「どうしても、気になる人」がいる。
I don't know the reason why…と言いたくなるほど、「どうしても、気になる人」がいる。数は少ないが、どうしても、気になってしまうのである。
先日、気になって仕方なかったので、昼過ぎに電話をすることにした。
最初は、ここ数年お会いしていない、珈琲アローの店主 八井巌さん。ダンディズムの塊のような方であり、同店は「琥珀色の珈琲」として、全国からわざわざ足を運ぶ珈琲のプロやファンもいる。
現在85歳。昔のように、午前3時過ぎまで店を開けることはできないが、今でも午前11時から午後4時頃までは、「琥珀色の珈琲」を無言で点てている。(敢えて、「点てる」を使用)
1964年開業。創業者であり、60年近く「琥珀色の珈琲」を点て続ける、肥後モッコスの代表格。
電話の声は、寝起きだったのか、少々小声だった。
「最近は筋力が落ちているので、筋力トレーニングをしながらです。歯医者さんを変えたので、とても最近は調子がいい。前の歯医者はとんでもないところだった。・・・時短となり、今は、なかなか昔のように店に出れません!近い内、顔を見せてください!」と。
30分ほどの語らいだったが、電話の切り際に再会を誓った。
直様、壽し匠 都壽しの店主 二代目 篠田薫さんの携帯へ電話をした。
元気そうだが、やはり時短で大変なようだ。70年の歴史を誇る同店だが、昔は熊本市上通りにあったが、二代目となり、下通りに移った。
筆者が熊本ホテルキャッスルでランチを済ませ、同ホテルから京町方面を走る時、何度か篠田さんの車とすれ違った。手を振るが、フロントガラスの中の筆者には全く気づかない。
可愛い奥様が最強のパートナーである。同氏の口調は熊本弁らしく豪快で、典型的な肥後モッコス。しかし、根はすこぶる優しい。
ここ数年、なかなか足を運び入れることがなかったが、どうしても、「気になる人」の一人として、1時間近く話し込んでしまった。
この記事を書きながら、このお二人を、「どうしても、気になる人」として頭に浮かぶ理由が分かったような気がした。
それは、実父が他界した時に、篠田さんがわざわざ葬儀に足を運んでくれたこと。また、八井さんは、父の他界後数ヶ月後に「珈琲アロー」を訪ねた時に、椅子に腰掛けるや否や、香典袋をさっと手渡して、お悔みを言ってくれたのだった。
筆者は、幼い頃から現在に至るまで、筆不精で、人様へのコミュニケーションがしっかりしているとは言い難い。しかしながら、このお二人の優しい心配りは、何年経っても忘れることはなく、「どうしても、気になる人」として心に深く刻まれているのだろうと・・・。
お二人とも、決して若くはないが、このように熊本を代表するほどの肥後モッコスこそ、いつまでも元気で、辛口滑舌素晴らしく、頑張って頂ければと・・・。