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たぶん一生埋まらない『ブランド広告』と『キャンペーン広告』の溝について
そごう西武の正月の広告が賛否も含めて話題ですが、これは『ブランド広告』として正しい形です。 ただ奇をてらった「飛び道具で炎上する広告」とは一線を画しています。
そごう西武の広告、昨年の大炎上を経験し、それでもなお販促に寄らず元旦にメッセージ性のあるブランド広告を打ち出す姿勢が凄いと思うんだよな。
— yuuu (@ad_career28) January 3, 2020
既に多くの方が記載しているがKPIや刈り取りだけが広告じゃない。こういった広告がもっと増えればいいなと思います。 pic.twitter.com/X5ScemKqTo
理由は、炎上した広告があった時に、必ず『コーポレートアイデンティティ(CI)』を確認します。 CIに沿っていればいいし、CIと矛盾するなら、やっていけないと判断しています。
今回のそごう西武なら、すべて理念体系に沿っているからです。
そごう西武の広告は、ただの広告代理店の「思い付き飛び道具」ではなく
— チカイケ秀夫🌎CBO(最高ブランディング責任者) (@chikagoo) January 3, 2020
コーポレートアイデンティティに沿っているから『良いブランド広告』です。
ブランドメッセージは、その価値観に、共感する人、しない人をフィルタリング意味もあります。 https://t.co/Mj3mefItuT pic.twitter.com/qacofIXDn1
企業理念
『想像以上の提案で、お客さまに発見を。』
ミッションそごう・西武の「使命」
お客さまにとって新鮮な気づきの場であり続ける
私たちの使命は、そごう・西武という場を通じ、お客さまに、気づき・発見・出会いをご提案することです。お客さまの暮らしを豊かな、愉しさに満ちたものにすることが、私たちに課せられた役割だと考えます。
ビジョンそごう・西武が「めざす姿」
お客さまに未来を提供できる集団
私たちそごう・西武は、つねに未来に目を向けます。お客さまとマーケットの変化から目を背けず、お客さまの日々の暮らしに、新しさをご提供できるよう、学びと挑戦を続ける、勇気の集団であることを目指します。
バリューそごう・西武が「大切にすべきこと」
冒険しているか
編集しているか
文化をつくっているか
かつて、そごう・西武の発展の原動力は、新しい切り口と新鮮な提案でした。その精神を受け継ぎ、私たちは常に冒険心を心に灯していたいと考えます。そして、お客さまに訴えかける編集と、新しい生活者文化の創造を大事にしていきます。
『ブランド広告』はダレのためのもの?
今回の広告に対して「売上とどう結ぶつくのか?」「ポエム」「KPI」とマーケッターの方などにディスられていましたが、『ブランド広告』のターゲットは「ユーザー」だけでなく、『市場』『取引先』『社員』『社員の家族』もターゲットに入っています。 もっと大きく言うなら『社会』も入ります。
【共有】西武そごうの『ブランド広告』について
— チカイケ秀夫🌎CBO(最高ブランディング責任者) (@chikagoo) January 3, 2020
自分は、飛ぶ道具が好きな広告代理店や、薄っぺらいマーケッターとバチバチやりますが
「商品のキャンペーン→to C 購買者」だけでなく
『ブランド広告』は『市場や企業や社員』も入っています。
コーポレートの『理念(DNA)』もある良い広告です。 https://t.co/JoLwzvfTN2 pic.twitter.com/rMIiNhg3ZH
これは、普段のブランディングで使ってる『ブランド戦略MAP』です。
目的は、どのレベル感で、伝える相手やメッセージ抽象度も変わってくるので、その整理のためです。
①サービス to C :ユーザーの課題に対して、どんなソリューションをいくらで提供するか
②ブランド to B:ブランド独自の提供価値の認知と体験、市場で独自のポジション、企業に対して競合との比較になった時に判断材料、競合社員に対しての自社の独自の価値、判断基準の宣言
③コーポレート to 社会(世界):社会の中での自社の存在意味(アイデンティティ)
目的やレベル感によって、変わってきます。
今回は『ブランド広告』は、目的は合っているし、サービスの訴求でもないし、ブランドだから明確な自社の価値観を訴求する事も間違っていません。
「キャンペーン広告」と『ブランド広告』の違いnoteにまとめたものなので、興味がある方は。
【共有】『ブランド広告』について
— チカイケ秀夫🌎CBO(最高ブランディング責任者) (@chikagoo) January 3, 2020
今の日本企業が軒並み世界ブランドランキングからはずれているのも理由があります。
「高度経済成長=大量生産大量消費」の麻薬にはまり『ブランド』に投資、育成をできなかったからです。
今の日本のスタートアップも同じですhttps://t.co/yPRVdIwcu4
『ブランドステートメント(宣言)』
「ブランドメッセージ」「ブランドステートメント」と言われますが、
ユーザーやカスタマー向けもありますが、『自分たちの独自の価値(スタンス)』の文字通りに宣言です。
新聞という公益性が強いパブリックな存在に、元旦に出す意味は、読者が思う以上に重たいです。
前半は同感ですが
