何のために働くのか
まだまだ男尊女卑の価値観が広く深く蔓延っている地域で、私の母は義理両親と同居する専業主婦でした。
すべての家事・子育て・義理両親の世話を担っているものの、経済的な自立ができずができないために父と対等な立場で生活をすることができず、結果的に母は長年鬱病に悩まされてきました。
母の姿を間近で見てきた私は「経済的に自立をしないと夫とは対等になれない」と強く考えるようになり、社会人になって10年、これまで一生懸命働いてきました。結婚してからは夫より多く稼ぐことに必死でした。ハードワークだけれども高いお給料をいただける今の会社にわざわざ転職したのも、そのような価値観があったのでしょう。
そして精神障害を患い、働けなくなってしまった今、私は自分に価値を見出すことができなくなりました。「お金を稼げないなんて母と同じだ。自分も家庭で居場所がなくなるのでは?」と憂いました。
けれども今日ジェーン・スーさんの生活は踊るを聞いていたところ、ふと、気づいたのです。休職して稼ぎがなくなったけど夫の態度は何も変わらず、ただ私を対等に大切に扱ってくれてるではないかと。「私はどんな私でも対等に接してくれる人と結婚したのだ。これからは対等になるためにお金を稼ぐのではなく、自分の生活を潤わす程度のお金を稼げばよい」とようやく理解できました。
これまでは体に不調がでようと、心が壊れようと、「たくさん稼いで夫より上にたたないと」とがんばってきたのですが、「もうすでに安心できる家庭という環境があるんだ」とわかり、涙があふれてきました。
子供のころは父親の影響で家庭には緊張感がつきものでしたが、今は家庭とは自分が一番安心できる場所に変わりました。それだけで私の人生はもう成功なのかもしれません。