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2020年6月の記事一覧
【彼になった彼女】25話 すすむ
ユウの大学
この大学は俺とアヤメも通っていた
懐かしい・・・
この変わらない道が、大学生へと戻ったみたいに感じる
ユウに電話しながら校門へ近づく
ユ「もしもし?」
主「お前、今日暇?」
ユ「うん」
主「家で久しぶりにゲームしようぜ」
ユ「OK!ちょうど学校出るところだから今から・・・あっ!」
ユウは俺に気づいたのか、手を振りながら俺のもとにやってくる
ユ「学校まで来るとは思わなかった」
主「な
【彼になった彼女】24話 覚悟
彼がいなくなって放心状態になった俺は一人、ベンチに座る
主「・・・・・・」
心臓が通常の音を奏でる
少しずつ周りの音が自分の耳に届いてくる
彼女と思い出のこの場所を見渡す
思い出す
彼女と幸せだった時間、あの穏やかな空間
それには目を向けず、かき消すように今苦しいと嘆き悲しむ
苦しみばかり、自分ばかりがなぜ、そうやって自分を哀れんで
自分に酔っていた
周りに同情を求めた
そんなの彼女に失礼すぎ
【彼になった彼女】23話 ここにいる
彼「ゴホゴホ、はっ・・・っはっ」肩で息をする
我に返り安心した
よかった生きてる、俺はなんてことを・・・
また突風に助けられた
本気で彼を殺そうとした・・・こんな感情が自分の中にあったなんて知らなかった
震える手を握りしめる、脈がまだ落ち着かない、さっきまで上がっていた体温が冷めていく
さっき殺そうとしたんだ、この手で
主「ご、ごめん」
彼を見ることができず俯き謝った
彼「・・・けほっ・・・」
【彼になった彼女】22話 確信
彼の夢の話と、この場所、ロケットペンダントの模様
見ず知らずの人なのに、知ってる気がする感覚
風の音、鳥の声、彼の声すべてが遠くてよく聞こえない
はっきりと聞こえるのは自分の心臓の音だけ
落ち着かせようと、必死に自分の手を握りしめ、深く呼吸をする
深く呼吸しているはずなのに息苦しい
主「最近、心臓を移植した事があったりする?」
彼以外の風景が何も見えない
彼「えっ⁉ はい、よく・・・」
仮説
【彼になった彼女】21話 ロケットペンダント
恥ずかしい、彼女と間違えるなんて
気まずい
主「・・・・・・す、すみません」
彼「いえ」と答えながら彼は俺をジッと見てくる
視線に耐え切れず
主「あの、なにか?」と聞いた
彼「あ、すみません・・・」
それでも、俺をチラチラ見てくる
彼「どこかでお会いしました?」
主「?初めてですが・・・」
彼「すみません、なんだかあなたの事とてもよく知っていたような気がして」
主「そう、ですか…」
変な子だ、で
【彼になった彼女】20話 知らない男の子
主「久しぶりだな、ここは変わってない
本当変わってない、彼女と初めて会ったあの時のまま」
髪もサッパリして、少しおしゃれして
外見だけはいつもの俺らしい格好
ここに来るなら、あんな格好は・・・
この思い出の場所にはふさわしくない
草が生えていてわかりにくいが
その草をわけると上へと続く少し古びた階段が出てくる
上に上がると小さな池が現れる
小さな池にかかった橋の向こうには大きな木とベンチが1
【彼になった彼女】19話 髪を切る
家に帰ってきたユウに髪を切ってもらいながら他愛もない会話をする
ユ「どうかな?」
おずおずと聞いてくるユウの声に俺は目を開ける
鏡に映るのは、さっぱりとした頭と不安そうなユウの顔
主「うん、いい感じ」
というと、安心して笑うユウ
髪を触りながら俺は満足げに
主「ありがと」とユウを鏡越しに見て言った