— チカイケ秀夫🌎CBO(最高ブランディング責任者) (@chikagoo) January 3, 2020
『ブランド広告』は誤解を恐れずに言うなら「わかる人にわかればいい」です
そごう西武は『わたしは、私』を続けていますが、認知より『情緒』や『一貫性=信頼』のブランド資産がたまり続けています
本質的には「そごう西武」の名前より『ブランドの独自の世界観』で勝負している https://t.co/ov4m99Q2dC pic.twitter.com/Pir8trEqaz
今回の反響で「数字化できない」など声もありましたが、マーケッターに多いと思いますが、それが悪いではなく、むしろマーケッターとして当たり前だと思っています。
伝えたいのは『ブランディング』を理解していない、経営者の「ブランディングで売上が上がるの?」と一緒で、ブランディングへ投資をしていないから、いつまでも「安さ」「キャンペーンを打ち続ける」「クリック単価」勝負で、競合と同じ土俵で戦い続けて疲弊しています。 *安さやクリック単価の戦い限界があり、最後は人にしわ寄せがくるだけ
【共有】永遠に交わらない議論
— チカイケ秀夫🌎CBO(最高ブランディング責任者) (@chikagoo) January 3, 2020
このレベル感や時間軸を合わせないと議論が交わらないです。
「短期間的売上=キャンペーン」は一過性です。
「安い」から来る人は、「普通の値段=通常」ではきません。
『ブランド』へ投資する事で「広告単価」も下がります。https://t.co/HgdDvzdbjN
さらに『ブランド広告』から、『質(エンゲージメント/共感度』が高い、優良顧客(単価ではなく共感度が高い)リーチや、獲得にもつながっていきます。
【共有】『ブランド広告』は『質(エンゲージメント)の高いリーチ』をとるため
— チカイケ秀夫🌎CBO(最高ブランディング責任者) (@chikagoo) January 6, 2020
『ブランド広告』でちゃんと「数値」も計測できます
ブランド広告「認知+イメージ+情動」
↓
ブランドサイト:世界観/ストーリー訴求
↓
アクション:共感度の高い人
キャンペーンで「安さ」できた有象無象の人ではない pic.twitter.com/zMqg3dfQ5Q
伝えたいこと、あくまで『目的ありき』で、それを理解せずに、それぞれのスタンスと違う=否定しても、新しい価値を生まれません。
最後に自分が好きな『ブランド広告』を紹介します。
ブランドは「機能+情動」とも言われますが『情動=感情や心が動いた体験』は、「機能=便利=利害」を超えて、人の心に残り続ける価値を認知してみていただきたいです。
「女性が大学(学ぶ)」ことへのメッセージです。 潜在的なユーザーに訴求かもしれませんが、卒業やもちろん、学びたい女性にとって「神戸女学院大学」と手段をとらなくても、強いメッセージになります。
2018年4月、JRと阪急電車で話題になった神戸女学院の『ブランド広告』です。
— チカイケ秀夫🌎CBO(最高ブランディング責任者) (@chikagoo) January 4, 2020
刺激的なブランドメッセージですが、本気で『女は大学に行くな、』と思っている男性から、どう思われてもいいんです。
印象的だったのは、学生や卒業生が『誇りに思えた』と投稿していた事でした。#ブランド広告 pic.twitter.com/hGeBWLzOOc
車業界の中でもHondaさんの広告はブレないです。
最後の「きのうまでのHondaを超えろ。」は、自分たちに言っていることです。
HONDAの『ブランド広告』です。
— チカイケ秀夫🌎CBO(最高ブランディング責任者) (@chikagoo) January 4, 2020
構成要素ですが、印象的なのは『昨日までHondaを超えろ。』
これは消費者も入りますが、文字通りに『ステートメント(宣言)」です
①ブランドメッセージ「負けるもんか。」
②ブランドステートメント「がんばっていれ〜」です。
③ロゴ(タグライン)#ブランド広告 pic.twitter.com/m20Ygr5lMb
東京海上日勤のブランド広告も好きです。
普通なら「保険=ユーザーの不安訴求」を考えますが、『保険』そのもののアイデンティティ、大航海時代に挑戦するため、何かあった時に『保険』のアイデンティティまで立ち戻っているからです。
東京海上日勤の『ブランド広告』です。
— チカイケ秀夫🌎CBO(最高ブランディング責任者) (@chikagoo) January 3, 2020
サービスは「保険」でも、あえて保険は売らずに『挑戦』を売っています。
「保険」は何かあっと時に必要ですが、逆に何もなければ必要ないてす。
『挑戦』するために『保険』がコンセプトとして訴求している。#ブランド広告 pic.twitter.com/HpXudLYmQm
なお、そごう西武と同じよう話題になったNetflixの正月広告ですが、本国の「人の睡眠時間を奪う」から、自分たちで自ら「テレビと競合」にしてしまった悪手です。
Netflixの正月広告は「キャンペーン広告」です。
— チカイケ秀夫🌎CBO(最高ブランディング責任者) (@chikagoo) January 3, 2020
個人的には何も響かなかったです。
これで既存顧客のリテンション、新規層への認知と、会員数は増えても
『ブランド資産』は蓄積されない飛び道具です。
コピーや訴求文言も安いです。#ブランド広告 pic.twitter.com/8Oy4JDEo5U