ひとりの父親として、叶えたい夢があります
「最近、子どもが歩けるようになったんです!」
「すごい!急に大きくなりましたもんね。」
日曜日の朝、父と子のあそびのひろば「らんちすなっく」では、大きくなった子どもの成長を他の父親と喜び合っている新米パパの姿がありました。
こんにちは。
わたしは、長崎で父親のこそだて支援活動をしている、坪田と申します。
父親のためのこそだてサークル、こそだてパパのわ『ちくわ』を運営しています。
わたしには夢があります。
それは、性別に関係なく利用しやすいこそだての集いの場を作ることです。
利用者の男女比が5:5であり、家庭でもない、職場でもない、フラットな関係で集える場を作りたいのです。
「そういう場って普通にありそうだけどな」
そう思われるかもしれませんが、それが意外とないのです。
父親の笑顔が増えれば家族の笑顔も増えて、ひいてはそれが社会の大きなエネルギーになると思っています。しかし、特に、父親に限っては、まだまだ子育て支援の中身が充実していない現状があります。
知識を得る機会が少ない父親
母親は妊娠がわかると、助産院で母親になるための知識を得る機会があります。産後にも保健師や子育て支援員とのかかわりの中で少しずつ子育てについての全体像をつかむことができます。
しかし、父親の場合は、そういった知識を得る機会が極端に少ないです。両親学級が開催されている場合もありますが、それらは父親はサブ的な扱いのものが多いです。母親学級や母子保健課はあるのに、父親学級や父子保健課はありません。
父親は、どうしても子どもと母親を「支援する」側としてとらえられることが多いですが、「支援される側」として関わってもらえることが少ないのです。
子育ての知識を得ることにおいて父親はスタートの時点から母親と大きな差があります。
経験がない父親
現代の父親と20~30年前の父親の姿は同じでしょうか。
そうではないと思います。
以前は父親は仕事、母親は家事育児と、性別による役割分担の意識がとても高かったですが、現代はそうではありません。
父親は、収入を得ることに加えて、家事育児にも十分に参画するように社会から働きかけられています。
仕事と家庭のバランスがうまくとれない。
育休をとったはいいが、どうしていいかわからない。
近くにモデルになるような父親がいない。
経験のない父親たちは、「父親ってなんだろう」と不安に思いながらも、日々を過ごしているのです。
話す場がない父親
そういった悩みを抱えながらも、父親にはそれらを話す場はありません。
子育て支援センターも父親の利用が増えているとは言え、やはり中心は母親たちの利用がメインです。
「ママのための子育てカフェ」はあっても父親向けのものはありません。
「ママのための子育てヨガ教室」はあっても父親向けのものはありません。
父親は「支援を受ける」存在であることが社会の中で欠如しているのです。
また、父親自身も「弱音を吐いてはいけない」という性別的役割分担の意識が強い時代を生きてきたので、自分から相談をするということに慣れていない方は少なくありません。
本当の意味で性別によらないこそだての集いの場を
子育て支援センターは、もちろん性別によらず、どんな人でも利用することができます。ですが、前述したようにその多くは母親の利用で占められています。
父親も利用しやすく、話しやすい場を作りたいとの想いから、わたしは父と子のあそびのひろば「らんちすなっく」を昨年から毎月開催しています。
ここでは、父親たちが子どもと玩具で遊びながら、他の父親と話をしたり、一緒にフリースロー大会などのレクレーションをしたりして過ごします。毎回5~10組程度の親子が遊びに来ています。
「性別によらないこそだての集いの場を」と言っている反面、父と子だけの集いの場を作っているのは、現状の父親たちの集える場が少なすぎるからです。
まずは、父親だけで集まることで、参加への心理的なハードルを下げたいというねらいがあります。父親仲間ができると孤立感もなくせます。
また、当団体では、野外焚火イベントなど、母親も一緒になって参加できるイベントも開催しているので、父親だけでなく家族単位でも関われる機会を作っています。
わたしの夢は、社会を一気に変えるようなものではないかもしれません。
しかし、父親が、世界に1つの「オリジナル父親像」をそれぞれで描くことができれば、それが豊かな社会をつくる1ピース目になると思います。
みんなで大きなパズルを完成させましょう!
それでは
さよなら あんころもち
また きなこ!
こそだてパパのわ『ちくわ』坪田