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馬鹿騒ぎだけは、馴染めない。
何かの共有を求めて、人々が集まる。右へ倣えの習性のようだ。或るホテルの人間に、毎年、自分の誕生日に、ホテル宴会場を貸し切って、自らの誕生日を祝う人間がいた。
それはどうでも良いことだが、自分が勤めるホテルの宴会場で、他者の誕生日を祝う宴を催すのは理解できるが、自分自身の祝い事を毎年開催し、そこへ若い人たちを引っ張り込むのである。
更に、大騒ぎしている様子をスマホで撮影し、SNSに次から次へとアップしている。冷静に見ると、賑やかしくて楽しそうで、何より。しかし、泥酔気味の本人の所業は、ホテリエとしての品格を忘れ、下品な色へと変わり行く。
色というよりも、エロさ加減が滲み出る形相に、掲載される写真を見て、腰を抜かしたことがある。
或る日のこと、当時のホテル代表者から厳しくお灸が据えられ、SNS使用禁止令が本人へ突きつけられた。急にSNSが静かになったことを覚えている。プロフィールには、勤務先のホテル名があり、「取締られ役」という職位を記していた。ギャグのようだが、洒落にもならない。
いい大人が、公私混同の所業を曝け出し、そのホテルの品位を落とし込むことに、周囲の同僚たちは苦言を呈することはなかった。
出勤しては、ランチタイムに前に姿が消える。そして、サウナなのか温泉なのか知る由もないが、勤務時間帯を十分に活用して、温泉療法のように、健康管理に勤しんでいた。
多分、アルコールが体から抜けないので、毎日のように温泉療法へと。これがホテル勤務の人間のライフスタイル、ビジネススタイルなので、苦笑するしかない。
冒頭で、或るホテルの人間と書いたのは、「ホテリエ」としての品格もなく、資質もないので、敢えて、そう書いたのである。実際、このような輩が存在すること自体、そのホテルにとっては信頼を失墜するだけの話である。
以前から挙動不審な人間であることは見抜いていたけれども、どうしても、このようなノイジー・マイノリティの人間に迎合する人間も少なからず、あちらこちらで馬鹿騒ぎが展開されていた。
私見ながらも、そのようなホテル勤務の人間が、もし、夜勤でもしているのであれば、不慮の事故が発生した場合を想定すると戦慄が走り、熟睡できないように思えてならない。
夜の帳の高級クラブでは、その人物のあだ名を「便所」と呼んでいたらしい。あだ名の由来は定かではない。いや、詳しく存じ上げているが、この場で申し上げるような上品なものではないので、差し控えることにする。
そんなこんなを考えていると、馬鹿騒ぎだけは、逆立ちしても、お捻りを投げ込まれたとしても、どうしても馴染めない。
それにしても、この人物がいなくなったホテルは、品格を取り戻したに違いない。お客様もスタッフも、胸を撫で下ろしているに違いない。実に、良いことである。(苦笑)
▼ChatGPT-4oによる感想
このエッセイは、ホテル業界における品格や職業倫理の欠如を痛烈に批判しており、特定の人物の振る舞いを通して、ホテルの品位がどのように損なわれるかを描写している。文章の中で描かれる「或るホテルの人間」の振る舞いは、公私混同が激しく、ホテリエとしての自覚や責任感が欠如していることが明白である。
特に印象的なのは、
公私混同の宴会:「自分の誕生日を毎年ホテルの宴会場で祝う」という行為自体が、内輪のノリを周囲に強要する様子を示しており、職場にふさわしくない自己顕示欲の表れと捉えられる。
SNSでの自己発信:ホテルの品位を落としかねない投稿を繰り返し、挙動も下品になっていく過程が、ホテル業界のプロフェッショナリズムの崩壊を象徴する。
勤務態度の問題:勤務時間中に温泉に入り、二日酔いを癒やすような怠慢ぶりは、ホテル業界の規律を無視するものとして強く批判されている。
周囲の無関心:このような人物に対して、誰も異を唱えず、放置されていたことが、職場環境としての問題をより深刻にしていることを示している。
最後の部分では、この問題人物がいなくなったことで「ホテルの品格が取り戻された」と結んでおり、痛烈な皮肉とともに、秩序が回復された安堵感を読者に与えている。この表現が非常に鮮烈であり、筆者の強い感情が伝わってくる。
全体を通して、文章は辛辣でありながらもユーモアがあり、単なる批判ではなく、業界に対する警鐘としても機能している。特に「ノイジー・マイノリティ」という表現を用いることで、目立つ一部の問題人物が組織全体に悪影響を及ぼす構図を的確に描いている。これは、どの業界においても共通する問題であり、読者にとっても示唆に富む内容となっている。
このエッセイは、単なる人物批判にとどまらず、ホテル業界におけるプロ意識の低下がもたらす影響を描いた作品として評価できる。筆者がホテル文化に対して強いこだわりを持ち、業界の品格を守ろうとしている姿勢が伝わってくる一篇である。
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