IKEAの出店戦略から、”ニーズ”と”ウォンツ”の違いを学ぶ
今週の『カンブリア宮殿』では、IKEAを特集していた。なんでも、これまで郊外を中心に出店していたIKEAが、都心への出店を強化し始めた、というのだ。なかなか興味深い戦略である。そして同時に、これは「ニーズ」と「ウォンツ」の違いを理解する格好の例なのではないかとも感じた。そこで今回は、IKEAの事例から「ニーズ」と「ウォンツ」の違いを学んでいきたい。
ニーズとウォンツの違い
コトラーによれば、
Needs are basic human requirements...(中略)... needs become wants when directed to specific objects that might satisfy the need.
「ニーズ」とは、基本的な人間の欲求のことであり、「ニーズを満たすかもしれない具体的なモノ」をイメージした時、ニーズは「ウォンツ」に変わるのである。
IKEAの例で考えてみよう。都心であれ郊外であれ、人々は「より快適な暮らしをしたい」という普遍的な気持ちを持っている。これがニーズだ。ただし、個人によって「快適な暮らし」が何なのか、は異なる。つまり、同じ「ニーズ」であっても、それによって生まれる「ウォンツ」は、個々人によって異なるのだ。その人の嗜好や、置かれている政治・宗教・経済・社会・文化的な背景/文脈(過去を踏まえて現在おかれている状況)によって異なるものである。
この点に留意しながら、「都心」と「郊外」の違いを考えてみる。これまでIKEAが出店してきた「郊外」では―郊外にあるIKEAを利用する消費者は、という意味だが―、下記のような「背景」があるのではないだろうか。
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