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やりすぎ暴力的ミャンマーフットボール祭り
サッカーの試合で人がバタバタと倒れていく。
その頃、赤ん坊は突如として起き上がり、全速力で走り出した。
‥‥どうして?
ミャンマー南部の港町、Myeik。そこは発音が難しい土地。ベイ、やミェイク、と発音してる人がいた。その街の中心部から、車で45分ほど進んだ先にある村。そこで毎年12月全村民が待望にしているフットボール大会があると聞く。筆者はその白熱した決闘を余すことなく記す。
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ナシダ(白)VSダンムビエ(赤)
7人制サッカーということで、試合の展開がすごく早い。ゴール近くへ攻め込まれ、ピンチかと思えば、そのボールをキーパーが蹴り上げ、相手ゴール近くまですぐに運ぶ。バスケットボールの試合を見ているような気分にさせられる。そして、何よりもコンタクトが激しすぎる。選手同士が思いっきりぶつかり合う。骨と骨が接触し、鈍い音をたてて、倒れ込む選手もいた。これがサッカーなのか?エイリア学園が雷門中学に初めてきたときのような感想を抱いた。前半は0-0のまま終了。両者とも攻めるに攻めきれない内容に歯がゆい思いをしている様子であった。
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ハーフタイムインタビュー
私は通訳の友人と共に、ダンムビエ側のベンチを訪れた。ハーフタイムは選手にとって精神を集中させ、後半戦からの組み立てをチームで考える大切な時間だ。それにも関わらず、部外者である著者を快く迎えてくれた。ダンムビエのチームの皆様には感謝している。
ダンムビエは、この試合が今年初試合なので必ず勝ちたいと意気込みを語っていた。そのために必要な準備はしてきた。特にうちの背番号19番フォエアのプレーに注目していてほしいと話した。
最後に監督からチームの写真を撮っても良いと言ってもらえたので、写真撮影をした。
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後半開始 恐ろしい現実が待ち構えていた
後半3分 ナシダ(白)20番ミャトゥ、きれいなパスを受け取り、鮮やかにシュートを決める。
後半5分 ナシダ 11番クーワァ↑、持ち前の快足を活かし、相手を抜き去りゴール。
後半8分 ナシダ 7番イエマ 左サイドから1対1の攻防を制してゴール
ナシダ猛攻、怒涛の得点ラッシュを決める。
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その後もクーワァが2ゴールを決め、彼は最年少ながらこの試合でハットトリックを達成した。
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戦場は遊び場と化する
試合終了のホイッスルが鳴ると、子供たちが待ってましたと言わんばかりにサッカーグラウンドへ乱入してきた。
私は驚きを隠すことができなかった。
子供たちは生命の根源のような笑い声を上げてグラウンドを走り回る。
今までの熱戦はなんだったのかと思わされるほどの雰囲気の変わりように筆者も思わず爆発的に笑い声を上げてしまった。
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サッカー場から徒歩で5分くらい歩き、村へ帰宅した。私はなぜか子どもたちを引き連れて帰宅することになった。その際も子どもたちの笑い声は途絶えることがなく、常に爆発的な笑い声が聞こえていた。言葉の壁があるものの、彼らの笑い声を聞いていると、どうしてもつられて笑ってしまう。子供たちから生命のエネルギーをひしひしと感じた。
突如、悲鳴が響き渡る-赤ん坊が逃走した-
村へ帰宅し、一息ついていた筆者。
すると大きな悲鳴が聞こえた。
どうやら赤ん坊が自らの意思で家から脱走し、裸足で逃げ回っているようだった。
赤ん坊は独特な身のこなしで周囲を振り切り、自由を謳歌していた。結局は大人たちに捕まり、自由を失ったことで絶望し、大声で泣き喚き散らかした。
しかし、家から脱走し、一時の自由を手にしたことは称賛に値すべきことだ。
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この国では、赤ん坊が自らの意思で逃走するという姿をよく見かける。その度に私は暴発的に笑い声を上げてしまう。なぜ赤ん坊たちは予期せぬ逃走を企てるのか。人間は生まれながらに自由を欲っしているからなのか。わからない。しかし、赤ん坊たちが逃走している様子は日常を彩るかけがえのないものものである。
SNSやサブスクといった娯楽に代替するもの
この村には電気が充分に通っているわけではない。だからといって日々を退屈に過ごしているわけではない。無ければないなりに、娯楽というものは自然と生まれていた。誰もが個性あふれていて面白い。子どもたちのもつ可能性を十分に引き出す環境とはどういったものなのだろうか。
今回取材に協力していただいた関係者の皆様へ感謝を表明いたします。
※このお話はフィクションです。