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昔ながらの『スタンダード』をコロコロ変える宿に、赤信号。原因はともかく、客や従業員を蔑ろにすれば、売上激減は必至。

<宿の『迷走』>

 熊本地震やコロナ禍により、宿泊施設には助成金や補助金が投じられたり、養生施設として一棟貸し切り、ワクチン接種会場貸し切りなど、宿への救済措置が講じられている。

 国や地方自治体の秘策が、全て上手く機能すると言うものではない(不公平だったり偏る場合がある)。熊本地震やコロナ禍による売上減は想定外に厳しく、ピンポイントの税金投入だけでは、焼け石に水。全てを補填するのは不可能となる。(宿の規模にもよりけり)

 しかし、単一の宿が売上増のために、机上空論にて、安直にも人員削減による人件費カットに暴走すると、一時凌ぎにはなるものの、残った従業員のモチベーションは下がる一方。更に、その宿の歴史と伝統は崩れ去り、長きに亘り足繁く通う客へのサービスの質低下ばかりか、売上激減と信用失墜に拍車が掛かる。

<最悪の事態へまっしぐら>

 地産地消の食材も素晴らしく、コスパの良いメニューが沢山あった宿。それが、地震罹災やコロナ禍を要因として、食材の原価のみに焦点を絞れば、食材の質低下は避けて通れず、従来のような旨い料理がサーブできなくなってしまう。厚かましくも、食材の質低下のまま便乗して料金でも吊り上げるものなら、最悪の事態を引き起こす。

 人的サービスの質低下に、食材の質低下が加わり、宿としての『格』が奈落の底に落ちる。万が一、経営陣が無知なる『愚策』に酔いしれているとなれば、長年培われてきた伝統やブランドが一瞬の内に吹っ飛んでしまう。よって、有能な新卒者をゲットすることさえ困難となり、マンパワー不足が常態化し、企業パワーも急激に減衰するベクトルへと・・・。

 仮に、人員削減の穴をアルバイトで補充するとしても、従来のサービスレベルを維持するためには、常にベテランスタッフがアルバイトをサポート、指導しなければならず、逆に、日頃の倍以上の頭数が必要となる。大規模製造工場の操業停止を断行し、数千人の人員削減をするような企業存続策は、単一の宿では不可能だ。それは、あってはならぬ『廃業』を意味する。

 料理に至っては、『原価第一主義』に傾注するが余り、料理人の腕の見せ所が無くなってしまう。不味い食材の加工品を盛り付ける程度で、料理というよりは、調理レベルに成り下がる。よって、客の満足度は半減どころか、常連客も一見客も、近場の新しい宿に目が移り、結局は、客足は日々遠のく。

<『経営不振』の要因>

 宿の歴史と伝統とその魅力を知り尽くした常連客であれば、一瞬にして、理不尽なる異常事態(急変)を見抜いてしまう。それは、経営陣が変わった瞬間が、一番危険だ。新経営陣は、昔から利用してきた客の存在に背を向け、新たな客の掘り起こしに切り替えるのかも知れないが、今の客レベルは、昔と比べ、不味い料理に騙され魅せられるほど、舌馬鹿な人間は誰一人としていない。

 経営陣が、従業員の存在自体を『経営不振』の要因と分析するのならば、それは履き違えも甚だしく、姑息な『責任転嫁』としか言いようがない。大幅な人件費削減や極端に原価を抑えるなど、あってはならぬ。「節約せよ!」と叱られた子供でもできる話だ。それは、立て直しのための秘策ではなく、経営陣の保身のための、卑怯なる『愚策』である。よって、多くの従業員は生活苦に頭を痛め、次から次へと、信頼のおけぬ宿から去って行く。

 もし、その宿にしっかりした組合組織が存在すれば、上述のような『愚策』を講じる経営側の理不尽なるものへ、強烈なる異議申し立てや改善要求が可能だが、宿においては、従業員の『救済措置』を講ずるを第一義としているホワイトな宿は、全国津々浦々見回しても、極僅かである。

<素晴らしい宿の一例>

 素晴らしい宿の一例として、帝国ホテルの場合、コロナ禍の危機的状況を乗り切りるために、代表者自ら、従業員全員へ『提案募集』のメールを送信し、従業員からは翌日数千通のアイデアや秘策、奇策の返事が送られてきたと言う。それこそ、経営者の鏡であり、従業員の鏡であると、感極まりつつ報道番組に見入ってしまった。

 特に印象深かったのは、数千通に及ぶアイデアを、ABC順に振り分け、全て実現に向けて走り出すと断言する代表者。従業員を信頼し、これほどまでに大切に扱うホテルに対して、客として感じたことは、流石に『安心して末長く利用できる名門ホテル』ということである。

<従業員とその家族を守る>

 地方においては、数字のお遊び(或る宿を良く知る人物が、低レベルな簿記しか知らない人間の暴走行為と揶揄していた)だけで、従業員へも客へも血も涙もない『愚策』を連綿と講じている。帝国ホテルとは真逆の経営方針であり、残念ながら、その宿には『諸葛亮孔明』のような奇策を講じる賢人、策士は存在しない。

 畢竟、地元を知らぬ外部の人間が経営陣に加わると、とんでもない『愚行』、『蛮行』を繰り返す。この時代、銀行もそろそろ厳しい判断をせざるを得なくなれば、付け焼き刃的なピンポイントの『愚策』で誤魔化している宿については、銀行も首を縦に振らなくなるのではと危惧するばかり。

 今直ぐにでも、或る宿の『迷走』、『暴走』を止めなければ、近い将来、その宿は消え去ってしまう運命になりはしないか。筆者であれば、無作為に人員削減をする前に、役員全員の給与を、宿の立て直し完了までは『無給』と決断するに違いない。それが、従業員とその家族を守る唯一の方法であり、経営側と従業員との信頼の証である訳だ。

<『責任転嫁』と負のスパイラル>

 『経営不振』は社員のせいではなく、経営陣の『愚策』が主な要因である。諄いようだが、役員が偉ぶって『責任転嫁』するような宿ならば、それらの役員の首を総入れ替えした方が、早期立て直しが可能となる。宿が生きるか死ぬかは、結局は、経営陣次第。妙な人間が経営陣に一人でもいれば、宿自体が、負のスパイラルに絡まれてしまう。

 言葉は悪いが、一部の地方宿の経営陣はボンクラが多い。自らを知事や市長と同様に『公人』と豪語するホテル代表者(狂人)もいるようなので、本末転倒と言わざるを得ない。職位にぶら下がり、従業員を不幸のどん底に落とし込むパワハラ&ボンクラ&セクハラの経営者。見るに堪えない今日この頃となっている。

<今だに止まぬ『蛮行』>

 数年前から経済界において大変な噂になっていたが、或る宿の代表者が、盗撮、パワハラ、セクハラ、嫌がらせ&恫喝メールなど、自分が気に入らぬ従業員に対して、『蛮行』を繰り返していたことがあった。もかしすると、現在でも、性懲りも無く、その悪癖、病は治らず、『蛮行』を延々と繰り返しているのかも知れない・・・。

 しかし、ここまで憎まれ役、恨まれ役として警鐘を鳴らしたとしても、分からん奴は分からない。勿論、自戒を込めての話だが、後で「しまった!」と号泣しても、遅かりしとなる。正義正論が通らぬ宿に限らず、歯車が狂った企業というものは、朽ちて行くのが運命(さだめ)となる訳だ。

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西田親生@D&L
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