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『真夜中のマリオネット』

初めての知念実希人作品。
圧巻の面白さでした…!

たまたま書店で見掛けて遠田志帆さんの表紙に一目惚れして購入しました。読後改めて表紙を見るとちょっとゾッとしますよね、これ。

以下あらすじ



一晩掛けて遺体をバラバラにする連続殺人鬼・通称「真夜中の解体魔」に婚約者を殺された救急医の秋穂は、傷心のまま何とか職場に復帰する。ある日、そんな彼女のもとにバイク事故で重傷を負った少年・涼介が運び込まれる。無事に彼の命を救い、手術室を出た秋穂は、訪れた刑事に「彼が真夜中の解体魔だ」と告げられる。復讐に駆られる秋穂だったが、涼介は涙ながらに彼女に無実を訴え証拠を提示し始める。果たして「真夜中の解体魔」の正体とは...



という重めの内容。

最近流行りの叙述トリックが際立つミステリ、というよりは伏線回収で二転三転して上手いこと翻弄されるサスペンスといった雰囲気。

連続殺人の容疑が掛かる美少年と婚約者を亡くした女医。異色のコンビですが、2人とも精神的にどこか不安定で歪な部分があり、読んでいてハラハラします。

容疑者の少年・石田涼介は甘え上手で強かでまさに魔性といった雰囲気。複雑な生い立ち故に屈折した部分があり、恋人にも並々ならぬ想いがある様子で...何か一生懸命毛を逆立てている野良の子猫って感じのイメージありませんか?わたしだけ??

一方の秋穂先生は職業柄なのか妙に肝が据わった思い切りのいい女性。なんだかんだ不安は口にしますが実行に移す力がすごい。お願い色々思いとどまって。「恋人の仇かもしれない奴をそんなに簡単に信じて大丈夫...?」と心配になるのですが、その簡単に信じてしまう部分も大切な人を失った故の不安定さなのかと思うと何ともやりきれず...

真夜中の解体魔に大切な人を奪われた者同士、協力して真犯人の正体に迫ります。


この作品はとにかくエピローグがすごくて。


個人的には帯でよくある「最後の○ページで~~」「最後の○行で~~」はあまり当てにしていないのですが、これは本当に最後の最後で裏切られて悔しいというか悲しいというか腹が立ったというか...ある意味予想通りの結末ではあると思うのですが、まさかあそこでひっくり返されるのかと驚きました。

全部知ってまた読み返すと物語全体がかなり違う見え方になるのも面白いポイント。やっぱりそんな都合のいいことあるわけないもんね...となります。いや、改めて考えるとあの記者さん本当に気の毒では。あまりにも巻き込まれ事故。

ちなみに天使は悪魔より残酷で、悪魔より多くの人を殺しているらしいです。


石田涼介の結末について、わたしはかなり思うところあるので語り合ってくださる方がいればぜひ。

余談ですが、読み終わった後にたまたまキタニタツヤさんの「ずうっといっしょ!」という曲を勧められて聴いており、MVが何となくこの作品の雰囲気にあっているようでタイミングよく面白い出会いをしたなと思うなど。

いつかは左手の薬指に指輪などしてみたいものです。




切り取られたくはないですが。

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