献身と友愛は地球を救う
昔のアニメは大人になっても楽しめる
たくさんのアニメを観てきた
朝は世界名作劇場を観ながらご飯を食べていた
日本昔話、ちびまる子ちゃん、クレヨンしんちゃん、アンパンマン、セーラームーン・・・たくさんたくさん小さな私の心に刻まれた素晴作品の数々
ドラえもん
幼い私の金曜日の夜のお茶の間のヒーローだった
特にドラえもんの映画は繰り返し観ていたしコミック本もたくさん読んだ
ただ私の中のドラえもんの映画は雲の王国以降は更新されていない
大人になるにつれアニメからドラマへ興味が変化したからだろう
そのドラえもん映画の中で特に記憶に残る作品
ドラえもん のび太と鉄人兵団
ドラえもん のび太の海底鬼岩城
鉄人兵団はスネ夫がプラモデルの大きなロボットを作ったのをうらやましく思ったのび太がドラえもんと口論、北極に頭を冷やしに行ったドラえもんを探しに向かい3つの穴が開いた球とロボットの部品を拾ったのをきっかけに謎の少女と出会い、ロボットとの戦いが始まるお話
海底鬼岩城は夏休み、海か山かで言い争う5人に対してドラえもんが海底に行くことを提案、海底で楽しく過ごす中で海底人の存在を知り、そしてこれから起こる地球の危機に立ち向かっていくお話
ドラえもんの主人公はドラえもんでありのび太だが
映画ではジャイアンやスネ夫やしずかがクローズアップされて素晴らしい活躍をみせる
女はか弱き者、守ってあげなければいけない存在と誰が言った?
暗にそう問われているような気がしてくる
映画でのしずかはとても勇敢だ
時に涙を流すがそれは熱い思いからくる強い涙なのだ
鉄人兵団ではけがをしたリルルをロボットと知りながら献身的に手当てする
敵だろうと何だろうと関係ない
困っている人がいたら迷わず助ける、それがしずかだ
リルルが自分の国の話をし始めた
元々人間はいたのだが欲深い人間を神は排除しロボットの国を作った
でもロボットの間にも貧富や階級が生まれ、それではいけないと人間を奴隷として自分の国へ連れて行く計画
宇宙の支配者はロボット、これは神が定めた運命
「ロボットは人間のために人間が作ったのよ」
人間はわがままで欲張りで憎しみあい殺し合い
神は人間を見放した
だから奴隷として人間を捕まえてもいいのか?
「やってること人間と同じじゃない」
口論の末リルルがしずかを攻撃し倒れる
「もうしらない、勝手に壊れてしまえばいいのよ」と部屋の外に出るしずか
友達になれると思っていたのにと悲しむ
違う思想の違う人種の人が自分を奴隷として扱おうとしているときに私は友達になりたいと思えるだろうか
いや敵意むき出しだろう
助けたいと思わない
でもしずかは違う
翌朝には何事もなかったかのようにリルルに自分の服を用意して着せているそして相手も自分も助けようと考えている
リルルはその後しずかの家を抜け出し途中のび太と遭遇、
のび太のか弱くもその奥にある優しさを感じたのだろう
本部へたどり着いたリルルは
人間を奴隷にするのは悪いこと
ゴミなんかではなく私たち以上に複雑な心を持っている
宇宙はロボットだけのものではなく宇宙に住むすべてのものにとって天国でなければならないと主張する
当然反逆だと捕まるのだがドラえもんたちに救出される
人間を奴隷にすることはいけないことだけど自分の国を裏切ることはできない
人間以上に人間らしい感情を抱く
これはしずかたちと関わったことでの変化だ
しずかたちの献身的かかわりと友愛の精神が彼女の葛藤を生んだのだ
海底鬼岩城では口の悪いバギーが登場する
臆病で怠惰
ジャイアントスネ夫が死にそうになったときは
落チタノデスカ
死ンダノデスカ
人間ナンテイバッテテモコウナルトダラシナイモノダナ
とつぶやく
でも初対面のときからしずかの優しさを原動力に動いてきたバギー
しずかにだけは大切な話をしたり頑張ったりする
しずかのやさしさは打算ではない
バギーも仲間として大切に向き合っているのだ
だからジャイアンたちの窮地の時の場面を見たときに
「あんただまってみてたの!」と叱る
仲間だからこそ厳しさも相手に向ける
この分け隔てのない友愛精神、頭が下がる
人間社会の悪を訴える
ドラえもんの映画では人間の痛いところをつくセリフがでてくる
鉄人兵団ではわがままで欲張り憎しみ合い殺し合い、格差や貧富の差を作るのが人間と言っている
海底鬼岩城では海底人がドラえもんたちの処遇について話し合いをしているときに
「陸上人は魚を取り尽し、工場の排水や放射性廃棄物を海に捨てる
深海資源を厚かましく奪っていく」
環境破壊を訴え、人間の行いに対して異を唱えている
目を背けてはならない現実をちゃんと伝える映画だ
ただ面白い、ハラハラドキドキすると楽しんで見るだけでなく
しっかりと自分の住む地球を知り、考えるきっかけになる素晴らしい映画だ
いつか私たち人間が地球にしたツケを払わなければならない時がくるだろう
いやもうじわじわと迫ってきているのだ
この異常気象、災害がその証拠だろう
いつかはもしかすると明日かもしれない
蒔いた種が開花するように悪い行いの種も大きくなって開くときが来てしまう
そのときに残念ながら私たちにドラえもんたちはいない
残り7分の切ないラストシーン
映画の残り7分(エンドロール含む)が敵との決着シーンだ
その短い時間の中に涙なくしては観られない愛と勇気と感動の物語がある
鉄人兵団でスネ夫のロボットの一言をきっかけにロボットを作った博士に助けを求めるためタイムマシンで過去へ行く
しずかたちが博士に未来に起こる悲劇の話をすると快くロボットの進化の修正を試みてくれるのだが、博士の体はかなり弱っていた
そこでリルルが作業を引き継ぐことになる
「私は本当の天国を作るの、そしてメカトピアノ天使になる」
修正をするということは3万年後のメカトピアが変わる、恐ろしい鉄人兵団はすべて消える、ということはリルルも消滅するということ
修正が終わると現代では鉄人兵団が次々と消えていった
リルルも青い光を帯びながら消えていく
リルルー!
