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秋の森歩き

秋の森歩きもそろそろ厳しくなってきた。
種のシーズンだからである。だからぼくはなるべく広い道を選んで歩いた。大きなコガネグモや女郎蜘蛛がこれまた大きな巣をあちこちに張っていて実に見事である。
 


女郎蜘蛛は近年アメリカやヨーロッパを攻めていて脅威の外来種とニュースで見た。その時の呼び名がJORO-Spiderなのがなんとも頼もしいではないか。そのニュースではどうしてこんなに広まったのか謎と書いてあったがどうせ人間が持ち込んだのだろう。女郎蜘蛛はそのみてくれから西洋人をビビらしているようだが、その実人間に危害を加えるような虫ではないのであんまりビビらんといてと思う。
 


落葉樹が葉を落とすのはもう少し先だが、気持ち森が明るくなったように感じる。
濃緑色だったクヌギやコナラの葉がだんだんと退色して光を透かすのか。森の中にも秋の日差しが降り注いでいた。暑くもなく寒くもない。こんな日は1年のうちにそういくんちもないんだよなあ。
 


森だった場所がとつぜん切り開かれて分断の塀が立ちアスファルトが敷かれて駐車場や資材置き場になる。その周囲はまたたく間に下草が生えるが樹木が生える余地はなく森は前線を下げて後退を強いられた。不自然に白くてやたらに高い塀に風は行き場を失って、ぼくは足早にそこを通り抜ける。
 


森へ入るとほっとする。風の子たちはぼくの指の間で戯れて木々に絡まりまたやってくる。風の子たちは早口でなにを言っているのかわからないんだけれども、ぼくはそうかいそうかいと相槌をうって、もしかしたら歌っていたのかもしれないと思った。

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