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SNS炎上体験録・・・2007年仮想現実世界

 2007年に、SecondLifeという仮想現実世界が日本上陸した。当時は、大手広告代理店の電通などが旗を振り、バーチャル世界に国内外がざわめいた時代であった。

 その当時、先んじて「KUMAMOTO JAPAN」というSIMを2つ保有し、仮想現実世界の環境を整えることにした。それが、2007年4月、今から18年ほど前のことである。

 「KUMAMOTO JAPAN」を管理運営するのは、筆者の会社であるディー・アンド・エルリサーチ株式会社(since 1990)であり、その管理は筆者と制作スタッフ2名で行うことにした。

 「KUMAMOTO JAPAN」のメンバー登録は厳しく、ハードルを上げることで、各メンバー間にトラブルが生じないように配慮したのである。

 よって、「KUMAMOTO JAPAN」の正規会員になるには、学生であれば履歴書の提出、社会人であれば現在の職業や住所、連絡先などを提示しなければならないことにした。

 しかし、その他一般会員は国内外からのオファーは多く、どこの誰とも知れぬ、性別もわからぬ状態であり、厳しい入会規則にも関わらず、総勢650人が登録し、日々活動していたことを思い出す。

 よって、国内でも、特に、九州では最大規模のSIMとして、毎日のようにメンバーがSIMに降り立ち、SIMのあちこちで活動していた。

 対して、当社制作スタッフや、正規会員の住宅やマンション、更にはショップや販売するための商品などを作っていた。その中でも、SIMの名物だったのが、実寸大の熊本城(大天守、小天守、宇土櫓)、芝居小屋 八千代座、古代 鞠智城は海外から年間40万人ほどのアバターの観光客が訪れ、楽しんでいた。

 時折、「SIM荒らし」という輩が群をなして、平穏なSIM活動を邪魔するものもいた。大音響のラジカセを手に持って走り回ったり、武器を抱えて嫌がらせをしたりと、全く子供のゲーム感覚で降り立つ輩ばかりである。そこで、SIM内にSWATを立ち上げ、警備に当たっていた。

 「KUMAMOTO JAPAN」への入会のハードルを高くしたのは、スポンサーとして十数社の企業が参画していたので、尚更のこと。健全なSIM運営が必須なのである。

 ところが、「KUMAMOTO JAPAN」への参加を拒絶したのが原因かどうか分からないが、ある日突然、当時の2ちゃんねるにて炎上を試みた輩が数人いた。筆者の実名、会社名、住所や連絡先を2ちゃんねるに書き込み、ネットストーカーのような存在が暗躍し始めたのである。

 健全運営のSIMなので、そのような輩の罵詈雑言や個人情報漏洩など全く問題にしないが、事実とは異なる誹謗中傷については、炎上しているサイトへ直接通知を行い、即座に削除させることにした。当時の掲載サイトの管理会社は結構迅速に動いてくれて、虚偽情報や誹謗中傷箇所を抹消してくれた。

 当社は1995年以来ネット事業を展開しているは会社であり、筆者である訳で、別に隠し事もなく、会社として、かつ、個人としてネット上では公開しているので、全く問題はなかった。

 逆に、当社および筆者を有名にさせてくれていると思えば、有り難いことであり、事実とは異なる記述だけは管理会社へ削除依頼するものの、事実はそのまま広告看板的なものとして放置の状態とした。

 現在、報道ではネットストーカーなどの事件事故が絶えない時代となったけれども、一般的に表に出たくない人の方が圧倒的に多い中で、個人情報漏洩および心無い攻撃によって、多数の人たちが被害者となるのは容認できるものではない。

 ただ、18年前でも、それも仮想現実世界(バーチャル世界)でも、誹謗中傷を行い、事業を邪魔(業務妨害)する輩がいるのだから、情けない。徹底攻撃したいのであれば、先ずは、自分自身の実名や居所を明らかにした上で行えば良い話である。

 姑息な人間ほど、姿形を見せずに、不特定多数の人たちを食い物にしているのだから、人間の、いや、今の日本人の精神文化が如何に低迷しているのは間違いのない事実のようである。

 他者の個人情報を暴露したり誹謗中傷する人間にとって、何が得なのか、理解に苦しむばかり。それが稚拙で身勝手な輩の蛮行なのであろうかと。

※「KUMAMOTO JAPAN」は2007年4月から2023年3月存在していた

▼ChatGPT-o1による感想(数秒で回答)

このエッセイは、2007年当時に盛り上がりを見せた「SecondLife」という仮想空間(メタバース的世界)を舞台に、筆者が運営していたSIM「KUMAMOTO JAPAN」で実際に経験したSNS炎上、ネットストーカー、誹謗中傷などのエピソードが赤裸々に綴られています。以下では、本エッセイを読んで感じた点を大きく五つに分けて述べてみます。


1. 2007年当時の仮想世界ブームと先駆者としての取り組み

SecondLifeという大きなインパクト

  • 2007年の日本で、SecondLifeが上陸した際にメディアや広告代理店がこぞって盛り上げていた様子は、当時の「仮想世界元年」のような雰囲気を象徴しています。

  • 筆者は「KUMAMOTO JAPAN」というSIMを二つも保有していたとのことですが、当時まだ黎明期のバーチャル世界を「地方創生」や「観光PR」的観点からも活用しようとする先駆的な姿勢が見えます。

“先んじてSIMを持つ”というチャレンジ精神

  • バーチャル空間の中に自治エリア(SIM)を保有し、運営・開発まで手がけることは手間もコストもかかる一方、目新しい技術やサービスへの挑戦という点で、非常に先進的な取り組みです。

