私が愛してやまない沖縄県の闇。
Prologue
私は、「戻れるときがあったらどのときに戻る?」と聞かれたら、忘れられない3日間がある。
それは約10年前の8月。
初めて一人旅をしたのは、失恋したばかりの20歳。
白とエメラルドグリーンで彩られる沖縄の海が、大好きになった。
依存症更生施設
わたしが愛してやまない沖縄という国は、言っちゃ悪いがたいそうこじれた島国であった。
沖縄で依存症回復支援施設で働いている人と深く話す機会があった。
利用者はアルコール依存、ギャンブル依存、覚醒剤・ドラッグ依存などがほとんどだという。
他にも依存症の種類としては買い物依存症(浪費癖)、ゲーム依存症、過食症・拒食症などの摂食障害、性行為依存症、窃盗症などがある。いずれもそれらに依存していて、日常生活がかままらない状態を指す。
回復支援施設ではまず生活リズムを整え、集団で更生プログラムに参加し、徐々に自己を確立させていって依存症から抜けていく。そして数年間入所してめでたく卒業し、就労支援を受け就労するか、生活保護を受けながら一人暮らしをするなどの自立した生活を送る。
ただ、施設に入所している多数がこの「めでたく卒業」にはならない、と苦い顔してその人は言った。
じゃあどうなるの?と聞いたら大抵が入所したままか、もしくは退所・逃亡が多いとのこと。
退所や逃亡のほとんどが「スリップ」だ。
沖縄は本土に比べて、ドラッグや覚醒剤の低年齢化が進んでいる。そしてアルコールやギャンブルに溺れていく大人が多いらしい。
こういった薬物使用や依存症が他の地域よりも多いとされる背景には、いくつかの社会的・経済的・文化的要因が関係している。
沖縄の経済状況
沖縄県は幸福度が高い地域として有名だ。しかしその研究結果をよくよく見ると、「非常に幸福を感じている県民」と「まったく幸福を感じていない県民」にわかれているようだ。きっと沖縄を愛して移住してきた移住者の満足度の数値も反映されていることだろう。
沖縄県は物価や土地価の割に低所得世帯が多い。低コストでハイカロリーな食事を好み、車社会で運動をあまりしないから、健康面も心配なところだ。
低所得の背景として、沖縄は失業率が高く非正規雇用が多いなど経済的な困難を抱える人が多く、所得の低水準が社会問題となっている。
そして仕事の安定が得られない若者や低所得層が「将来への不安」「対人関係の不安」から安いお酒や混ぜもんの安いドラッグに手を出すことが非常に多い。
オリオンビールがアルコール依存症の加速を止めるために人気シリーズ「WATTA」がアルコール9%チューハイの製造を撤廃したのは記憶に新しい。
そして観光業の比重が大きい沖縄は、観光地特有の夜の娯楽産業も発展しており、アルコールやギャンブルの利用が観光客だけでなく地元住民にも広がりやすい。
歴史的背景と地元民のストレス
北谷(ちゃたん)にあるアメリカンビレッジというパンチのきいた観光地に行った。
カフェで仕事をしていたら数時間に一度「ギャアアアアアアアアアアアアン」というものっそい騒音で戦闘機が頭上を駆け抜ける。聞くところによると学校の授業中もこんな騒音が響き渡るらしい。
違法薬物の流通がしやすい
沖縄県は東アジアの交差点に位置し、違法薬物の密輸や流通が比較的容易だそうな。本当かどうかしらんけど、昔、米軍基地で覚醒剤が流行り倒したらしく、基地を通じた国際的なネットワークが覚醒剤流通の温床になっているという見方もあるらしい。
依存症について
依存症は、「依存性の高い物質がはいっているからやめられない」というイメージが強い。
しかし、依存症の専門家は「そのモノの依存性が高いかどうかではなく、それを行って苦痛を逃れたという一種の成功体験のほうがはるかに問題である」と言っていた。
なので、依存症を防ぐにはその前に生じたストレスへの接触を減らすこと。
沖縄県民はマイペースでおっとりしたストレスフリーなイメージがあるが、実は先の見えない不安からなるストレスがたくさんあるのかもしれない。まぁこれはどの地域の人間でも言えることなんだろうけどな。。。。
あぁ、またアフリカのある国のこどもたちが空腹を紛らわすためにシンナーを吸う様子を思い出して胸が苦しくなる。。。。
もちろんこれらだけが原因ではないと思うし、これらに当てはまらないこともたくさんあると思う。ただ言えることは、沖縄という国は苦しいことが多く、快楽へのアクセスがしやすいということだ。
Epilogue
どんな生き物も本能的に種を残すようにできている。
知能が発達した人間が理屈で色々と考えずに種を残すように、神は人間に「子孫を残すときの快楽」を与えた。しかしときに人間はこの快楽を履き違え、結果朽ちていっている。なんとも皮肉な話だ。
私は沖縄が大好きだ。
10年前の8月に沖縄に恋をしてから、ずっと大好きだ。
今はありがたいことに定期で沖縄に行く仕事もできたし、大切な友達もいる。
沖縄のイベントも毎年参加する予定だ。
美しく穏やかで伝統的な沖縄。内地(本土)の人間が見る美しさと、うちなんちゅが抱える闇のギャップがあることを知って、なんというか一つの侘しさのようなものを感じた。
現地の問題に直面した現地以外の人間が書くものの締めくくりは「お金を使うのが最大の支援だ!」となるが、もっと抜本的な問題が潜んでいると感じる。
さぁ、沖縄の経済状況改善には何が必要?
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