患者になる
プライマリーナースのKさんに案内されて
これから始まる入院生活を送る病室に向かいました。
プライマリーナースとは1人の患者を入院から退院まで受け持ってくれる看護師さんのことで
この時に初めて知りました。
病室は4人部屋の大部屋で窓側のベッドで入院生活をスタートすることになりました。
他の3つのベッドは既に埋まっていて皆、年配の方だったような記憶があります。
看護師のKさんに連れられて病棟を見て周りましたが、とにかく面食らうほどハキハキ明るい!
給湯室に設置されている冷蔵庫には自分の食品や飲料にマジックで部屋番号と名前を書いて入れれば自由に使っていいよ〜とか
(当時はそれぞれのナイトテーブルに冷蔵庫はついていなかったので)
浴室と入浴日についてや洗濯機の場所や使い方など…ルームツアーならぬ病棟ツアーをしてもらいました。
気圧されるままに一通りの案内やら説明が終わると、ついにパジャマに着替えて「患者」へと変わる自分…。
3歳の頃に股関節が痛くなって救急にかかり入院した経験はあったものの
それ以降は大きな病気をすることもなく育ってきたし、幼少期と成人した後とではまるっきり感覚が違うことや
よく遊びに来ている東京とはいえ、まさか入院することになるなんて思わなかったし
新幹線を使えば1時間ちょっとの距離でも
家族がすぐに来られる訳ではないから
何かあった時はどうすれば良いんだろう…と不安しかない。。
これから家族に色々な負担をかけることになるであろう心苦しさもあるし
持参した荷物を棚に移し替えたり身の回りを整えても、頭の中は全く整理できませんでした。
プライマリーのKさんは夜勤明けだったので日勤の部屋担当の看護師さんに交代すると
まずは検温をしたり血圧を測ったり基本的なことをして、担当の研修医の先生が来て採血や家族歴の問診などがあったような記憶があります。
入院した日の夕方頃には主治医から改めて病状や、これから受ける検査などについての説明があったかも知れません。
両親が帰る前にテレホンカードを何枚も買って来てくれたことを覚えていますが
(そういう時代でした…笑)
家族と離れる心細さはまだ治療が始まってもいないのに、この時が1番強かったのは間違いありません。
両親と姉が帰ってしまった寂しさはTVを見てごまかしながら
入院1日目でまだまだ緊張もしていたし
どうすれば入院生活を少しでも快適にできるかなんて知恵も経験もなかったので
消灯してカーテンを閉めて少しプライベートな空間になった時は、微かにホッとしたような感じだったと。。
その夜はちゃんと眠れたかどうかは今となっては覚えていません。
多分密かに布団を被って泣いたとは思います。