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酒場で暮らしたい[酒場愛]


一年365日、ずーっと酒場にいたいくらい酒場が好きです。なんだったら住みたい。酒場と銭湯を往復しながら暮らしたいです。

一番好きなタイプの酒場は、店主が女性(女将さん)で、裏で旦那さんが料理を作っている割烹居酒屋。今はもう絶滅危惧種となりましたね。

その次が、店主が焼き場に立って居る、炭火焼きの焼き鳥屋。炭の調整に職人技が光ります。

そして三番目は、安い、早いが揃っているセンベロやさぐれ系酒場。これには大変お世話になってきました。センベロは、特にやさぐれていなくても良いのですが、少しやさぐれているとなお良し。そこで私も一丁前な顔してやさぐれたい。
全てのつまみが小皿盛り。お一人様に優しいやさぐれ系酒場になぜかとても癒されます。
当然焼き鳥は一本から頼めるに限ります。


私の父は大酒飲みで、飲む打つ買うの三拍子揃った、下町、北区うまれの次男坊。家は商売をしていたのであまりお金には困らないボンボン育ちでしたが、高校中退して車の板金工になりました。

私は、小さい頃からこの父親に連れられて酒場に出入りしていました。あの頃の酒場は、みんな顔見知りで、私は喫煙率100%の店内でタバコの煙にまかれながら、おもちゃみたいに可愛がってもらっていました。
私は、基本的にちょっとこまっしゃくれた、あまり可愛くない子供でしたが、酒場のおじさんたちのことは好きでした。

埼玉県川口市という、鉄工所や町工場が集まった場所に父の小さな板金工場があり、そこには多種多様な酒場がありました。
そして近隣には、カラフルなレンジャーがバイクに乗って疾走しながら日々正義と平和を守っているという、謎の聖地「川口オートレース場」がありました。

これで大体どのような環境かお判り頂けるかと。

父が工場を始める時に川口を選んだ理由は、おそらくこの聖地に日々巡礼する為だったのではと思われます。
その篤すぎる信仰心に胸と目頭が熱くなります。

まぁ、父はこんなんなので、当然の様に母とは不仲。絵に書いたような壮絶かつバイオレンスな夫婦喧嘩を年中繰り広げていました。
今思えばちょっと芝居掛かっている感じがして、出来の悪いコントみたいだったな。

私は、少し拗らせ気味の青春を送ってしまったタイプの人間ですが、幼い頃の川口での体験は、父との良い思い出としてずっと記憶に残っています。私の酒場愛の原点はきっとここにあるんだと思います。

ちなみに父と母は、あれだけのバイオレンスな日々を送っていたにも関わらず、未だ別れる事なく一緒におります。

なんだか不思議な夫婦です。


やさぐれ系酒場で、罪悪感や背徳感などと戦いながらビールやホッピーを昼間から飲るのがとても贅沢な事だと思ってしまっている、かなり痛い女の思い出話にお付き合い頂き、誠にありがとうございました🍺




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