生きる力をつけるためのスキンケア
チャイルドケアのスキンケア
先日、2回目のオンラインセミナーを開催しました。今回は「スキンケア」についてミニレッスンしました。スキンケアと言ってもチャイルドケアでのお話なので、いわゆる一般のスキンケア講座とは少し違います。皆さんがあふれる情報を抱える中で、迷わないために思考整理にもなるお話です。
最近の「美肌」に対する異常な執着と誤解が問題になっていると感じます。スマホのアプリや写真加工により、毛穴さえもなくなる肌と比較して、現実にもその肌を求めようとしているのです。一つの小さなシミに対しても異常な執着をもったり、少しの肌荒れに大騒ぎして、過剰に保湿剤を塗布したり、ややケアの仕方が過剰です。
それが子どもの肌においても、同じような感覚で見ているので、幼い時からスキンケア剤をふんだんに使い、肌が育っていく過程を抑えてしまっているようです。このようなところにもデジタル世界と現実世界のバランスが悪くなり、人の意識や思考が混乱しているようです。
スキンケアの基本は美肌作りではありません。
健康な肌とは、ウイルスや菌の侵入を防ぐバリア機能があることです。そのために基本のケアは清潔であること、規則正しい日常生活、冷え対策、保湿と潤いが大切です。
でも保湿というと、肌に塗布することだと思っている人も多いようですが、前者がおろそかになっていれば、せっかくの保湿成分も生かされません。規則正しい生活があって、ストレスの少ない穏やかな状況があれば、自然に肌は健康になっていくものです。9月~10月は季節の変わり目に入ります。気温はまだ高めですがやはり季節は巡っていますから、自然界もそして私たちの体も秋に入っているのです。
特に夏から秋に入るこの季節の変わり目は、夏バテやエアコンによる乾燥、気温差による自律神経の乱れもあり、肌にトラブルを起こすことがあります。気温はまだ夏のような状態ですが、体を考えればもう「温活」を考えねばなりません。夏バテ、エアコン、自律神経の乱れは、体の冷えを引き起こしているのです。
胃腸の働きが弱くなっていませんか? 胃腸の疲れも肌には現れます。胃腸の疲労を抑えるために、冷たいものを控え、白湯などで胃腸を温め、胃腸の働きを促進させましょう。体の冷えは様々な不調を生み出します。冷えは冬の時期のものではなく、今や季節は関係なく不調の原因になるものです。体を温めるだけで血色も良くなり、肌に変化が現れます。
また、今夏の長引く猛暑に外出を控えていた方も多かったことと思います。運動不足で肌の調子が悪いということもあるでしょう。スキンケアには体を動かし汗をかいて、代謝を上げることも必要です。暑さで汗をかいているからという人もいますが、暑いから汗をかく汗と、体を動かして代謝をあげてかく汗では種類が違います。
体を動かし、代謝をあげて内側からかく汗は、汚れを取り去るので、肌のデトックスになります。週に1回だけでも体を動かして、汗をかく習慣を作ってみられると、肌の代謝がよくなり、自然に肌に潤いが生まれてきます。そう、健康な肌は、自然に肌が潤うのです。外から塗布する潤いはすぐに乾燥してなくなってしまいますが、自らの肌の力で潤いができればなくなる心配はありませんね。
スキンケアは、ただ何か成分を与えることがいちばんではなく、肌そのものを健康に育むことです。肌を鍛えること。つまりさまざまな環境の中で肌が適応する力であったり、肌に入ってきたものを排出する力であったり、肌トラブルがあっても、回復力があるということが何よりも大切です。
これはどんなアプリだろうとごまかしがききません。表面的なことだけに目を向けるのではなく、皮膚、肌そのものの力を育むスキンケアをしっかり行っていきましょう。健康な肌になれば、水分と少しの油分で一年中健康的な肌を保つことができると思います。健康的な肌であれば、シミやしわも美しく見えてくるものです。自然界を見てください。
秋はみずみずしく青々とした葉は、やがて枯れていきますが、美しい暖色の世界である紅葉に移り変わります。人間もちょっと枯れていても美しい紅葉であればいいのです。そうやって私たちも自然界の一部であり、自然の美しさに自信をもてるように心や思考を磨いていきましょう。私たちは生きています。つやつやの時もあればカサカサのときもあって当たり前。でも肌が不健康にならないスキンケアは心掛けていきましょう。
スキンケアにはふれあいとタッチ
「皮脳同根」という言葉がありましたね。おさらいになりますが、簡単に言うと、受精卵が細胞分裂していく中で、内胚葉、中胚葉、外胚葉と分かれていき、脳と皮膚は同じ外胚葉から作られていることから、皮膚と脳は密接に関わっているということです。脳の状態、つまりストレスや自律神経が乱れれば、肌に影響します。また、肌に良い刺激をすることで、脳に良い刺激を与えることができるものです。
皮膚だけを単体の状況だけで見て判断するのではなく、皮膚は体表の脳であることを意識してケアも考えてみることです。妊娠12週目の胎児は、まだ目鼻もできていないような状態で体全体を使って子宮壁に触れていることが分かっているそうです。子宮壁に触れているときに、自分に触れているときとは違う認識はすでに脳で認識しているそうです。
自分、子宮壁そして他者に触れるリズムをすでに脳が認識し、触覚刺激、身体接触が脳の広い範囲で刺激していることが分かっているのです。胎児7週目から赤ちゃんは様々なものに触れて、脳を刺激しているそうです。つまり私たちは生まれながらにして、ふれあいとタッチを求めているのです。
コロナの影響下でふれあいとタッチがやはり激減していると思います。肌に触れることをもっとスキンケアとしても取り入れてください。何かを塗布する前にやさしくなでさする。場合によっては、これだけで保湿効果も生まれてきます。ご自身の手と手をこすり合わせたり、手を撫でまわしたりしてみてください。ハンドクリームを塗らなくてもほんのりとツヤが出てきませんか?
皮膚下の血行が良くなるからという理屈もありますが、そうではなく、刺激をしたことで脳を刺激し、安心して安らいだからだと思います。幸せホルモンのオキシトシンは脳で作られると言われていますが、肌細胞の中でも作られるそうです。スキンケアにおいてもふれあいとタッチはとても重要だということですね。ぜひ、これからの季節、ふれあいとタッチを心掛けながら幸せな時間を過ごしてくださいね。
チャイルドケア共育協会本部講師 松本美佳
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