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パニック・裸の王様 開高健

120年ぶりの鼠の大発生。
事なかれ主義の人間たちを、混乱と伝染病が襲う。
増えすぎた鼠たちの行き着く先は、湖だった。
自死を選ぶ鼠たちの姿に、「巨大で新鮮な無力感」を感じる主人公。

我々はコロナで何を学習したのか。
ほんの数年前のことなのに、それを風化してしまう世の中の恐ろしさ。メディアによって動き、メディアによって思考を停止させる。
創造する人工知能も、やがては誕生するかもしれない。歴史上、現在のような社会体制の継続は、全て自然により、戦争により、消えていった。
戦争は国民が考えることをしなくなり、思考が停止することを栄養分に育つ。利権の争いは水面化で続いている。

鼠はこちらを見ている。
気づかないふりをしているだけだ。
言い出すことを恐れているだけである。
現代の孤独から、未来の孤独の時代へ。
そうなって良いはずがない。

だから、「新鮮な無力感」なのである。
命のバトンを繋ぐ意味を、今一度考えたい。

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