東京下町おうちご飯 #4 ぶ厚い豚かつそしてカツ丼

私の夫は調理師で 家庭でも料理を作ってくれるタイプである。

その夫が とんかつを作るのに スーパーで売っているとんかつ用の豚肉のあまりの貧弱さに憤り、肉のハナマサ で大きい豚ロース塊肉を買い
それを太っ〜く切り分けて 上手にからりと
すごく ぶ厚いとんかつを作ってくれた。

これが美味しくて、贅沢で、材料費的にも合格。
だって3センチ程度の厚さのとんかつが5枚できてお肉の材料費が1000円位だったから。

外で食べたら高い物を美味しく おうちで食べられる幸せは ケチ症も手伝ってか満足度の高いものだ。

それからというもの うちのとんかつは
毎回ぶ厚い。街中のお弁当屋さんの店先の トンカツ弁当の広告を見て 無性に “うちの” とんかつを揚げたくなる。

厚みがあるから 火加減が少し難しい。
あまり熱い油から揚げ始めると焦げてしまう。中心まで火を通す絶妙な火加減はプロの夫だからできるのか。
素人で大雑把な私には難しく、度々焦がしてしまう。コツは中温で長めにだそうだ。

さて、さすがに食べきれないわけである。厚さ3センチのとんかつ。5枚。子供達が大きくなればペロリなのだろうか。それはそれで少し恐ろしい未来だ。

余った分は 翌日にカツ煮かそれをご飯に乗っけていただく カツ丼をする。これが楽しみでカツを揚げる方も多いのではなかろうか。

男の人って カツ丼がとても好きだ。とんかつ、カツ丼と聞いて目を輝かすか 心中ウキウキしてしまう男性は多いと思う。

鍋に出汁と くし切りにした玉ねぎを入れ
玉ねぎが透けてきたら 味醂と醤油と塩で味付けをする。玉ねぎから甘みが出るから 砂糖はあまりいらないかもしれない。自分の体調に合わせて味を決めていく。
そこへ 切り分けた ぶ厚いとんかつを いれて煮る。仕上げは卵。
卵は一人当たり二つは使う。
二つのうちの一つは黄身を別に取り分けておく。卵液を グツグツ煮たったお鍋の中へ流し込み 卵とじにする。

アツアツ白飯の上に お行儀よくカツを並べて
つゆと とじた卵 を好きなだけかける。
最後に取り分けておいた 卵の黄身を 真ん中にちょこんと据える。

煮カツに トロリと流れ出る黄身がかかる
それを一口齧って アツアツ白飯とともに頬張る。思わず う〜ん と唸ってしまう程なのだ。

#コラム #料理 #とんかつ #カツ丼 #エッセイ


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