ライ麦畑でつかまえて J.D.サリンジャー
思春期の複雑な心理を、万華鏡のような文体の中に詰め込んだ珠玉の名作。
ぼくの役目は、ライ麦畑で遊んでいる子供たちが落ちそうになったときに、つかまえてあげることだと思っている。
大人の世界をアイロニーをこめて描きながら、それでいて自分を含む世界を肯定するわけでもない。何かを求めながらも、その実そういう自分を否定している。
主人公のラストシーンでの幸福感は、そう言った青少年の非論理的心理の捩れの証である。もちろん回転木馬は人生そのものに他ならない、と感じた。