ユ「よかった、自分でも思った以上に上出来でビックリ」
女が髪を失恋すると髪を切る、というのが今
【彼になった彼女】18話 彼女を感じる
彼女がいないという現実を受け入れなくてはと思う
何かしていないとどうにかなりそうで、ポッカリと空いた穴を埋めるかのように、家の中を掃除して過ごす
彼女のいないポッカリと空いた穴がたまに埋まるときがある
それは彼女の考え方や動作、仕草がユウにあらわれたとき
俺が彼女が好きだったプリンを無意識に買ったとき
おかげで今では、冷蔵庫の中にプリンであふれかえっている
ユウの中に確かに彼女が生き、俺の中に彼
【彼になった彼女】17話 約束
突然のユウの声に驚いた
ユウの手が俺の右手首をギリギリとしめ続ける
その手は汗で湿っぽくて、冷たくて、不安が伝わってきた
主「どうした?まさかまた自殺すると思った?」
不安そうなユウを安心させたくて
俺の手首を掴んでいるユウの手にそっと自分の左手を置く
主「大丈夫
ユウが言ったんじゃないか、アヤメが好きだった俺でって」とユウの目を見て精一杯笑った
それでも不安そうにしながら、ユウは俺から手を
【彼になった彼女】16話 彼女の弟
僕の名前はユウ
普通の大学生で、普通の一般家庭
ただ普通と違うのは、早くに姉を亡くした事・・・
人生はこれからで、姉ちゃんは結婚して幸せになる予定だった
そして、結婚式の日に両親や僕宛に手紙を読んでくれて、きっと僕は泣くんだ
そう思ってた・・・
久しぶりに夢に姉ちゃんが出てこなかった
姉ちゃんが死んでからヒロキ君と久しぶりにちゃんと話した気がする
昨日のことを思い出す
大の男が、すがるように泣
【彼になった彼女】15話 朝
眠っているのか起きているのかわからなかった睡眠が
今日は身体がスッキリして、しっかりと眠れたことがわかる
ベランダから見上げる空
風が気持ちいい
ベランダで彼女が大切に育てていた植物に水をやる
彼女がいなくてもこの植物たちは・・・
こいつらも俺も、
主「生きてるんだよな、生き続けるしかないんだよな」
ユ「待って!おいていかないで!」
【彼になった彼女】14話 実感
泣いたことで、彼女がいないという実感が、じわじわと現実味を帯びてきた
泣きつかれて寝てしまうまで泣いたのに、それでも涙は枯れることはなく、
ご飯を作りながらまた涙が流れ落ちる
夢か現実かわからず、モヤモヤしていた気持ちが整理されて、
自分の感情が落ち着いてきているのがわかる
この現実があまりに重すぎて、今にも逃げ出したくてたまらない
彼女がいないこの世界
俺はどうやって生きていけばいいのか
彼
【彼になった彼女】13話 お腹の音
二人でたくさん泣いて
泣きつかれたのか、子供みたいにお互いそのまま眠ってしまった
目が覚めるともう夕方だった
お互い泣きはらした汚い顔を隠しながら沈黙が流れる
グーーーーー
ユウの腹に共鳴したかのように
俺の腹もユウに負けじと音が鳴る
二人して笑いあった
久しぶりに笑った、暖かい
主「今日はもう遅いから泊まってけ」
ユウは顔面を覆い隠す手からはみ出る耳が真っ赤になっている姿でコクッとうなずく
【彼になった彼女】12話 強気な泣き虫
ユ「何やってんだ!」
そう怒鳴りながら入ってくるユウ
あぁ、怒った顔がアヤメにそっくりだ
主「鍵かけてたはず」
ユ「かかってなかった
そんなことより、何やってんだよ!!」
主「アヤメがいた、いたんだよ!」
バン
頬をおもいきりぶたれた
優しいユウはこんな事しない、こんな事できないと思っていたから驚いた
ユ「やめろよ!」
ぶたれた頬に手をあるヒリヒリと痛い
でもそれ以上に
主「・・・・・・苦