臨床心理士さんからの応援メッセージ
育児日めくりカレンダープロジェクトの
チハルです。
いつも、応援ありがとうございます。
このプロジェクトを、以前より友人として応援してくれている
臨床心理士のMちゃんから、メッセージが届きました。
ぜひご覧ください。
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「人に迷惑をかけてはいけません」
この言葉を聞いたことのない人はほとんどいないのではないでしょうか。
自分自身が注意を受けたことがあったかもしれないし、誰かがそう言われていたことがあったかもしれません。いずれにしても、「人に迷惑をかけてはいけない」ということは私たちの中の強い規範になっています。
私はスクールカウンセラーとして小学校で仕事をしています。その中で強く感じるようになってきたのが、「誰かに頼る」ということがいかに私たちにとって難しいことなのか、ということです。生きていれば当然、いろいろと考えることや思い悩むことが出てきます。けれども、それを誰かに相談しようとなると、私たちの心にはブレーキがかかりやすいようです。
「こんなことを言ったら相手がびっくりするのではないか」
「こんな話を聞いてもらうなんて、相手に迷惑なのではないか」
こうした言葉を、大人からも子どもからも聞きます。誰かに頼るということを、相手に迷惑をかけることだと感じてしまうのです。けれども、人に頼ることを「できればしないほうがいいことだ」と過度に自制してしまう心は、人から頼られることにも不寛容な心を生んでしまうのではないでしょうか。「自分のことは自分で」と頑張りすぎてしまうと、頼り頼られ支え合う関係は希薄になり、人とのつながりが薄くなって孤立化が進んでしまうのではないでしょうか。私たちはそもそも、誰にも頼らず暮らしていけるようにはできていないのです。
わが家には現在、4歳と0歳の兄弟がいます。子どもは、暮らしの前提として誰かにお世話をしてもらわないと生きていくことができません。手のかかるものとしては最たる存在といえます。子どもを育てるというのは本当に大変なことで、自分の時間はなくなる、オシャレ心はなくなる、心のゆとりもなくなる、ないないない尽くしです。それでも我が子はかわいい。なんだかんだ言っても、目に入れても痛くないくらいかわいいと思いながら育てているわけです。手がかかること、誰かに頼らなければ生きられないことは、イコール迷惑ではけっしてない。子どもの存在は、そんなことを教えてくれるように感じます。
私たちは、もっともっと周りを頼りにしながら生きていっていいのではないでしょうか。誰かに支えてもらうことを「迷惑かもしれない」なんて思わなくてもいいのではないでしょうか。誰かの言葉に支えられ、そんな自分も誰かの支えになるかもしれない。そんなふうに思うことが「特別なこと」ではなくて、当たり前になっていってほしい。仕事をしているときと、家庭で子どもと向き合っているとき、その両方の場面で同じことを感じるのです。
このカレンダープロジェクトには、そんな思いが詰まっています。ふと触れた誰かの言葉にとても救われることがあるかもしれない。支えられたという思いが、次に誰かに差し伸べられる手になるかもしれない。子どもを育てる中でその感覚に触れることができたら、子どもにもその思いを実感を伴って伝えることができるでしょう。「自分の話を聞いてもらったら迷惑かも…」なんて口にする子どもが出てこない、そんな暮らしがこれからの世の中の当たり前になってほしいと思います。子どもを育てる家族のエールが、子どもへのエールにつながりますように。
(臨床心理士 / 公認心理師)
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