ドイツの駅構内のカフェで襲われた話
これは、数年前の寒い冬のある日。ドイツの西側にあるデュッセルドルフへ仕事へ行った帰りに、襲われた話。
事件の概要
時刻は20時過ぎ。仕事を終え、駅に着き、電車に乗るまで暖を取ろうと駅構内のコーヒー店へ立ち寄った。店内はほぼ満席だったが、ガラス張りの壁に面したカウンターが空いていたので、立ち飲みになるが、そこでひと息つくことにした。
注文を終えてカウンターに戻り、飲みながら話していると、左側にいた日本人の同僚が中年の外国人男性に何かを聞かれた。返答に困っていたので、代わりに質問に答えようと会話に加わった。
会話に加わると、その男性の話し方がおかしいことに気づいた。何だか嫌な予感がしたので、手元に意識を向けると、なんと足の間に挟むように置いていたボストンバッグがない。すぐさま右後ろを振り返ると、私の鞄を持った体格のよい男性が店外へと走り去っていく姿が見えた。
この日はパソコンに加え、機密書類を鞄に入れていたので、何としても鞄を取り返さなければならなかった。気づいた時には大声で叫び、鞄に掴みかかっていた。
犯人はまさか被害者が大声をあげて取り戻しに来るとは思っていなかったようで、すかさず鞄から手を離し、振り返りもせずに勢いよく逃げて行った。
荷物を取り返した私は、驚いて身動きができなくなっている同僚の元に戻った。事件発生時は咄嗟に体が動いたが、店に戻り緊張が解けたため、恐怖が一気に押し寄せ、両手の震えがしばらく止まらなかった。
なぜターゲットになったのか
ドイツは日本ほど安全ではない。どのくらい危険かといえば、次の通り。
日頃から防犯を意識していたが、この日は狙われる要因が何点かあった。
仕事用にフォーマルなスーツを着ていた
日本語で話していた
荷物が大きく足元に置いていた
ガラス張りで外から見えるカウンター席にいた
油断した要因
デュッセルドルフのような大都市の駅には、大抵の場合、巡回警察がいる。この日も駅構内の飲食店が並ぶ通りを歩いている警察はいたので、何かあったら駆けつけてくれるだろうと思っていた。
また、人の多い駅構内、さらにはカフェやレストランの中なら安全だろうと油断していた。
不幸中の幸い
私の場合、ケガもなく、荷物も無事取り返せたが、その後続いた盗難事件では、犯人が刃物を持っていた場合がほとんどだった。
もし、あの時犯人が刃物を持っていたらと想像すると、ニュースを読んでいるだけにもかかわらず、心拍数が上がり、手の震えが止まらなくなった。
防犯対策
この事件を機に、仕事で大都市へ向かう際は、カジュアルダウンした格好で行き、現地で着替えるようにしている。
また、特に単独で行動する場合は、貴重品とそうでない荷物を分けるのは当然のことながら、常に身軽にし、いつでも走って逃げられるように備えている。
まとめ
ドイツ国内において、仕事や旅行など単発的に行く場所では、警察がいても、店内でもどこでも油断は禁物で、防犯対策を入念にする必要があると改めてを学んだ。
ドイツに旅行や仕事で来る方、ドイツで暮らしている人たちの安全を祈りつつ。