蔵馬という男2
蔵馬の考察の続き。
もちろん子供向けアニメで蔵馬の残忍さを表現しろとは言わないし、現にピンク×紅色の蔵馬をかっこいいと惚れていた人間なので文句も言わない。
でも、歴代イケメンの中でこんなにも人気が高いキャラに仕立て上げた理由は、単に宝塚みたいな王子風外見だけではなくて、掘れば掘るほど出てくる蔵馬の狂気さとか、不可解さとか…そういう、人物としての底知れなさが理由だろうと思う。
妖狐と南野君のアンバンスさもしかり。
そこの葛藤もしかり。
緒方恵美さんの声のおかげで、とてもマイルドな好青年になっていて、それはそれでかっこよかったのだが、原作の蔵馬に近いのは石田彰さんの声とかかなと思う。最終的に、どっちに転ぶかわからない人…的な。
彼は自分の好きな人たちを裏切らない。しかしそのくせ気まぐれで、誰かに縛られたくないタイプでもある。
例えば、樹(いつき)は、仙水のすべてを見守って、受け入れて、好んだ。仙水がどうなろうとも、離れない。
蔵馬の場合は、幽助を一個人として対等におもしろいと思い、好んだ。もし幽助が彼にとっておもしくないヤツになれば、スッと離れるだろう。どんな借りや、積み重ねがあろうとも。
ただ自分が「そうしたい」から「そうしている」だけ。お母さんを守りたいから守っていて、幽助と一緒にいたいからいるだけ。そしてその決断に対して、命がけで遂行する。どんな手を使ってでも、成し遂げようとする。
蔵馬の行動原理はとてもシンプルである。
素直な人(妖怪?)だなぁと思う。
人間界の友人がみんな亡くなって、魔界で生活している500年後の蔵馬とか見てみたいな。きっと、好きなことを好きなようにしているのだろう。幽助と敵同士になっていても面白いし、飛影の下について、良き参謀ポジションを楽しんでいる蔵馬もいい。
もしふたりに飽きていたら、第三勢力になっていてもいい。
自分の頭を使って、自分の足で歩いて、自分のやりたいことをやる。
蔵馬というキャラクターの底なし沼に、まだまだ当面抜けられそうもない。