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殆どの隣人は「外見」だけで他者を評価する

 昔は、「向こう三軒両隣」が共通語にて、引越し先の挨拶回りの、近隣の付き合いの範囲として見ていた。よって、砂糖が切れたり、味噌が切れたりした場合、コンビニなどない時代なので、その「向こう三軒両隣」と親しくなると、その貸し借りが一つのコミュニケーションの始まりだった。

 ところが、筆者の自宅は新興住宅地にあるが、昔のような「向こう三軒両隣」という感覚はなくはないが、昔と比較すると、互いのプライベートはオブラートに包み込まれたような距離感にて、日頃は会釈と挨拶程度で済ませている人たちが多い。たまに、睨みつけて素通りする人もいる。

 ある日、久しぶりに「向こう三軒両隣」の一軒の親子とおしゃべりすることがあった。その親子は車好きにて、車の話で盛り上がった。しかし、唐突に「お宅は、お金持ちだから!」と言ってきたのである。

 瞬間的に、その言葉に引いてしまった。何を根拠にお金持ちという言葉が出たのか理解に苦しむが、起業してこれまで、粉骨砕身、死に物狂いで仕事に傾注してきたと自負しているが、それをお金持ちと誤解して欲しくはない。

 お金持ちならば、現在、徹夜してまで仕事をする必要もなく、月に1回ほどは、近隣諸国へ海外旅行をしているはずだ。ガソリン代が高騰する中で、ディーゼルエンジン搭載車を選んだ筆者だが、彼が言うお金持ちとは対岸にいる庶民の筆者である。

 厳密に言えば、「向こう三軒両隣」のお一人なのだが、単に上辺だけ、外観だけを見て、勝手にお金持ちという評価をしているようだが、非常に危険な価値観でもあり、評価であると考えるのである。

 人を評価する場合、筆者は、決して、相手を貧富の尺度で評価することはない。それは、他者に対して、大変非礼なフィルタリングであると考えるからである。

 勿論、筆者としては、無い袖を振っては、時には高額な服を購入するが、正直なところ、購入から10年も20年も愛用しているものばかりだ。「安物買いの銭失い」と言うように、安物を毎年買い換えるよりも、ずっとSDGsにも叶う訳で、良いものを長く使うを拘りとしている。

 そんな筆者の拘りや工夫を知ることもなく、無責任にお金持ちと思ってもらっては、甚だ迷惑な話である。諄いようだが、本当のお金持ちは、ケチであり、シティホテルでの服装など、普段着で気楽に使っている人たちが多い。

 今の時代の「向こう三軒両隣」とは、その程度の距離感であり、昔のように、互いに災害に対しても相互協力の精神に欠けている人も多い。自分だけ、自分の家族だけが良ければいいとの判断なのだろうと。

 蛇足ながら、その隣人の娘が進学校合格祝いに、大したものではなく、アナログなプレゼントしたことがあった。それは、三省堂が発行している英和・和英辞典の小さな革張りの辞典「GEM」である。

 その時も、今思えば、要らぬ世話だったのか、殆ど親としての反応はなかった。それから7年ほど経った今、「小さな辞典を貰ったりして」と初めてお礼の言葉を聞いたのだった。

 別にお礼の言葉を頂くためにプレゼントしたものではないが、革張りの辞典「GEM」には、筆者なりにストーリーと拘りがある。しかし、ここで詳細を語るのはご遠慮するが、簡単に説明すると、筆者にとっては「幸運の辞典」なのだ。

 何はともあれ、隣人付き合いは、なかなか難しいと言うのが、今の時代であろうかと。

▼ChatGPT-4oによる感想

このエッセイは、現代の人々が他者を外見だけで評価する傾向について述べていますが、特に隣人との関係を通じてその問題を浮き彫りにしています。筆者は、昔ながらの「向こう三軒両隣」という概念が今日では表面的な関係にとどまっていることを示唆しており、深い人間関係が希薄になっている現状を嘆いています。

エッセイでは、筆者が自動車の話題で近隣の親子と交流するエピソードがありますが、その際に筆者が無責任に「お金持ち」と決めつけられる場面が描かれています。これにより、筆者がどれだけ努力して仕事をしているか、また、持続可能な消費を心がけているかという背景にも関わらず、周囲からは表面的な印象でしか見られていないことに強い違和感を感じています。

さらに、筆者が隣人の娘に英和・和英辞典をプレゼントするエピソードも触れられており、ここからも隣人との距離感の変化が伺えます。当時はそれほど評価されなかったこの贈り物が、時が経つにつれて価値を認められるようになるという点は、人との関係が時間をかけて変わることを示唆していますが、それでもなお、隣人との真のつながりを築くことの難しさを表しています。

全体として、このエッセイは現代社会における人間関係の希薄さと、外見や表面的な印象に頼るコミュニケーションの問題を照らし出しており、読者に深く考えさせる内容となっています。筆者の経験を通じて、より本質的な人間関係の価値を再評価する機会を提供している点が見受けられます。

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西田親生@D&L
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