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#81 バンクショットの持論と考察⑤(前編)

前回までのバンクショット記事・・・
※考察①#74はコチラ
※考察②-前編#75はコチラ
※考察②-後編#77はコチラ
※考察③#78はコチラ
※考察④-前編#79はコチラ
※考察④-後編#80はコチラ

★目次★

①バンクショットもクッション系、だから先球のスピードが合っていることが第一。

②先球に生じるスピン(特に横回転)の影響を考慮する必要がある。そしてスピンを活用すれば色々な狙いができる。

③バンクにもシステムがあるが、システムに乗せるためにはシステムに合った撞き方が必要。

④鋭角(クッションに対してより垂直に近い)のバンクと、鈍角(クッションに対してより平行に近い)のバンクにおける、スピンやクッション反発の影響の差とは。

⑤縦バンクは何故難しいのか?鋭角と鈍角のバンクは?それは数学的に明らかである。

⑥ショット後の手球がイメージできない・手球コントロールを伴わないバンクショットを撞くのはちょい勿体ない。

⑦手球コントロールという要素を考えると、時に直接ポケットよりバンクショットの方がイージーになる場面が存在する。


今回は目次の⑤・・・

バンクショットにおける「クッション際の反射角(タッチ)」の限界点についての考察

今回はバンクショットの難易度を「数学的(図形的)」に捉えてみよう、という狙いです。

まずは下の図1である

図1:的球クッションタッチの時のバンクショットで「バンクの入反射角=45°」をイメージ

「的球がクッションタッチしている場合、どの角度までなら球クッションしないのか?」を示すものである。
黒丸は手球、黒線は手球の動くライン、桃丸は的球、桃線は的球の動くライン、緑線はクッション面と平行な的球中心を通るライン、である。

図では「入反射角45°のバンクショット」となっている。
この場合、手球と的球のコンタクトポイント(接点)を通る接線と反射した的球の外周(接点)が動くライン、が一致する。
つまり、的球は手球の外周(接点)をかすめるように抜けていく様なイメージである。

であるならば、45°より入反射角がクッションに対して垂直方向(狭い・鋭角なバンク)になると、「手球と的球の接線に対して反射した的球の外周(接点ではない)が動くラインが交差する=的球が動くライン上に手球が存在する」いわゆる「球クッション」状態となるわけである。

※これらの例においても「クッションの凹み」「反射角の開き」「手球や的球のジャンプによる上下差」等々により、実際には球クッションしない事もありえるだろう。逆に先日も述べたように「クッション反射は立つ(狭まる)」想定が基本だと考えると、この条件よりも実際に球クッションしない角度は45°よりも広い必要があるかもしれない。
ちなみに・・・図は手球は全厚または的球の反射と反対側に抜ける当たりをイメージして分かり易くしているが、「腹切りバンク」においても理論上は同じ条件になるはずだ。←45°で理想条件どおりなら手球と的球はランデブー走行するはずだ(笑)
腹切りバンクの場合、回避条件が存在するショットで干渉可能性が高くなる(手球の分離ラインが的球方向に向かうのだから当然だ)。

図2:入反射角が45°よりクッション垂直寄りになった事で、的球が反射し動くライン上に手球が干渉することを示している。

では、この前提条件を念頭に縦バンクと横バンクの入反射角の上限を考えてみる。
下の図は理論上最も広い反射角となる縦バンクのイメージである。

図3:縦バンクでもっとも反射角が広くなるのは、「狙うポケットと対角の短クッション角」に的球がクッションする条件となる。(左側の台はミラーシステムのイメージで見てほしい)

ミラーシステムで見た場合、縦の入反射ラインを斜辺、短クッション×2のラインを底辺とする三角形として反射角度θを計算すると・・・
tanθ=1/2
θ=約27°
となる。
※ミラーシステムの中心線を垂線にすると、反射角度θ、短クッション(4P)、長クッション(8P)を持つ直角三角形が2つ出来る、と考えてほしい。tanθの値は前回#80の三角関数表を参考にしよう。

先述のクッションタッチでの反射角度の限界点が45°なのだから、それより明らかに鋭角ラインの縦バンクは基本的には「的球タッチの場合には狙う事ができない」ショットとなる。またタッチ条件ではなくても手球・的球が干渉する可能性も高くなる。
これを回避するためには、「的球とクッション間の隙間の存在」や「的球の反射角を変える撞点やスピード」「手球が逃げるコースを取る厚みや撞点」が必要になってくる。ということは、配置条件、ショット条件がより難しくなるという意味も持ち合わせている。

横バンクで考えてみると・・・
的球がタッチするクッションが下の図での「サイドポケットの下」であれば理論上は干渉する、「サイドポケットの上」であれば干渉しないはずである。

図4:横バンクならコレが反射角=45°である(サイドポケットが無いとして)

(※注)今回の記事は、「数学的・図形的に理論上どのように動くか、を元に難易度や狙い限界の目安を考察」するものである。経験的・体感的には上記条件より厳しい配置でも狙えるバンクショットがありえる事は多くのプレーヤーは分かっているだろうが、ここでは概ね割愛するところである。

後編はバンクの反射コースに対する「ポケットの見た目の広さ」や縦バンクと横バンクの「精度の違い」の考察に続きます。

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