After that day#1
「………痛ッ」
痛みと共に鉄の味がして、ようやく我に帰った。
無意識のうちに自分の指を強く噛んでいたようだ。生温い感覚と共に、掌を赤い雫が伝わっていく。それが肌から離れる前に舐め取った。
「……はぁ…」
ため息まじりに俯く。ここのところ活気がないのは自分でもわかっていた。仕事にも全く身が入らず、普段なら失敗しない"芸術的にさくらんぼを乗せる"作業もミスを繰り返していた。
自分だけではない。4人ともまだどこか上の空というか、空元気な部分が少なからずある。
───蒼い蝶が羽ば