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パパ保育士が父親が集える場を作った話(1)

わたしについて




「せんせー、おはよう!」

「おはよう!」


いつもの保育園でのあさのやりとり。

わたしは保育士歴17年の保育士。勤務歴のうち2年は子育て支援センターに勤務しており、こそだてがはじまったばかりの方ともおおくかかわってきました。
そして、自分自身もこそだて真っ最中の一娘のパパです。

プライベートでは、こそだてパパのわ『ちくわ』という団体を立ち上げ、父親支援活動を友人とおこなっています。

その活動の柱として、「らんちすなっく」という父と子の遊びのひろばを毎月第四日曜日に開催しています。

ここでは、父親がこどもと一緒に遊ぶことができ、父親同士のかかわりもひろげることができます。

「らんちすなっく」はすこしずつ地域で認知されるようになり、毎回様々な父子が遊びにきてくれます。

らんちすなっくでは毎回親子でうたいます

しかし、こうなるまでにはいろんな経緯があり、たくさんの方に支えられてきました。

今回から2回にわたって、「らんちすなっく」ができるまでのことを記していきたいと思います。


最後まで読んでいただくと、現代の父親のこそだて環境やニーズがよりわかりやすくなると思います。

よかったらさいごまでお付き合いください。


こそだてのはじまり

赤ちゃんの頃の娘

娘が生まれたのは2019年秋。



そこから次の春にはコロナ禍に入り、制限がおおくかかる中でのこそだてをしてきました。


保育士といえど、こそだてははじめてです。


沐浴も

夜の寝かしつけも

夜泣きの対応も

夫婦間のこそだての連携も


すべてがはじめてでわからないことばかりでした。


せいかつの大きな変化のなかで
毎日家庭と仕事のバランスを必死にとりながらすごしていました。


こそだては本来たのしいものです。


ですが、家庭と仕事のバランスのとりかたに悩んでいた私は
「この窮屈さを誰かに相談したい」と常々思っていました。


しかし
育休中で子育てを一番してくれている妻に話すのも申し訳ない。

かといって職場で話すこともありません。


友人との会話でも、趣味や最近の時事ネタについて話すことはありますが、こそだてという家庭内のことを話すには重たいテーマの気がしてなかなか話せませんでした。


こそだてのハウツーはネットの中にあふれています。


しかし、その方法が自分と家族にとって適しているかといえば必ずしもそうではありません。


現代の父親たちにとって、こそだてはとてもハードルが高いものになってしまっている気がしてなりません。


それはもちろん母親においてもおなじです。


しかし、母親は妊娠期に産婦人科や助産院と、産後は子育て支援センターなどの機関とつながる機会がおおくあります。


いっぽう、父親はそのいずれにもサブ的な立ち位置でかかわることがおおいです。


産前の両親学級や母親学級はありますが、父親学級はほぼありません。


母親向けのマタニティヨガ講座やトークカフェなどのイベントはありますが、父親向けのものはありません。

自分の父親に相談しても、「こそだては母親の仕事」という価値観が根強く、こちらの悩みになかなか共感してもらえません。

子育て支援センターでは、母親に支援員が寄り添いたくさん話を聞いてくれます。


悩みの内容は様々ですぐに解決策は見つからないこともありますが、

「話を聞いてもらえた」


という体験が

母親にとって前向きにこそだてにむかうための心のチューニングになります。

そうやって少しずつこそだてをたのしめるようになった母親をたくさん見てきました。


おなじように、話を聞いてくれる人が父親にもいたらいいのに。


実際、そうなっていないのにはいくつかの理由があります。

いまの父親支援の課題

当事者はどこ?


ひとつは、支援者サイドに当事者である父親がいないこと。


私は保育士をやっていても子育て支援をしていても、支援者サイドの男性の方とはほとんど会いません。


保育士で男性の方は数人お会いしたことはありますが、園に一人いるかいないか程度です。


子育て支援センターでは今まで男性の支援員は見たことがありません。

当事者である父親だからわかることがあるのですが、実際にその当事者は支援者サイドにはほぼ存在しないのです。


当事者だからこそ見える視点が支援の現場にすくないことはもっと改善の余地があると思います。

父親が話さない訳

もうひとつは、父親自身が悩みを話さないことです。

悩みを話さないため支援者サイドもニーズが分からないため支援ができません。


ここで「悩みを話さない」と書きましたが、正確には「悩みを話せない」が正直なところです。


父親は、男として弱音を吐いてはいけないと言って育てられたことがおおいです。


今はジェンダー教育まで進んできておりそのような考えは薄れてきたところはありますが、今の父親の時代にははっきりと「男は強くあるべき」が存在していました。


また、子どもの時に、こそだてや家事や仕事で疲弊している母親を見て育ってきた方もおおいです。自分のパートナーにおなじような思いをさせたくないと思っています。

社会の意識も変わり、父親の育児参加を強く要請される時代になりました。


一家の大黒柱としてしっかりしなければいけない。
妻や子どもを支えなければいけない。
だから悩みを口にすることは、男性にとってはタブー。

そう思って日々のこそだてに向き合っている父親がすくなくないのです。

これはこそだてをたのしめる環境と言えるでしょうか。

私たちの「はじめのいっぽ」

手づくり楽器きょうしつ
(左がわたし、右がゆうくん)

この状態はおかしい。

もっと父親が気軽にこそだてについて話せる場がほしい。

そう思った私は、友人のゆうくんに声をかけました。

彼とはもともと趣味のバンド仲間で同い歳の娘を育てるパパ友でもあります。

おなじようなこそだてについての悩みをもつ彼と、父親の場づくりプロジェクトがはじまりました。


まずは、二人の共通項である「音楽」を軸に活動しようということになり、手作り楽器きょうしつを開催することに。

これは、長与町にある、みんなのまなびばみ館で実施させていただきました。


当日は、参加者が来てくださり、簡単な楽器を作ったり、歌あそびをして父子で楽しく過ごしました。

父親支援としての活動のだいじな「はじめのいっぽ」でした。


すこし手ごたえを感じた私たちは、もっと父子で遊べて、父親同士で交流できる方法はないだろうかと考えるようになりました。


そこで、次のプロジェクトを実行していくことにしたのです。




ということで、今回はこのあたりで。
よかったら次回の記事もお読みいただけるとうれしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。



さよなら あんころもち

またきなこ!



こそだてパパのわ『ちくわ』
坪田 しょうへい



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