵害はなかなか表面化しにくく、国家人権委員会のような独立機関を設置することの有効性を明らかにする事例だと言えます。


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平野裕二
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