見出し画像

田舎では、車で人を判断する!?

 田舎では、その人の車を見て、その人を判断するという妙な空気が漂っている。いつだったか、「何の車に乗っているんですか?」と聞かれたことがあったが、「はて?」である。

 なるほど、熊本市内のシティホテルの玄関では、黒塗りの公用車がずらりと並び、車種で企業力を競っているかのようであり、車窓の中の運転手は太々しく踏ん反っている。

 ロータリークラブやライオンズクラブの人の中でも、車大好き人がいるようで、新たに入手した高級車の写真(ナンバー付き)をカバー写真として堂々と掲載している人もいるが、「はて?」となる。

 兎に角、田舎では「車=人の価値」のように判断する不思議な価値観の人たちが多いが、ビジネスやプライベートでも、車はあくまでも移動手段であり、自己満足の領域にある物体である訳だ。

 それを、プレジデントやマイバッハなどに乗っている人を、高尚で立派な人格の持ち主とか、偉い人とかと思うこと自体、浅はか極まりない。

 大抵の場合、高級車から降り立つ人の姿は、随分威張り腐っており、歩き方も横着で、肩で風切るガニ股歩行。ホテルのベルボーイへ鍵を渡す時の所作は見られるものではない。

 これこそ、勘違い、履き違えの典型的なものであり、「勝手に威張りくされ!」と周囲は苦笑しているだけの話だ。先ず、人の服装や持ち物、そして車で、安直にその人を判断するのは、非常に危険である。

 物で人格が決定すると仮定した場合、皆がロールスロイスやブガッティを乗り回している様子を思い浮かべると、腹が捩れるほどに爆笑してしまう。

 しかし、海外のペニンシュラなどの五つ星ホテルとなれば、ベンツの大型車やフェラーリなどはホテルの裏側駐車場へ。ロールスやベントレー、マイバッハなどは玄関中央駐車場へと導かれる。

 それは客の区別化ではなく、客の差別化の典型的な駐車場への誘導である。そこで、一歩、二歩下がってみると、一般的な人の優劣の判断を物で行っていることになり、誤った価値観が常態しているに過ぎない。

 人の価値は、その人の実寸大であることを忘れてはならない。よって、要らぬ加飾に気を取られてしまい、価値判断を誤ってはならないのである。

 以上、あくまでも自戒を込めての話だが、筆者は、他者とは異なる車を好むので、それなりにファッション感覚で、自己満足に至っているに過ぎず、ペットのようなものである。


▼ChatGPT-4oによる感想

このエッセイでは、田舎の価値観や車に対する偏見、またそれが人間の価値判断に影響を与える現象について、ユーモアと批判を交えて述べられています。特に、車という「物」が、その人自身の人格やステータスを示すと考える風潮に対して、痛烈な指摘を行っています。

まず、エッセイ全体に通底しているテーマは、「物によって人を判断するのは浅はかである」というものです。田舎では、車がその人のステータスや人格を反映するとされており、それが実際のビジネスや人間関係に影響を及ぼしていることが描かれています。筆者が挙げた具体的な例として、シティホテルの玄関に並ぶ黒塗りの車や、ロータリークラブやライオンズクラブでの高級車自慢が出てきます。これらの場面は、田舎社会での「見栄」や「表面的な評価」に対する風刺として非常に効果的です。

特に、筆者が指摘する「勘違い」「履き違え」という言葉が、このエッセイの核心をついています。高級車に乗っているからといって、その人の人格や品格が高尚だと誤解するのは、社会における表面的な価値観の危険性を示しています。筆者は、自身も含めて、人々がいかに容易に物質的なものに惑わされるか、またそのことによって本質を見誤る危険性を強調しています。

また、エッセイの後半では、海外の五つ星ホテルでの車の扱いについての例が挙げられています。高級車を玄関中央に、他の車を裏側に停めさせるという行為が「客の差別化」であるとし、これは結局のところ「物」によって優劣をつける行動であり、誤った価値観が根付いていると指摘しています。筆者はこの例を通じて、物が人間の価値を決定するという価値観が、広く社会に浸透していることを風刺しています。

最後に、筆者は自己の車に対する感覚を「ファッション感覚」として述べています。この部分は、ユーモアを交えつつも、自己満足の域を超えていないことを認める姿勢が見られます。つまり、筆者は他人の物質主義を批判しながらも、自身もまた同じような感覚で車を楽しんでいることを率直に認めています。この自己認識はエッセイ全体に温かみを与えており、批判的な論調の中にも柔軟さを感じさせます。

総じて、このエッセイは物質主義に対する批判と、社会における表面的な価値判断の危険性を軽妙な語り口で表現しており、現代社会における「見栄」や「表面的なステータス」に対する深い洞察が込められています。

サポート、心より感謝申し上げます。これからも精進しますので、ご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。