  • また、筆者の会社が1995年からネット事業を手がけていたという記述からも、インターネット黎明期から積極的に事業参入していた実績がうかがえます。


2. SIMを運営するうえでのポリシーとコミュニティづくり

入会のハードルを高く設定する意図

  • 正規会員は履歴書や住所、職業などの提示が必要という厳格な条件を敷いたのは、(企業スポンサーもあったため)“健全なSIM運営”を貫くための措置。

  • 仮想空間という匿名性が高い環境のなかで、トラブル防止のために参加条件を厳格にするという運営方針は、一見敷居が高いようですが、目的が「安全で安心できる空間づくり」であると分かれば納得できます。

国内外から650名の登録者が集まる人気

  • たとえ入会の基準が厳しくても、海外からも含め多数が集まり、日々SIM内を巡るほどの賑わいがあったという事実は、企画や運営の魅力、そしてコンテンツ(熊本城などのランドマーク、建物やショップなど)の完成度が高かったことを物語っています。

“SIM荒らし”やSWATの存在

  • どのオンラインコミュニティにも言えることですが、「荒らし」行為をする人間は一定数存在します。それに対して自衛策としてSWATを編成するなど、当時としてはユニークかつリアルさを感じさせる対処法が面白い部分です。


3. SNS炎上・ネットストーカー被害とその対応

2ちゃんねるでの炎上

  • エッセイでは、入会を断られたことがきっかけかは定かでないが、筆者の個人情報や会社情報が2ちゃんねるに書き込まれ、誹謗中傷や嫌がらせが始まったという経験が語られます。

  • 現代のSNS炎上と同質の問題が、既に2007年当時にも存在していた点が際立ちます。

迅速な削除依頼と公開している情報との線引き

  • 筆者が、虚偽の情報に対してはサイトの管理会社へ削除依頼を行った一方、実名や会社情報など既に公開している事実情報については放置したというスタンスは、企業人としての冷静なリスク管理が見て取れます。

  • 「ネット事業をやっている以上、自分の情報を隠す必要はない」という姿勢が、逆に炎上を大事にしなかった理由の一つであったとも言えそうです。


4. 匿名の誹謗中傷がもたらす影響と“精神文化の低迷”

仮想空間と現実世界の境目

  • バーチャル世界での出来事が、実世界でも誹謗中傷や個人情報の暴露に発展する様子から、当時から既に「リアルとバーチャルの垣根は限りなく低くなっていた」ことが分かります。

  • 2023年現在でもSNSやネット掲示板における誹謗中傷が社会問題化していることを考え合わせると、18年前とあまり変わっていないのではないかという印象を受けます。

SNS炎上の根本原因と人間性

  • 筆者が嘆くように「なぜそこまで攻撃的な行動をとるのか?」という疑問は、ネットの匿名性や“姿を見せずに攻撃できる”環境が原因の一つとなっています。

  • 匿名で安全圏から攻撃できると思うからこそ、人は誹謗中傷に走りやすくなる。この構造的な問題は時代を経ても解消されていないと感じさせます。

実名で堂々と意見を述べることの大切さ

  • 筆者が強調する「徹底攻撃したいのであれば、自分の素性を明かして言うべきだ」という主張は、“正々堂々とした批判”と“陰での誹謗中傷”との境目をハッキリさせています。

  • ここは、ネットリテラシー教育やモラル教育などの面で、今改めて考えるべき課題でしょう。


5. 全体を通じて感じられるメッセージ

  1. バーチャル世界を楽しむ創造力
    熊本城や芝居小屋、古代の鞠智城などを仮想空間で再現した取り組みは、単に遊びの枠を超え、“日本文化のデジタル表現”や“観光促進”といった意味合いを持ち合わせています。先見性と熱意を強く感じます。

  2. 企業スポンサーと健全運営の両立
    スポンサー企業がいるからこそ、コミュニティを守る責任も大きくなる。厳格な入会審査をすることや、SIM荒らしへの対処がその現れです。「自由と規律」のバランスをどう取るか、という課題は、今なお多くのオンラインコミュニティが直面するテーマです。

  3. インターネットの光と影
    便利で夢のある空間を提供する一方で、匿名による誹謗中傷や個人情報漏洩といった「闇の部分」もいまだに解決されていない。筆者のSNS炎上体験は、その構造的な課題を早い段階で明示してくれています。

  4. 実名・実態をオープンにする価値
    企業や個人がネット上で活動する場合、ある程度の実態を公開するのは、一種の“真摯な姿勢”として機能する場合があります。相手が特定しやすいほど安易に炎上しづらい面もある、という逆説的なメリットです。


まとめ

本エッセイは、今から十数年前に仮想空間を舞台に事業を運営していた筆者が、“実際に起こったSNS炎上やネットストーカー被害”について語っている点が非常に興味深いです。今日ではSNSや掲示板、YouTubeや各種プラットフォームのコメ欄など、ネット上の誹謗中傷やプライバシー侵害問題が後を絶ちません。そうした現状を踏まえると、当時のケースはインターネット社会が抱える闇を先取りしていたとも言えます。

一方で、「熊本城や八千代座を仮想空間で再現し、海外から年間40万人も集客する」という先進的な取り組みには、地方文化を発信したいという“ポジティブな想い”が読み取れます。その一方で、現実世界と違って匿名ゆえの脅威がのしかかる仮想空間運営の難しさも明らかにされているのが印象的です。結局、「人が集まる場所にはトラブルもついて回る」のがネット社会の宿命なのでしょう。

このエッセイは、

  • インターネットと共存していくうえでのリテラシー、

  • 仮想空間(メタバース)やバーチャルコミュニティを運営するうえでの組織体制、

  • 匿名空間におけるモラル教育の大切さ

など、多方面の示唆を与えてくれます。18年前の事例ではあるものの、現代にも通じる教訓が詰まった貴重な体験談だと感じました。

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西田親生@D&L
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