【彼になった彼女】13話 お腹の音
二人でたくさん泣いて
泣きつかれたのか、子供みたいにお互いそのまま眠ってしまった
目が覚めるともう夕方だった
お互い泣きはらした汚い顔を隠しながら沈黙が流れる
グーーーーー
ユウの腹に共鳴したかのように
俺の腹もユウに負けじと音が鳴る
二人して笑いあった
久しぶりに笑った、暖かい
主「今日はもう遅いから泊まってけ」
ユウは顔面を覆い隠す手からはみ出る耳が真っ赤になっている姿でコクッとうなずく
主「何食べたい?」
ユ「・・・・」
主「すぐできるやつにするか、チャーハンとスープでいい?」
俺の言葉にうなずくユウ
主「ご飯できるまで風呂入ってきな」
コクッとうなずくユウ
大の男二人が泣いて、泣き疲れて寝るとか・・・
思い出すと恥ずかしい事だけど・・・
ユウのその恥ずかしくて、こっちを見ずにうなずくだけの仕草が、余計恥ずかしくさせる
こういうユウの仕草、彼女そっくり
俺は自殺しようとした
やっぱり彼女のいない生活は思いのほかきつかった
自分の空想で彼女を作り上げ存在させ続けてしまうほどに
お風呂へ行こうとするユウが背中越しに
ユ「姉ちゃんの好きだったヒロキ君でいて」
少しだけこちらを向いた顔が
耳まで真っ赤で恥ずかしそうに目元を覆いながらこちらを見る姿が
彼女にそっくりで、そっくりすぎて、おかしくて苦しくなる