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【23】ウマレカワル、ワタシ。
一冊の本が導いてくれた。
読んだ場所に身を置いてみたい
著者の先生に私の今後についてお話が聞きたい
予約が取れたのは、幸運だった。
表紙で見た建物が見えて、長く息を吐いた。
本来の自分に帰る場所「リボーン洞戸」
予想以上に緑の山が近く、青い空に映えて美しい。
ロビーのソファーに身を沈め、力が抜けて呼吸が深くなる。
高い天井、足に手に感じる優しい木の感触。
スタッフの皆さんの優しさ。
診察室の木の引戸を開けると、会いたい人が居た。
事前に提出していた問診票とCT結果のコピーを手に、私がしている温熱療法や通う東洋医学の治療にも「いいね」と微笑む船戸院長はライアーもご存じだった。
ほっとする。嬉しい。安心してつらつら話した。
抗がん剤したくない
生涯人工肛門になるのは嫌
どうしても手術をしたくない
病院も薬も嫌い、でも、ココは好き
私は、たぶん子どものように素直に話していたような気がする。並んで椅子に掛けた2人の看護師さんも静かに聞いてくれていた。
「お腹だいぶ張っているね、腸閉塞の心配はあるなぁ」
まず腹部、そして患部を触診した船戸院長が言うには・・
人工肛門の手術をして患部を残し、人工肛門で排便をしてがん治療を勧める。今現在、排便にエネルギーを使い、血も失われ、体は治療にエネルギーを使えていない。肛門付近の静脈らしき血管からの血の排出を治し、腸には治療に専念してもらう方法を取る。食事ができなくなるのは免疫力を上げる治療にはマイナス。食養生して免疫力を上げる。
「治ったら、人工肛門は戻したらいい」
目の前が急に滲んで歪む。
船戸院長が「嫌なことを言ってごめんね」と慌てたように言う。
違う違う!嫌じゃない。頭を横に振る。ビックリしただけ。
言葉が出ない。嗚咽になっていたかも知れない。
「そんなこと、できると・・思ってなくて」
涙と鼻水まみれ。なんとか声に出して言えた。
治ったら、戻せるんだ。
そっか、戻せるんだ・・・・治ったら。
思えばずっと、全身に力が入っていた。
私、ここから、生まれ変わる。
2021年5月の足跡
がんが消えていく生き方