しずかの泣き叫ぶ声
海底鬼岩城のラスト7分
その前に話は7千年前に遡る
海底ではすでに文明が発達していた
大西洋ではアトランティス、太平洋ではムーが海が連邦を築いていた
2つの連邦は軍隊を作り新兵器開発を急ぐなかアトランティスが鬼角弾、核兵器を作った
アトランティスはムーに降伏しなければ太平洋を焼き尽くすと脅す
無数の鬼角弾が世界中にちりばめられていた
アトランティス周囲は海底から空までバリアで囲まれそこには放射能が入らないようになっていた
だがそれが災いし実験が失敗、逆にバリア内に放射能が充満しアトランティスは滅びた
国は滅びたが鬼角弾と敵からの攻撃に仕返しをする自動報復システムポセイドンが残ってしまった
このポセイドンは優秀なコンピューターではないため近くの海底火山が起きればポセイドンはそれを攻撃とみなして鬼角弾を発射し反撃するという
そうなれば世界が滅びる
そのためにはポセイドンを破壊しなければならない
そこでドラえもんたちは海底人エルとともにアトランティスへ向かう
でもポセイドンのいる内部に侵入するのは困難だ
そこで登場する
勇敢なしずかだ
私がおとりになると言う
誰がしずかを弱いと決めた?
助けてくれることを信じて自ら進む勇気
仲間を信じ、自分を信じる
すばらしい勇気だ
おとりとなったしずかを助けるという新しい目標ができたドラえもんたちはようやくポセイドンの目の前までたどり着くことができる
しかし敵は強い
全員が倒れもう世界が終わる
誰もがそう諦める
そのときしずかの一粒の涙がドラえもんのポケットに落ちる
シズカサンノタメナラナンデモスル
ポケットからバギーが飛び出る
コイツダネシズカサンヲ泣カセタノハ
ポセイドンから攻撃を受けたバギーは炎に身を包みながらポセイドンの口の中へ飛びだしていった
ポセイドンは壊滅
海底火山によりアトランティスは滅びた
世界が守られた
しずかのバギーへの友愛の心がバギーの身を粉にした勇気につながった
人間を蔑む言葉を吐き、恐怖の場面で逃げ出したバギーの「こころ」を動かしたしずかの分けだてない優しさに感服した
しずかの手にはバギーの一部が握られていた
「私忘れない」と
これはフィクションだ
映画だ
でも私も忘れない
幼いころに見たこのリリルやバギーの強さと勇気
どちらも人間ではない
ロボットであり車だ
心なんてない
でも確かに心ある行動であり思いがあった
私は人間だ
心がある
彼らを見習いたい
分け隔てない献身と友愛の心で
人間だからとか動物だから
日本人だから外国人だからと自分から線を引くのではなく
その線を取り払ってどんな相手も平等に大切に接しよう
物を大切にすることもそうだろう
物だから乱暴に扱うのは違う
私が今雨風にさらされることなく夜眠れているのはこの家があるからだ
食べ物を腐らずに保存ができるのは冷蔵庫があるからだ
水があるから顔を洗える、のどを潤すことができる
すべてに愛と真心をもって接する
世界平和はそういった小さなことの積み重ねではないだろうか
どんなことにも感謝して、愛を持って接する
いがみ合い、傷つけあい、殺しあうことが幸せにつながることはない
その積み重ねはいがみ合い、傷つけあい、殺しあう未来の連鎖でしかない
その連鎖を一人でも多く断ち切っていくことが平和につながる
映画ドラえもんは世界平和のバイブルだ