見出し画像

#05 なぜ僕たちは挫折するのか?

 なぜ僕たちは挫折するのでしょうか?
 最初は必要だと思って始めた勉強も、モチベーション高く始めた仕事も、絶対痩せると誓ったダイエットも。なぜ集中力が持続しなかったり、同じことをやり続けなかったりするのでしょう?勉強や仕事やダイエットなど、やり続けることが大事だとわかっているのに持続できないのはなぜでしょう?

集中力は散漫になるようにできている

 実はこれ仕方ないのです。そもそも動物の脳は集中力が散漫になるようにできています。まだ僕たちが狩猟採集していた頃、もし何か一つのことに集中しすぎると天敵に攻撃され、目の前に落ちている食料に気づかず、異性からの信号を見落としてしまう危険があります。
 天敵がほぼいなくなり、食料が溢れ、異性とのコミュニケーションが容易になった現代でも僕たちの集中力はこれらの本能に奪われてしまうのです。

 しかし生物の進化とともに脳も進化しています。その進化は内側から脳幹、大脳辺縁系、大脳新皮質と徐々に広がっていってるそうです。

脳幹:脳の内側にあり、生命維持に深く関与している部分。爬虫類脳とも言われ、爬虫類の脳と酷似している。
大脳辺縁系:脳幹を取り囲み、感情や短期記憶に関与している部分。動物として原始的な機能を持った部分。本能
大脳新皮質:脳の表面であり、知覚、推論、論理的思考力など人間らしい高度な情報処理を司る部分。理性

 結論から言えば、危険や食料や生殖行動などに集中を奪われてしまうのは、大脳辺縁系の働き(本能)です。そして、大脳新皮質という部分がそれらを論理的に考え抑制する働き(理性)をしています。

 例えばダイエットしたいなーと思った時に目の前に食べ物があると、本能が「今食べておくべきじゃないか?」と働きかけ、理性が「いやいや食べちゃダメ!」と働きかけるのです。
 いわゆる天使の声と悪魔の声は僕たちの頭の中に存在するのです。

 認知心理学者のダニエル・カーネマンは著書ファスト&スローの中で、脳の働きを二つのシステムで定義しています。

[システム1]は自動的に高速で働き、努力は全く不要か、必要であってもわずかである。また、自分の方からコントロールしている感覚は一切ない
[システム2]は複雑な計算など頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。システム2の働きは、代理、選択、集中などの主観的経験と関連づけられることが多い。

 ダニエル・カーネマン著 "ファスト&スロー"

 この本の中で語られている内容は、この2つのシステムが矛盾を生むことで錯覚やバイアス(先入観)が生まれるということですが、集中力の文脈では、システム1が本能でシステム2は理性と置き換えれるのではないでしょうか?
 つまり食べ物を見た時、高速で自動的に動くシステム1が「今食べておくべきじゃないか?」と働きかけたあと、困難な知的活動で主観的経験からシステム2が「いやいや食べちゃダメ!」と働きかけるのです。僕たちが挫折するかしないかは、いつも「本能」と「理性」のせめぎ合いなのです。

 しかし、挫折する理由はわかりました。あとはどうすれば理性が本能に勝てるのかを考えれば良いだけです(簡単ではないですが)。今回は、挫折しにくい目標の立て方とマインドセットについて2つか3つの記事で書いていきたいと思います。

 誠実性(注意深く、勤勉であるという性格特徴)は成功する人の特徴としても挙げられます。
 ぜひ一緒に理性を鍛え、挫折しないヒトを目指しましょう^^