CQ Journeyを通じて起こること
私は、1969年のアポロ月面着陸の同時通訳を見て、「世界に橋をかける人」になりたいと思った。しかし、子供のころの崇高な志はいつの間にか忘却の彼方に。その後、日本企業や外資系企業に勤務しながら、夫の転勤で駐在妻として日本、英国、スペイン、米国に住み、50カ国以上のバックグラウンドの違う人と共に働いてきた。
顧客を怒らせたり、上司と合わなかったり、苦労を重ねて覚えたアングロサクソン風のビジネススタイルを日本の会社でそのまま適用したら部下から総スカンにあったり。数え切れないほどの「泥水を飲むような体験」を重ねてきた。
その間ずっと、これは「自分の英語力が足りないせいだ」「相手の人格や能力が足りないせいだ」と思い込み、ストレスに押しつぶされそうな日々を送っていた。
ところが2012年に、自分の会社員生活に陰を落としてきた「違い」のほとんどが「文化」によるものだと気づいた瞬間、目からウロコが落ちた。これまで見えなかった世界がふっと見えるようになったのだ。
以来、「文化」と「違い」の研究を始め、CQの練達する旅をし、「違い」に悩む人や組織の支援を仕事にしてきる。
最初の数年は「異文化コンサルタント」として、国と国の違いが原因で起こるビジネスの課題解決を支援していた。
しかし、日常生活の中にも、世代、性別、性的傾向、収入、教育など、さまざまな「違い」がある。たとえ外国人と接点のない人でも、意外と身近なところに自分と異なる文化を持った人がいて、「違い」には毎日出会い、そこで苦しんでいる人がいる。たとえば、
・家事をしてくれない夫に悩む妻
・Z世代とのギャップに悩むミレニアム
・一つの会社で一生懸命に働いてきたのに、突然人生100年と言われて呆然とする中高年
でも、そんな方でも、私が探求してきたCQを高めれば、どんな違いも受け入れ、楽しむことができるようになってきた。
CQは、自分の意思さえあれば、どんな人でも高めることができるからだ。
人生のなかでCQをどう使えばいいかを心から理解すれば、これまでの経験、知識、教育のすべてが最大限活用でき、世界観が変わる。
人生とは、「違い」にあふれているもの。
そして、「違い」に橋をかけてそこから新しいものを創り出すことは、人に大きな力を与える。
ひとりでも多くの方が、CQを自分の道具箱に入れてほしいと願う。