【ふたこと日記】ラフマニノフ 楽興の時4番 1回目
未だ完成しえないこの曲、
先生のレッスン題材としての取り扱いは一旦終了しているものの、
このところ水面下でまた日々弾いています。
過去に調べたことや先生とのやり取りを残しておきたいです。
聴くクラシックとしてはロマン派からドビュッシー、ラヴェルなどを中心に楽しんでいた私が、
何かの経緯でこの曲と接触して興奮し、
数年ぶりに楽譜をダウンロードして苦しみながらも最後まで譜読みしきったわけなので、何らか自分の琴線に触れる要素があったものと思います。
ラフマニノフが23歳の1896年10〜12月という非常な短期間で作曲されたというのは驚きで、そして少しショックです。
うつ病のきっかけとなる交響曲第1楽章を書いた翌年で、金銭的に困窮していた時期でもあり、何かに追われるような創作だったのかもしれません。
6楽章で構成される<楽興の時 Six moments musicaux>といえばシューベルトですが、これは偶然ではなくオマージュだそう。一方シューベルト版とは対象的に、重厚で短調に満ちた演奏会向けの曲集でもあります。
各楽章は19世紀に特徴的な音楽形式の焼き直しで、
例えば2楽章はエチュード、3楽章は葬送行進曲、そしてこの4楽章は前奏曲から着想とのこと。
調べてみるとあくまで19世紀的かつロマン派の系譜だったようですが、
ラフマニノフが師事したのは西欧基準の評価とロシア的な旋律やリズムの維持を両立しようとしたチャイコフスキーであり、
私としてはやはりどこかでこれまでにないロシア的な香りを嗅ぎ取って新鮮味を得ていたのも事実ではないかと思います。
曲想的なアドバイス
非常に音の数が多いので、全ての音粒に全力で取り掛かると何をやっているのか分からなくなる曲。革命と似ている。
例えば小節に「フォルテッシモ」の指示があったとしても左手の波のすべてをフォルテッシモで弾く必要はないでしょう。
最近街ピアノが騒音扱いで撤去されているニュースを聞きましたか?あれはこれを理解していないピアニストたちが全力で難曲を披露してるからに違いない。例えば1小節目でいえば重要なのは最初の「ミシソ」だけで、あとは倍音の響きを上からなぞって重ねているだけ。
後半に向かうといよいよ音の層が増えてくる。
いかに際立たせたいところ以外をスッキリさせるか。「ff」から急に「ppp」のような劇的な指示もあり、
ちょっと(作曲家に対し)さすがにやりすぎでしょうと思うし、
指示通りに弾くというよりは「そういう感じ」が結果的に出ればいいということと解釈してよい。これは時間をかけて、譜読みレベルから音楽に変えていきましょう。
感想
先生はもしやラフマニノフ好きじゃないのかな。