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よだかの星 宮沢賢治
幼い頃、母は私に言った。
人は死んだら星になる、と。
やがて私は成長し、人は死んでも星にはならないと
知るようになった。美しい母の嘘は、その音源だけが
耳の奥に微かに残っている。
よだかの星は、何歳になって読んでも、心の底に触れてくる作品である。
食う食われる
生きる死ぬ
生と死の当たり前の起伏の山に、幻想的な足跡だけが
残っている。
そんな作品である。
よだかは死んで星になった。
それは星になれることを疑わず、その反面、星になれない絶望の果てに飛び切ったからだろう。
今日もどこかで誰かが読んでいる。
よだかの星は、きっと誰もが心の空に持っている火にちがいない。