スクラムマスターのノウハウ:質問に効果的に答える方法・回答集
スクラムマスターになったばかりのころ、1番困ったことは、「質問に答えること」。
いろんな方向からくる質問にどう答えるのか、分からなくて、聞かれるのも怖かったです。もし同じように感じている方がいたら、参考にしてもらえたら嬉しいです。
質問に答えるのではなく、背景を聞く
まず、即座に「答えを出そう」としなくて大丈夫です。正しい答えを出さないといけない、と思うかもしれないのですが、大体の質問にはその人の意図や、隠れた前提があったりします。
「なるほど、背景的にはどんなことがあったのですか?どうして疑問に思ったのですか?」と聞いてあげると、その人が本当に聞きたかったことや、葛藤、悩みが共有されるかもしれません。焦らず、背景に耳を傾けてみるといいと思います。
目指しているもの、解決しようとしている課題に焦点を当てる
背景を聞いた上で、改めてチームが解決しようとしている問題や、目指していることを聞いてみることをオススメします。
アジャイルに不満や違和感を持っている人から質問をされる時などは、「アジャイルかどうか」に焦点を当てると本質的な課題解決に繋がりにくくなるので注意。
アジャイルやスクラムが助けてくれることを説明しよう
私は問題の背景ややりたいことを聞けたこの段階あたりで、アジャイルやスクラムのフレームワークやルールが、そもそもどんな意図で設計されているのかを説明するようにしています。
「仰りたいこと、よく理解できました。話してくれてありがとうございます。実はアジャイルの◯◯は、こういう意図で設計されていて…こういう利点もあるかと思います。一方で、こういうリスクもあるかもしれません。◯◯さんが最も解決したいこと、チャレンジしたいことは何ですか?」
など、相手の文脈を理解してから話すことで、杓子定規にならずに、ただ境界線はしっかり伝えられるようになります。
もし分からなくても、大丈夫です。正直に「メリット、リスクなどについて調べるので持ち帰ります。」と伝えましょう。
回答集:例えばこんな質問が来たら?
どうしてスクラムでなくてはならないのですか?
→ いえ、スクラムが全てではないので、「ねばならない」は、ないです。一方で、課せられている目標や、マーケットの中の自社プロダクトの立ち位置によって、スクラムアプローチがより効率性と効果を発揮できる可能性もあるので、その辺りをヒアリングするところから始めます。
①技術やニーズが不確実なところが多いかどうか
②チームとして成長することにメリットがある(製品が長く続くことが目標)内容を取り扱っているかどうか。
③要求の網羅性よりも、価値ある内容に優先順位をつけて早くリリースする方が、顧客満足や競争優位性を持てるかどうか。流石にチーム全員こんなに時間は取れません。どうしても続けないといけませんか?
→いえ、続けないといけないわけではありません。ただ守破離という言葉があるように、まずはこのフレームワークから得られることを、味わってから変えるのでも遅くないと思います。また、できるだけ短く終わるようにチームで工夫できる点を話そうと提案します。その上で、短縮化によって生じるリスクを伝えます。
①認識違いにより手戻りが増える
②計画後バラバラと質問が来ることになる(さらに、意思決定者が答えるまで、開発者が待ち状態になるコストは織り込むのか?などの次質問も持っておきましょう)
③開発者であーでもない、こーでもないと憶測する時間が増えて、バックログ終わる数が減る
④タスク分解し切れず、一つのタスク分解が粗くなり他の人から見て不透明さが増える。また、わかる人しか触れられないタスクが増える
⑤振り返りの深掘りができずに真因解決できないので同じ現象を繰り返す
などなどです。アジャイルだとプロジェクト管理がうまくできません。
→管理の目的が違うから、これまでの前提に敷かれているレールの上で、小手先の手法だけ変わろうとしてもたしかにうまくいかないし、馴染みづらいですよね。
なので、今後のビジネスゴールに対して、管理するもの、目的を整理していきましょう。
このテーマはプレイングマネージャーの方が多く通る道です。スクラムマスター含め皆の理解が深まるいいタイミングでもあります。
プレイングマネージャーの方々によくありがちなのは「オペレーションで手一杯の状況から抜け出せない」ことです。
依存度を意識的に低めないと、その方だからこそ取り組むべき新しいチャレンジに使う時間を作り出すことは難しいです。
今の運用だけでも苦しいのは理解しつつ、新しいテーマはどんどん起こりますし起こしていきましょう!という先の目標にも焦点を当てていけるといいと思います。人の習熟度によってアウトプットまでこぎ着ける時間が違うため、基本はリーダーが進めて適宜アサインさせる方が効率的ではありませんか?
→ チームとして成長することでビジネスを推進していくことを見込んでいるのかどうか、をまずは話しましょう。
もし、Yesの場合、「人の習熟度によってアウトプットまでこぎ着ける時間が違う」からこそ、計画でしっかりと仕事の内容やアプローチを設計することが、大事なのではないでしょうか。習熟度の高い人から考え方が学べたり、タスクの切り方が洗練できたり、タスクを行うときに誰に協力を仰ぐといいかが計画の時間で一気に明らかになり、個別の調整やコミュニケーションコストがなくなる効用などを補足したらいいと思います。チームで責任はダレる。ストーリーごとにオーナーをつけられないか?
→「誰のために、何のために」を聞きながら、目的を合わせます。「オーナーシップを持つ」ことをチームメンバー一人ひとりが鍛錬することや、そのために施策実験段階であることの認識を合わせます。
また、チームにもその趣旨をオープンにすることを勧めます。
これらの質問はごく一部ではありますが、上記のように、これはダメなの?と言った形で聞かれる事も多いかと思います。
ぜひ色々な実験をやって「促進」をしてみてください。
いかがでしたでしょうか?こんな質問にどう答えたらいいんですか?というリクエストもお待ちしております。
あなたのスクラムマスター道がより充実した学びの旅になりますように!