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kanakoozeki
黒岩徳将句集 『渦』
黒岩徳将(くろいわ・とくまさ)さんは1990年兵庫県神戸市生まれ。「いつき組」所属、「街」同人。
俳句界の超有名人である黒岩さんの待望の第一句集。普通の句集よりもサイズが小さめでメタリックな装丁が格好いい。
あとがきに「とにかく体温が感じられるものを書きたい。自分のルーツである台湾の句も数句残した。」とある。その言葉の通り、渦の中心へ読者を引き込んでゆくようなパワーのある句集だ。
とくに惹かれた句を12句。
口笛となるまでの息冬桜
ストーブが肉屋の空気揺らしをり
書く前の手紙つめたし夕桜
風船に透けて風船売昏し
括られし風船柔く打ち合へる
剃刀がひきかへす喉揚羽蝶
ドアノブを夜食の盆で押して入る
肩とんと叩き焚火の番替はる
寝袋に触るる両耳春の星
ピーマンに掬ふ酢豚の餡重し
タッパーに詰める豚足花カンナ
秋燕や科挙に詩作のありしこと