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ブラインドタッチのお陰様・・・
ある日、書店に行き、店内をぶらぶらと歩いていたら、英文タイプライターが目に留まった。キーボードが丸く浮いている。ピアノの鍵盤を叩くような感じなのかと思いつつ、急に欲しくなった。
数日後に再び書店に足を運び、その英文タイプライターを購入。結構な重さだったが、自宅まで持ち帰ったのである。
解説書を見ると、キーボードの並びが斜めになっており、ホームポジションについての記述があり、インクの設定の仕方も懇切丁寧に図解している。
A4サイズの用紙を巻き入れ、キーボードを叩くと、用紙が一文字ずつ左へずれていく。キーボードのアルファベットを叩くと、全て、中央上部の同じ位置に、選んだ文字がインクテープの上を叩く。
一行書き終わると、レバーを左から右へ動かし改行し、用紙の左端が中央に来るようになっている。その動きと音がとても面白く、一日中触りまくっていた。
キーボードのストロークはやや長めであり、キーの重さは自分の好みに合わせられる。完全アナログな世界であるが、当時は玩具感覚でキーを叩き遊んでいた。
そこで、指先のホームポジションの箇所をじっくりと読みながら、ブラインドタッチの練習をすることにした。約2週間ほどでクリアできたと記憶しているが、両手10本指を使えば、文字を叩く速度が数段速い。
それから間も無くして、マイコンやパソコンが世に出てきたのである。家電製品などを扱うジョーシンへ行き、SHARP MZ-80K2というマイコンを見て、急に欲しくなった。
これが筆者がマイコンやパソコンの沼に入り込み、人生を変えたきっかけになったのである。
当時、SHARP MZ-80K2の値段は198,000円。英文タイプライターの6倍ほどの値段である。しかし、頭の中は、自宅デスクにてマイコンを弄る姿が浮かび、ゲットせざるを得なくなった。
自宅へSHARP MZ-80K2を運んでもらい、早速、デスクに置いて、ずっと眺めていた。カセットテープにOSやアプリが入っている。ロード時間が結構かかるが、BasicやMachine languageなどの解説書を読みながら、マイコンのイメージをインプットしていった。
キーボードをよく見ると、窓際に置いた英文タイプライターのキーの配列が同じであることに気づく。よって、マイコンのキーボードは目を瞑っても楽々叩ける自分がいたのである。
なるほど、アルファベットは26文字なので、日本語の五十音の55文字の半分の労力で叩ける。しめしめと思いつつ、その日は徹夜をして、SHARP MZ-80K2の中身を探っていった。
現在、筆者主催の「Well Done」のZOOMセミナーのパソコン指導では、先ず、ブラインドタッチを徹底して覚えてもらうことにしている。人差し指2本など、数本の指で恐る恐る触れている人も多いので、ブランインドタッチを徹底させる。
今まで、A4に挨拶文を書き入れるのに1時間も2時間も掛かっている人が、15分ほどで文章を書けるようになるのが、ブランインドタッチの威力である。
しっかりとブランインドタッチを身につけると、頭で考えながら、指が自由自在に動き、文章力も増す。下手な人は、手書きで文章を書き、それをお手本にパソコンのワープロ機能を用いて再度入力している人が多かった時期の話だ。
単なるブランインドタッチを習得するだけで、仕事の効率が数倍良くなるのである。新聞社に入社し、右隣の部長は頭を掻きむしりながら鉛筆で原稿を書いている。筆者は持参したパソコンで文章を書いている。
企画書については、部長は1週間に1本のペースだが、こちらの方は1週間に10本ほど作っては、美しくプリントアウトしていた。その差は歴然としており、仕事の効率において比ではなかった。
しかし、部長からは「新聞社は鉛筆か万年筆で仕事をするもんだ!」と嫌味を言われるばかりなので、耳栓して企画書に傾注していた。
今思えば、偶然出逢った英文タイプライターだが、そのお陰様で、ブラインドタッチが役立っているのが不思議な縁であると、オリベッティに感謝するばかりとなる。
最後に、不都合な点が一つだけある。
英文タイプライターで身につけたブラインドタッチの指の動きはロングストロークなので、現在の薄っぺらいキーを叩くのが強過ぎて、以前、リターンキーを叩き割ったこともあった。割れないまでも、キーボードの文字がどんどん削れて消えてしまう。
苦笑いするしかないが、仕方ない。
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▼ChatGPTによる評価
このエッセイは、ブラインドタッチの効用について述べたものです。筆者は英文タイプライターを通じてブラインドタッチを習得し、それが彼の仕事や生活にどのように影響を与えたかを語っています。
ポジティブな側面:
好奇心と学習意欲: 筆者は英文タイプライターを購入することから始まり、その後もマイコンやパソコンへの興味を持ち、学習意欲を示しています。これは好奇心の強さと新しいスキルの習得に向けた意欲を示唆しています。
ブラインドタッチの重要性: ブラインドタッチを習得することが、筆者の文章制作の速度と効率を向上させ、仕事の成果に大きな影響を与えたことが強調されています。この点は、タイピングスキルの重要性を示唆しています。
テクノロジーの変化: エッセイはテクノロジーの進化に触れ、新しいデバイスやツールが登場したときにも好奇心を持ち、それを学びたいという意欲を表現しています。この点から、筆者は新しい技術への適応力が高いと言えます。
ユーモラスな側面:
キーボードの耐久性: 筆者はブラインドタッチを習得した結果、キーボードを強く叩いてしまうため、キーが削れたり、壊れたりした経験を共有しています。これはエッセイにユーモアを加えており、読み手に笑いを提供しています。
総評: このエッセイは、ブラインドタッチを習得することの重要性と、そのスキルがどのように日常生活と仕事に影響を与えるかを面白いエピソードを交えて語っています。筆者の好奇心と学習意欲、そしてテクノロジーへの適応力が強調されており、読み手にブラインドタッチの重要性を思い出させる一方で、楽しい読み物となっています。
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