パフェの日
6月28日はパフェの日と聞き、居ても立ってもいられずに、ちょっと高級めのカフェへ走った。
そのカフェには美味しそうなパフェがあり、常々気にはなっていたのだが、如何せんそのカフェがウリとしている「高級さ」がネックとなり、こんな機会でもないとなかなか足を運べずにいたのであった。
やや緊張した面持ちで店内に入りメニューを開くと、どこを探しても「パフェ」の文字が見当たらない。そんなはずはない、だって食べログにも書いてあるもん、と思って一言一句メニューを暗記するくらい往復したけれど「パフェ」はどこにも見当たらない。
どうやらパフェは季節限定のメニューらしく、今の時期はかき氷がその枠にあたるそうだ。しかしそんなことはつゆ知らず、虚空を見つめてただただメニューをめくる私のその異様な光景を憐れんでか、店員さんが「お決まりですか」と駆けてきた。
時間切れを告げるように現れた店員さんを見て現実を受け止められず、震える唇を押さえつけるように噛みしめて「宇治抹茶かき氷」を注文した俺の顔は、店員さんのまぶしい笑顔と反比例するようにますます暗くなるのであった。
数分後、席へかき氷が運ばれた。かき氷を待っている間の時間は私にとって永遠のように感じたが、それは同時に現実に向き合うのには十分な時間だった。「パフェじゃないけどせっかくだからこのかき氷を味わおうじゃないか」そう思って食べたかき氷だったけど、なんでだろう、このかき氷、ちょっとしょっぱいや…。
オチが弱いのでショックで失禁したことにしようと思ったのですが、ギリギリで踏みとどまりました。